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〈華色タクシー〉
ショートストーリー/華色タクシー(784字)
宜しければ、音楽を聴きながらでも
読んでくだされば嬉しく思います。
私の住む街にはタクシーが沢山走っていて
決して都会ではない街に
ごく稀に黒い車が、爽快に駆け抜けていく
総じて車社会の街中で
私はギリギリ道端を自転車で漕いでいる
そうギリギリの速度で
停止線で自転車を止めたなら
そのギリギリを過ぎていく車たち
停止線で自転車を止めたなら
そのうしろの車はブフんと音を立てて走っていくの
◇◇◇
この景色を何回みただろう
いまいる街は、山と川に挟まれた素敵な街並みが特徴的
その中でひとつだけ挙げさせてもらうとすれば
車の運転だけが、どうにかならない?
と思ってしまう。自分がいます。
その中にカラスのように艶々の黒い車が走るとき
あっタクシーだって私は気付く
皆が前一方しか見てない中で、
タクシーはなんだか全方位へ気を配っているかのような紳士的な存在に感じる
お客さんを乗せて走るから?
スピードも安定しているから?
それとも観光客を乗せているから?
様々な理由を思い当てるけれど、
街中を走るタクシーは華やかで
自転車を見つければ、片道に寄ってくれる
◇◇
そして電車が走らない街へ向かう時は
なるべくバスを使いたいのだけれど
どうしてもやむを得ない場合は
この黒光りのヒヨコタクシーを見つけます。
「◯◯街の⬜︎のお店までお願いします。」
「はい、かしこまりました。お客様、」
パタンとドアが閉じる。
ゆっくりと走り出す車、
この速度が優しくて安心する。
広く見渡した視線の先は、危ない車はなるべく避けるよう急ブレーキも、踏まない。
無難な大通りと地元民しか知らないような
小粋な小道で近回りして
送り届けてくれる。
雨の中では、特別便利で
優しいよね。
◇
カラス色の黒にヒヨコ色の看板のタクシーは
運転が出来ない私にとって
華やかなヒーローなのかもしれない。
カラス色みたい艶々の黒に
ヒヨコみたいな黄色の看板が目立っていて可愛い。
だからこのタクシーを見つけたら
なんだか今日はラッキーだったなって思うことにしています。
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