〈想い出話の中に〉
エッセイ/想い出話の中に〈1460字〉
私の小さい頃は
やりたい事をやらせてもらえる環境にありました。
がやや私の両親は一般的な家庭より
やや躾が厳しい方でして
(それが良いのか悪いのかは分かりません)
日常的に
これっしようかな〜
「これは駄目だよ」
「どうして?」「⚪︎⚪︎だからだよ」
「分かりました」
思春期になると
私の行動全ての効率が悪かったらしく
「⚪︎⚪︎ちゃんはどうしてそんな事をしているの?」
「効率が悪いよ」
「非効率だよ、そんなことしていたら」
気が付くと家族に言われるネガティブな言葉が
頭にこびりつくようになりました。
祖母を除いて
私が私らしくいられた場所でもあるので、
必ずしも悪い環境ではなく、幸せな家庭だったのは確かなのですが
たまにこの言葉が今でも耳の奥から顔を出します..
\こんにちわ//]กー̀ωー́ )ジーッ
「それって無駄じゃないの?」と
◇
ある日、主人の母と家具屋さんへ
ソファを買いに行く機会がありました。主人も含め3人です。
私は主人の母と会うのは2回目、胸はどきどきどき。緊張しながらも、話す言葉に失礼のないような内容の言葉を厳選して話したつもりでいました。
ある時、主人はトイレに行く〜と
私と義母二人だけになった時が来ました。
どきどきどき..
"2人きりになってしまった.."
「このソファの色素敵ですよね。」
「この形だとお家での仕事も捗りそうですよね。」
そう言った言葉の私に
衝撃のひと言をいう義母がおりました。
「いやこっちの変な形のソファ(そら豆みたいな、ソファカウチのタイプでした)の方がダラダラ出来そうじゃない?」と、言われました。
私の中で、私の中のハートが脆く割れる音がしました。
「ゴロゴロ、、ですか?」恐る恐る聞いてみる
「うんこっちの方がご飯食べた後、ごろんと出来て、
あの時間が幸せなのよね〜」
またしても私の心のなにかがぱりんと音を立てて割れました。
'な、なんてこと'
'私もずっとそう思ってた!'
'ご飯食べたらソファで横になりたいって'
言葉では「うふふ〜そうですよね」と返しました。
が、内心では泣いていたかもしれません。
こんなどうでもいい言葉に、突然涙ぐむように返事をする女を
嫁にもらう息子が不憫だ、と思われたくなかったからです。
だけれど、義母のこの発言は明らかに
私のそれまでの価値観を覆し、
それまで蓄積されてきたなにかが放たれた瞬間でもありました。
◇◇
昔友達に言われたことがありました。
雨が降り出した登下校中に、
「あっ雨が降ってきたね」
私がかばんの奥にしまってた傘を取り出そうとする仕草をみると
「いいよ、はい。これ1本使って」と。
2本の内のひとつを私に差し出してくれました。
「いま出すから大丈夫だよ」
「いや、奥から出すのめんどくさいじゃん」「はい。傘」
私の幼心に残っていたこのエピソードを
思い出しました。怠惰な私が許される瞬間。
幸福のような、罰のような、
だけれど温かいお日様に照らされたような気持ち。
◇◇◇
時は経ち、大人になりましたが、
まさかこの友達エピソードと同じ瞬間を、
インプレッションを義母から受けたのは衝撃の瞬間でした。
無駄を省くことを正しいとされたきたこれまでと
無駄を楽しむ、または無駄を幸せだと思える価値観に出会えたこと
何気ない3人でのお出掛け記憶は
私にとって癒しで、かけがえのないものになりました。
恐らく当のご本人は覚えていらっしゃいません。
ですが違う価値観に触れることは
時に心の氷山の一角を溶かしてくれることもあるのだと
そう確かに、私の中のネガティブなモンスターが呟いております。
おわり.❤️🍀
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