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7年ぶりの鹿児島小旅行⑦。



さつま狂句、味わい深すぎる番組


鹿児島3日目。最終日の朝。そして、鹿児島マラソンの朝でもあった。割と早く目が覚めて起き抜けにシャワーを浴びた。
テレビをつけると1チャンネルであるMBCにした。
日曜の早朝から味わい深い番組をやっていた。番組名は「さつま狂句」。
さつま狂句というのは鹿児島弁の川柳のことらしい。お国言葉のクスッとなるような川柳に愛らしい挿絵が添えられていてなんともほっこりな番組だった。
また中年女性アナウンサーと選者のおじいさんという朝の目には優しい画面が良すぎた。またやさしそうな笑顔の選者のおじいさんが本当に素敵。
また鹿児島にぐっと来ちゃったなぁって感じ。朝からしっかり見ちゃった。

富永一朗先生風?な若松泰義さんの挿絵

恐ろしい事実に震える

朝からいい番組も見たし、鹿児島マラソンを少し見て駅で切符を買ってすぐ帰ろう。明日も仕事だしなと考えているとここで恐ろしい事実に気づいてしまう。
クレジットカードを忘れていたのだ。最近落としちゃいけないからとあまり携帯していなかった。家出る時もバタバタしてて何も考えてなかった。おまけに余計に入れてきたはずの現金も入ってなかった。
詰んだ。完全に詰んだ。
切符を買おうにも買えない。
そっか、今すぐネット予約して後で払えばいいんだと思ったが、ダメだ、クレジットカードそのものがないと切符の受け取りができない。。。
終わった。完全に終わった。帰れない。帰れないよぉ。
さすがに体が震えた。
どうしたらいい。。。どうしたら。
こうなったらアコムかプロミスで借りよう!旅の恥は掻き捨てだ!!

39歳初めてのアコム

いろんなサイトを調べてアコムは審査も通りやすいようなことが書いてあったし何より審査のスピードも速いらしいということでアコムを申し込んだ。
しかし、消費者金融にこの歳になって手を出すとは思わなかった。
割と真面目に生きてきた。こんなことになろうとは。
なぜあの時もっと余分に現金を入れなかったのだろう。今更しても後悔してもしょうがないのに。水木しげる先生の「ほんまにオレはアホやろか」を思い出した。
今はネットで審査の申し込みができる!最速で20分で審査も完了!!
でも、今日は日曜日。おまけに審査は9時から21時なので問題に気付いた8時前後ではすぐに審査もされない状況。
つまりいつになるかわからないし即日融資されるかもわからない。
やっべーかもなと思った。動物的勘で今日は無理かもと思った。

いよいよスタート!鹿児島マラソン

鹿児島マラソンは2016年にスタートした市民マラソンでコースは市内の観光地を周るものでめちゃいいなと8時ぐらいから始まった放送を見ながら思っていた。
まぁそれは外の人間の感想で地元の人のブログを見ると交通量の多い休日の国道10号を通行止めにしてしまったりするので否定的な意見を持っている人もいるようだった。
テレビからはオフィシャルアドバイザーの千葉真子の相変わらずの甲高い元気な声が聞こえていた。

届かない審査完了メール

僕の不安をよそに鹿児島マラソン2024は無事スタートしていた。僕はそれをテレビの画面越しに見ていた。鹿児島にいるのにすぐ行ける距離でやっているのにこうやって見ているのが不思議だった。
正直、僕の心は鹿児島マラソンどころではなかった。アコムから審査完了メールが来なければ話が進まない。9時になっても10時になってもメールは来なかった。待ちきれずプロミスにもネットから申し込んでしまった。
もうどうにでもなれ。やるだけやってダメならあきらめよう。

