筑波大学・情報学群編入で使った参考書など
私は令和6年度筑波大学 情報学群・情報科学類(coins)の編入学試験に合格いたしました。未来の編入志望者が参考にできるように、試験勉強で使った参考書などを5段階評価で紹介します。
オススメ度の指標は下のような感じです。
5 全員やるべき
4 時間に余裕があるなら全員やるべき
3 できればやって欲しい
2 やらなくても問題ない
1がない理由ですが、なんというか参考書はどれもこれもすばらしいのに、最低評価の1をつけるのは著者に失礼かなと思ったので…(5段階評価とは)
なお、「オススメ度」と書きましたが「優先度」の意味合いの方が近いかもしれません。オススメ度2だとしても「やらない方がいいクソ参考書」という意味ではなく、筑波編入に貢献できるかという観点で見た時にあまり向いてないという意味です。
筑波大学編入の体験談は以下から。
数学
編入数学徹底研究
オススメ度 5
理系の編入志望者の10割が使っている本。編入試験で出る数学が網羅的に書かれているので、旧帝とか目指す人以外であればこれ一冊を「完璧」に仕上げれば事足ります。
ただし、これまでの数学の授業をサボってきた人にとって、この参考書はあまりに難しいと思います(これくらい知ってて当然ですよね?的な文言が結構あるのでダメージは大きい)。躓いた単元は教科書や他の参考書で学び直すなどのフォローがあってこそ光る本です。
自分は5周しました。
編入数学過去問特訓
オススメ度 3
徹底研究と同じ著者が出している問題集です。その名の通り様々な大学の編入過去問が載っていますが、非常に難しいです。A問はともかく、B問、C問は相当ひねくれています。正直そんな問題を解けるようにするよりも、確実に取るべき問題を取れるよう演習を積んだ方が良いと思います。少なくとも筑波大学では。
なんだかんだ言って自分は3周しました。
大学編入のための数学問題集
オススメ度 5
全てのコアを破壊しないと本体にダメージが入らない系のボス一番オススメです。問題の質もさることながら、解説に注釈が多めでかなり読みやすく、一番成長できる本だと思います。過去問特訓と同じく問題が難易度別にA~Cにカテゴライズされてますが、C問はやはり奇問ぞろいなので解けなくてもそんなに凹むことはないです(それでも解説が丁寧なので解きやすいとは思います。ぜひ挑戦しましょう)。
自分は4周しました。
大学編入試験問題 数学/徹底演習
オススメ度 4
これも有名な編入参考書です。難易度は高めですが、徹底研究や大学編入のための数学問題集と全く同じ問題がちらほらあるので、定着度確認用にも使えます。基本は力試し用途で用いるといいと思います。
自分は図書館で借りて1周だけしました(返却期限)。
明解演習シリーズ
オススメ度 微分積分は2、線形代数は3
なんというか問題の癖が強いと感じました。質は高いですが、編入試験に必要ない部分まで詳しく書かれているため、取捨選択が難しいです。
ただ、この明解演習から過去に何回か問題がそのまま出たことがあるようなので、気になる人は覗いてみましょう(今年はどうなのかな?)。
自分は図書館で借りてつまみつまみやりました。
編入の微分積分徹底研究
オススメ度 3
弱点分析の結果、微分積分の強化が必要と感じたため購入しました。普通に問題数が多く演習書として使えますが、この本で学べる事は他の参考書でも十分学べますので、絶対にやらないとダメ!ってことはありません。
苦手単元だけをつまみ食いしてやってました。
編入の線形代数徹底研究
オススメ度 4
打って変わってこちらはおすすめ。多くの高専でやらないであろうベクトル空間分野を詳しく学べますし、部分空間絡みの証明や行列の三角化など、新たに学べることが沢山あります。筑波大学では普通に出かねないのでやっておくと安心です。
自分は図書館で借りて1周。
線形代数セミナー: 射影,特異値分解,一般逆行列
オススメ度 2
coinsに行った先輩から聞いてやってみました。少し編入試験対策としては過剰になると思います。やるとしても射影・固有値分解辺りまでで十分だと思います。
自分は図書館で借りて固有値分解まで。射影分野が面白かったです。
予備校のノリで学ぶ「大学の数学・物理」 今週の積分
オススメ度 3
一通り参考書をやり終わった後、勉強に飽きが来たのでなんとなく見始めました。動画構成として、こういう置換をすると良いよー等の「発想」を最初に教えてくれるので、
問題だけ見て解いてみる
↓
分からなかったら発想だけを見て解く
↓
それでも分からなかったら解説を見る
と柔軟に対応することが出来ます。
積分は知らないと解けないようなトリッキーな解法が多いので、こういった場で使える道具を増やしておくのは非常に大切だと思います。
ちなみに令和6年度では積分を使う問題が一切出題されませんでした。悔しいです。
積分ガチャ
オススメ度 2
問題演習用に。同サイトの漸化式ガチャもオススメです。
情報
C言語によるはじめてのアルゴリズム入門
オススメ度 5
様々なアルゴリズムが図解とサンプルコードと共に載っています。
「クイックソートのアルゴリズム自体は知ってるけど、実装ができない」といった悩みはこの本で解決しましょう。眺めるだけでなく、実際にコーディングしてみるのがおすすめです。
自分は1周しました。
プログラミングコンテスト攻略のためのアルゴリズムとデータ構造
オススメ度 4
いわゆる螺旋本です。
この本はオンラインジャッジシステム「AOJ」の一部問題と連動しており、プログラムが本当に正しいかどうかを確かめることが出来ます。先述の「アルゴリズム入門」がインプットなら、こちらはアウトプット。実装力の強化にはもってこいです。
