
シティボーイになりたい。
昨年の夏。クソ暑かった夏。
博多駅前で見たお兄さんの姿が忘れられない。
炎天下に痴女丈短パンでクロスバイクにまたがり颯爽と目の前を駆け抜けていったお兄さん。
セクシーでかっこよかったなぁ。
たぶんあれはノンケだと思うけど、もしゲイだとしてもかっこよかった。
田舎でだってああいう格好はできるけれども、そうじゃないんだなぁ。
シティにいなきゃあの格好の意味がない。
各々が各々の思うおしゃれをして周囲には無関心に過ごさなきゃあの空間は生まれない。
シティの自由さが田舎者には見えるのだ。そして、あのお兄さんはその象徴だ。
今から街に出たところでシティおじさんにしかならない。
それはわかっている。それでも僕は僕の魂を沈めなければならない。
田んぼの中で死にたくない。
冷たい冷たい打ちっぱなしのコンクリートの上で死にたい。
カッチカチの上で永久に土にかえらなくていい。
異物として残り続けたい。それを望む。
だから僕はシティボーイになりたい。