とりあえずのチェックアウト


11時になった。もう終わった。チェックアウトだ。
今頃は新幹線の中のはずなのに現実は切符を買うどころかそのお金さえ手にできていない。
これからどうしよう。とりあえずホテルを出て歩き出した。
自分が悪いだけなのになぜこんなに悔しいのか。
情けない。涙が出てくるほど情けない。
また昨日のように鹿児島の街を徘徊した。
アコムだけじゃない。プロミスからもいい返事は来ない。
もうどうしようもない。
とりあえずアコムの無人契約機・むじんくんの場所だけ確認した。
審査が終わらなければ契約もクソもない。
しびれをきらして鹿児島中央駅の前でアコムに電話した。担当の部署につながれ勤務先と勤務状況の確認をされた。
あくまで今審査中だということしか言われなかった。
電話を切った後、本当にどんよりとした。今日も桜島はきれいに見える天気なのに。
携帯での支払いを模索した。高速バス乗り場に行ったがそこでもクレジットカードそのものが必要だと言われた。また終わったと思った。
もうダメだ。時刻はとっくに昼を過ぎていた。

われは海の子を聴きながら

とりあえず明日は仕事休みますの連絡だけしといた方がいいんじゃないか。そう思い始めていた。
アミュプラザ前のイベントスペースでは地元の吹奏楽部がわれは海の子を演奏していた。
鹿児島の焼酎、さつま白波のCMでよく聞いたこの曲を聴きながら思った。
そうだ、もう鹿児島の子になろう。海の子になればいい。
美味しいものがこんなにあっていい男もたくさんいて他に何を望む。ここで暮らせばいい。
どうせクソみたいな日常しか待っていないのだから。
もうわけがわからなくなっていた。
それからまた1時間以上鹿児島の街を歩いた。
意味もなくマックスバリュに入って総菜を買ってみたりしながらとぼとぼ歩いた。

四半世紀以上経てむじんくんに会う

1時半過ぎだったと思う。アコムから審査完了メールが来たのは。
助かったと思った。もう9割5分あきらめていた。
それでもどこかあきらめきれない自分がずっといた。
最後の力を振り絞ってむじんくんに急いだ。
割と近くまで歩いて来ていたのですぐに着いた。
ボロボロの雑居ビルの中にむじんくんはあった。
「ラララむじんくんラララむじんくんラララ」。
セイン・カミュの出世作であったあのCM。
アラフォーなら懐かしすぎて涙が出るだろう。
あのCMを見ていた少年ももうアラフォーである。
それだけの長い時間。四半世紀以上の時を経てむじんくんに会う。
ATMの奥の個室に入ると後ろのカギが自動で閉まった。牢屋かここは。
昔のパソコンみたいなでっかい端末に昔のパソコンゲームみたいな女性が映っていた。
その女性の指示に従って運転免許証をコピーしたりいろいろと手続きをした。確かに無人でできる。すごいなぁと思った。
それと同時にもし運転免許証も忘れていたらと思うとゾッとした。
身分証明書が何一つなければ果たしてどうなっていたのだろうか。。。
一通り作業が終わって備え付けの受話器を取り作業の完了を連絡した。
クレジットカードはすぐに出てきた。ジワリと涙が出た。
そのあとATMで5万をおろした。
神様、仏様、アコム様。神様、仏様、アコム様。
何度も唱えてむじんくんを後にした。

クレカを忘れただけなのに

鹿児島中央駅の券売機で新幹線の切符を買う。ものの数秒で念願の切符を手にした。
クレカを忘れただけなのに。。。クレカを忘れただけなのに!!
なんでこんな悔しい思いをしなくちゃならない。
あんだけキャッシュレスだキャッシュレスだ言っておいて結局カード本体がないとダメとか現金がねぇとダメとか。
マジふざけてんな、この国は。
いいか、二度と先進国とか言うなよ。
こんな国はどうしようもねぇクソ後進国だよ!!
大勢の駅利用者の前で叫びたかった。本当に。
そんな熱い思いをひとりで抱えて2時半前に鹿児島を発った。

最終日は心身ともに疲れたが全体としては悪くない旅だった。
そして、鹿児島また近いうちに訪れたいと思う街であった。

審査完了メールが来て今回最後に見た桜島

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