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うかれ女の離婚始末記 前編

あらざらむ このよのほかの おもひでに
いまひとたびの あふこともがな

(わたしはもうすぐ死んでしまうでしょう。
この世から離れる思い出に もう一度、あなたと一夜を共に過ごしたいです)

平安時代きっての才女で、恋に生きた女性!

和泉式部のお話しです。

最初の和歌は誰に送ったのか?
それはイケメン皇族で、プレイボーイの為尊親王と敦道親王と思います。

最初は為尊親王と激しい恋に落ち、為尊親王が亡くなると一年も経たないうちに敦道親王と激しい恋に落ちている。
ちなみに為尊親王と敦道親王は兄弟である。

敦道親王と親密になるとだんだん周りからうるさくなってきて和泉式部の元にこられなくなると親王のよこした牛車で迎えに行って、車の中で密かにデートしていたとのことです。
当時は女が外で男に会うのは考えられない冒険である。
今なら、女の子がこっそり男の子の家に忍び込み、家の人にも気づかれず、そのままベッドに潜り込んでイチャイチャしている感じでしょうか?
敦道親王も牛車を車庫に入れて和泉式部と車の中でしていたこともあります。

敦道親王はイケメン、プレイボーイなので、和泉式部とも特別なアバンチュールを楽しんでいたのかもしれない。

おそらく和泉式部には
「この女は手放せない❗️」と思うほどの魅力的な女性だったのでしょう。

和泉式部と関係を持った男性は十人以上いたと思われる。皇族、貴族、お金持ちなどそうそうたる顔ぶれである。

そんな彼女も結婚運はあまり良くなかったようである。
一人目は橘道貞で、もう一人は藤原保昌である。二人とのそれほど身分は高くない。

それはそうかも知れない。
パッとしない夫のいる女性の前に、貴公子たちが言い寄ってくるのである。
もちろんこの二人の夫とは共に離婚している。

この図式からすると夫に嫌気をさして、別れているように見えるが、和泉式部の立場からすると少し違うようです。
彼女は自分が棄てられたと思っていたようで、最初の夫の橘道貞には未練たっぷりの歌を残している。

一体どういうことなのでしょうか❓

冷泉天皇のお后の昌子内親王に和泉式部はお仕えしており、そこで当時和泉守だった橘道貞と出会った。二人のいきさつは不明であるが、和泉式部の父の大江雅致の口利きで橘道貞を昌子の後宮の権大進に推薦している。

橘道貞も天皇のお后の所で働けるなら、偉い人の出入りも多く、コネが色々できるかもしれないと思ったのかも知れない。
いずれは実入りの良い国守になったり、中央官職につけるかもしれないという思惑もあったと思う。

和泉式部側も既に和泉守になっていた道貞に近づくことで財力のある婿殿は望む所だったかもしれない。

言ってみれば損得ずくめである。
そのあたりから二人の仲は崩れていたかもしれない。
彼女の浮気だけが原因ではない。

浮気でいうと和泉式部はもちろん当時から恋多き女性である。
事実、和泉式部が身籠った時、一体誰の子どもなのだろうと噂が立ったようである。

それに応える和泉式部の歌

このよには いかがさだめむ おのづから
昔をとはむ 人にとへかし

(この世のことはよくわからないけど、前世の因縁だといわれますからね。前世がわかる人に聞いてみたら?)

誰の子なんだろう⁉️


橘道貞はあまりこのことは気にしていなかったようである。
ただ出産の時にこの婿殿は大サービスをしている。出産は当時、お嫁さんの家で産むことが多いらしいが、和泉式部の実家はあまり大きくなかったので、実入り多い道貞の屋敷を提供したのである。
もちろんここで後宮で働く和泉式部にこういうサービスをしておけば、後々いい事あるだろうという打算もあったと思います。
でもその思惑は崩れます。昌子内親王が亡くなるのである。

昌子内親王がなくなると後宮は解散となります。
この頃は二人の仲は悪くなります。
一つは和泉式部が橘道貞の屋敷から追い出されます。

道貞
「後宮が解散したので、もう御用も済んだことですので」

和泉式部
「まあ、あなたってずいぶん冷たいのね❗️
なんてひどい人なの‼️」

こんな夫婦喧嘩があったかも知れない。
ただ橘道貞はひどい‼️

更にひどいのは橘道貞は陸奥の国守で任地に行く時、別の女性と行ってます。
その女性は時の天皇の一条天皇の正妻で藤原道長の娘の彰子に仕えている女性である。

和泉式部の仕えていた後宮が無くなったので、もう利用価値はないので、
今度は藤原道長側の女性と一緒に行くことで、権力のコネを繋いでおこうと考えたのか?

橘道貞も哀れなパッとしない男性ではなかったのである。

和泉式部はこの時、道貞に未練たっぷりの歌を残している。

もろともに たたましものを みちのくの
ころものせきを よそにきくかな

(本来なら陸奥の国へあなたと一緒に行ったところでしたのにね。)

しかし、この時、和泉式部も敦道親王と大恋愛中だったのでした❤️

一体どういうことなのでしょうか?

(続く)







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