伊予市の翠小学校に行ってきました
今日は伊予市にある愛媛県で最古の現役木造校舎の小学校、その翠小学校に行く機会があったので書いてみたいと思います。
2005年に環境省の「学校エコ改修と環境教育事業」モデル校に指定され、2007年から約3年かけて耐震補強と改修工事をされ今に至ります。
もうずいぶん前になりますが、「明治のプロビオヨーグルトR-1」のCMで「休めない人・愛媛県小学校」編を憶えている方もいるかもしれませんね。そんな翠小学校で校舎見学と講演会を開催されるということでお邪魔してきました。
日本建築家協会(JIA)主催の四国支部総会にお邪魔しました
今回の見学会と講演会は日本建築家協会(JIA)四国支部の主催。仕事の関係でお世話になっている方も参加されていて一年に一度のお楽しみな行事でもあります。
私の会社も協力会員なので、本来なら参加する予定でしたが、今回は会社としては欠席とのこと。せっかくの機会なので個人的に参加させてもらいました。
第1部「ライフサイクルカーボンマイナス・ウェルネス建築への挑戦 ~ 学校の木造化・木質化の効果検証から~」
会は2部構成とグループディスカッションとなっています。
第1部の講師は慶応義塾大学のシステムデザイン科の伊香賀俊治教授。2007年のエコ改修にも関わられた先生です。何となく難しそうなお題ですが、小中学校の木造化・木質化で児童生徒の健康と学習効果に与える影響などについて素人の私にも理解できるよう内容で聴かせていただきました。
環境測定やアンケート調査、活動量計などを使って得たデータからいろんなことが明示されています。
・満足度の高い教室環境 ⇒ 体調、集中力に好影響となる
・満足度の高い教室寛容 ⇒ 学習効率に好影響となる
学習意欲の向上やストレス軽減
・エコ改修後に欠席率が低下
・児童の身体活促進が学習効率を向上した可能性
ご興味のある方はこちらもどうぞ。
第2部「建築は未来への手紙」
第2部の講師の方は建築家の三分一博志氏。広島を基点として瀬戸内に根差した建築家の方です。
建造物のように固定された「動かない素材」と風、水、太陽(光・熱)などの「動かない素材」との関わり方について今までの建築作品の写真を織り交ぜたお話を聴かせていただきました。じっくりと調査にも時間をかけその土地と建築のあり方についての世界観が建築された施設からしっかり伝わってきます。
デンマークのシステアナ美術館の「第四室」のプロジェクトなども楽しく拝聴でき、行けないんだろうけど一度は観てみたい気持ちになります。
翠小学校の校舎見学
講演会の後、当時改修建築に携わった方のガイドによる校舎見学です。太陽光発電やバイオマスエネルギーの利用、太陽熱温水器や雨水利用。トップライトや光ダクトの採用など様々な知恵が集結した施設でありながらも昔の雰囲気がしっかりと残っています。
残念ながらデジカメのSDカードに不具合があり、当日撮影したデータが消失してしまいました。サブ的にスマートフォンで撮影した数枚の写真しかないのが残念...。
その後は先のおふたりに環境建築の実績のある建築家、地元翠地区代表の2人が加わって、4人でパネルディスカッション。
ここ翠地区はほたるの里としても有名な地域。2018年の西日本豪雨では約1/10くらいにまで減ったようですが、地元のほたる保存会と翠小学校の児童が一緒になって、ほたるの繁殖や幼虫のエサとなるカワニナを散布したり、身に来られる方のためにガードレール清掃などの活動をされているようです。
翠小学校ではPTA行事も盛んらしく、お子さんが卒業されてもPTA活動に参加されるPTAのOBなる存在もあるとか。まさに改修目標のひとつである「地域との連携、交流拠点としての学校」を実現されている様子。
昨今、移住者と地域住民とのトラブルについての報道を目にすることが多くなりましたが、ここ翠地区ではそんな問題なんてないんでしょうね。きっと翠小学校が両者のハブ的な役割を担っているんでしょう。素晴らしい!
普段あまり深く知らないことを見聞きしたり、いろんな施設(場所)に巡り合えるのはこの会ならではです。とても楽しい時間を過ごしました。
また、次回も必ず参加したいものです。