パーパスの性質について
今回は、パーパスの性質について確認します。
一般的にパーパス(purpose)は、意図・目標・趣旨などと訳され、
➢何か(もの)が存在する理由、
➢何かを行うことの意味(ある行動をとる理由)
を表す言葉として用いられています。
そのものが意識するかどうかは関係なく、あらゆるものや行動に対してパーパスがあるということです。つまり、鉱物にも、植物にも、昆虫にもパーパスを見出すことができるということです。
そこで、人はなぜ存在するのかというように、一般的な目的(purpose)論を語ると、哲学的な話(ハイデガーの存在論とか)となりますので、ここでは特定の事象における個人や組織のパーパスについて考えます。
個人のパーパス
例えば、個人的に用いられるパーパス(⇒以降の文)の場合を見てみましょう。
受験する大学を選ぶ(という行動)のパーパスは、
⇒望む専門的な学問/技術などを学ぶ(研究する)ため、あるいは
⇒自分の学力を誇示するため:自分の中で完結するパーパス(以下、自己目的と呼ぶ)
など
病気と闘う(という行動)のパーパスは、
⇒健康で生きることで、自分を必要とする人を安心させるため、あるいは
⇒やりたいことがやれる(挑戦できる)心身となるため
など
ゴミを分別する(という行動)のパーパスは、
⇒廃棄物を減らすため。
など
このような個人のパーパスは、自身の行動の意味や自身が存在する意味あるいは意義を表現したものになります。
組織のパーパス
次に、組織(ビジネス)におけるパーパスを確認しましょう。
商品やサービスを開発する
⇒商品やサービスにより問題が取り除かれる人のため:ジョブ理論のジョブと類似しています。
決算書を作成する
⇒特定期間における組織活動を評価するため、あるいは
⇒指定されたルールに基づき税金を納めるため
など
このように、組織においては、大抵の場合、自己目的は表現されません。つまり、何のためにこの組織があり、何を実現するために事業(業務)をするのかを宣言するものです。
以前は「企業は利益を上げることを目的として・・・」と述べられたこともありますが、そもそも「利益を上げる」はある目的行動を達成した結果得られるもので、一般的には「目標」として認識することが妥当です。敢えて、目的とするなら、自己目的として認識します。
個人や組織のパーパス
特定の事象におけるパーパスは、
個人のパーパスか組織のパーパスかという側面
内的パーパスか外的パーパスかという側面
の2つの側面があり、その組み合わせである4つの視点で見ることができます。(図参照)
本来のパーパスは、個人でも組織でも外的パーパスで捉えます。内的パーパスは、ミッションや目標とほぼ同じような内容になります。
パーパスの性質
パーパスの重要な性質には、「ユニーク」「階層性」「拡散性」があります。
ユニーク:パーパスは、対象が存在する特定の事象により設定されるものであるため、一つ一つユニークなものになります。
階層性:パーパスは、決まったレベルで設定されるものではなく、それぞれ設定されたパーパスの上下にもパーパスが有り階層構造になります。
拡散性:パーパスは、対象ごとに一つでは無く、対象を取り巻く様々な事象ごとに存在するため、関係する事象(特に関係するステークホルダー)ごとに拡散していきます。
「パーパス」の性質の一つの例について、以下の情報を基に確認します。
ハーバードビジネススクールのランジェイ・グラティ教授は、パーパスの効用について、HBR(2022年2月8日~)の記事の中で以下の4つを挙げています。
・企業戦略の方向性が明確になる
・社員がやる気になる
・ブランド価値が高まる
・ステークホルダーやコミュニティーとの関係性が深まる
これらを基に、パーパスの「階層性」と「拡散性」という性質を確認します。(図参照)
以上
次回は、「パーパスの検討方法について」です。
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