なお、サンプルコードはC言語だったりC++だったりしますが、できればC言語で書いてみましょう(C言語には標準ライブラリがないのでキューとかスタックを一々実装しなければならず面倒ですが、いい練習になると思います)。
自分は螺旋本自体は1周でしたが、そのあとちょこちょこAOJの問題をC言語縛りで解いてました。
AtCoder
オススメ度 4
有名な競技プログラミングサイトで、毎週コンテストを開催しています。コンテストの1つ「AtCoder Beginner Contest」は、100分という時間制限の中で解いた問題数を競い合い、成績に応じてレートが上がる仕組みなので、ゲーム感覚で取り組むことが出来ます。上2冊で身に着けたアルゴリズムを実践してみましょう。
なお、実際にどんな問題が出るのか気になる人は、下記の過去問サイトをチェックしてみてください。
自分は編入試験までに緑まで行きました
英語
主にTOEIC対策となります。
TOEIC L & R TEST 出る単特急 金のフレーズ
オススメ度 5
TOEIC対策として一番手っ取り早いのはボキャブラリーを増やすことです。せっかく文法を色々知っていても、単語を知らなければ意味がありません。
幸いこの本はTOEICに出やすい単語を厳選してまとめてあるので、最短ルートで高得点を狙いに行けます。
この手の暗記物は反復が大事です。自分は1日100語を目標に短いスパンで周回していました。
TOEIC L & R TEST 出る単特急 銀のフレーズ
オススメ度 5
金フレの低レベル版。とはいえ、高専生は英語に弱い(偏見)ので、横着せずこちらから始めた方が良いと思います。
銀フレと金フレは500語くらい単語が被っているそうなので、銀フレのあとに金フレをやると結構すらすら進むと思います。
TOEIC L&Rテスト 文法問題 でる1000問
オススメ度 5
文法(Part5,6)対策。とにかく問題数が多いので、典型問題から引っ掛けまで、様々なパターンに触れることが出来ます。解説も丁寧で、なぜこの選択肢が正解/不正解なのかも詳しく書かれており非常に優秀です。
自分は多分3周くらいしたと思います。
公式TOEIC Listening & Reading 問題集
オススメ度 4
2023年7月16日時点での最新刊↓
私がやったのはこれ↓
TOEIC公開テストを運営している団体が出している公式問題集です。普通に模試としても使えますが、私は主にシャドーイング用の教材として活用していました。2回分しか入ってない割に値段がお高めなので、図書館で借りるとかするといいと思います。私は友人から借りました。
TOEIC(R)テスト新形式精選模試リーディング2
オススメ度 3
先程の公式問題集とは違い、模試が5回分も収録されていて、なおかつ安いです。ただ、なんとなくTOEIC公式とは文章の癖が違うように感じたので、この問題集に慣れきってしまうと本番で違和感を覚える可能性があります。ほどほどにしておきましょう。
Japan Today
オススメ度 3
在日外国人に向けた、日本のニュースサイトです。Part7対策として隙間時間に読んでました。日本のニュースが主なので理解がしやすいですし、恐らく日本人が文章書いてるっぽいので非常に読みやすいです。内容もTOEICに出やすいトピックが多いです。
DUO 3.0
オススメ度 2
この単語帳はTOEICをやめた後趣味で買いました。なのでTOEIC点数アップには何も貢献していません。と前置きした上で言いますが、各セクションがちょっとしたストーリー仕立てになっていて挫折なく楽しく読める、素晴らしい単語帳です。物騒な単語が結構多いのでTOEIC対策にはなりにくい点には注意して下さい。
勉強法など
「量より質」なんて言葉がありますが、私は勉強方法を工夫して質を高めるといったことが出来ないので、とにかく量を増やすことで補いました。もちろん最低限の質は必要だとは思います。
参考までに、編入勉強に使った紙のノートやiPadノートのページ数を数えたところ、60ページ綴りのノートに換算して実に49冊やっていました。
もう1つ、勉強の際に出てきたケアレスミスを、ただのケアレスミスで処理しないようにしましょう。実際の編入試験における極度の緊張状態で計算ミスをなくすのは不可能に近いですし、計算ミスをしてしまっても部分点が与えられるとは思いますが、やはり減点要素は極力減らしたいところです。
私は表紙に「過ち」と書いたノートを用意し、何か計算ミスをしたときに、ミスの内容やそのミスを減らすための対策方法を逐一書き留めていきました。
例えば、行基本変形の過程で計算ミスをしたとなれば、以下のような対策が有効でしょう。
行列の右側にどのような演算を行ったのかしっかりと書く(①+2×②とか)
用いる演算は足し算と掛け算のみ。特に引き算は使わない(マイナスを掛けたものを足す)。
この「過ち」ノートを定期的に見返せば、自分の犯しやすいケアレスミスの傾向を統計的に知ることができ、効率的にケアレスミスを減らしていくことが出来ます。「このケアレスミスは解法は合ってたし本番で気を付ければいい」と甘えていると、本番で泣くことになるかもしれません。
あとどうでもいいんですが、この「過ち」ノートを含めるとノート数が50冊になってキリがよくなります。
おわりに
紹介した参考書のオススメ度は、あくまで私の主観によるところが大きいので、他の体験談や先生・OBの評判も参考に総合的に判断してください。実際に本屋や図書館で手に取って「思ったより薄いし簡単そうだからやる」とかでもいいと思います。勉強はモチベーション管理も重要なので、自分が続けられそうなレベルから始めていきましょう。
質問等あれば私のTwitter(X)のDMで声をかけてくださればお答えします。