日本語の美しさに新たな光を当てる
56歳の親父が人生で100回以上聞いた100枚のアルバム紹介第56弾!
「たであい」 青柳拓次
2007年発売
私が東京に行き音楽で食べる為に右往左往していた時、TVでは(いかすバンド天国)という番組が大人気でした。
所謂素人バンドのコンテスト番組で、この番組で勝ち抜くとメジャーデビュー出来るという、あの当時のバンドマンにとっては画期的な番組でした。
一人で東京に行った私は出演できず、横目で羨ましいな~と思いながら観ていた番組でした。
多くのバンドがデビューしましたが、90%以上は今は存在しない。
私の記憶では今もメジャーで残っているのは、ビギンと人間椅子、そして本日紹介する青柳拓次のいるリトル・クリーチャーズ位だと思う。
リトル・クリーチャーズを初めて観た時は驚きました。
確かまだメンバー三人は高校生で、物凄いセンスのあるオリジナルを演奏したんです。
こ奴らは今までのバンドとはレベルが違うと瞬時に感じました。
決して唄も演奏も凄い上手かったわけではないけど、センスの塊の様な3人でした。
案の定その後バンドとしても活躍したし、夫々の音楽活動も充実していて、多くのミュージィシャンからもプロデュースや共演を求められています。
長くなりましたが、そんな青柳さんのソロプロジェクトが今作。
恐らく音楽は海外の音楽に影響を受けて育ったんだろうけど、自分のアイデンティティーである日本語に光を当てた一枚。
青柳さんのアコーステックギターを中心に、二胡や大正琴、木琴に三線、果ては馬頭琴やトンコリ(アイヌの楽器)まで。
シンプルな演奏の中にアジアの伝統楽器がさりげなく入り込みます。
プロデュースとアレンジをしたのが青柳さん自身と、リトルクリーチャーズの盟友・鈴木正人(B)。
この鈴木正人がまた才人で、彼がプロデュースしたアルバムは名盤揃いです(それはまた)。
今作は決して物凄く売れた訳でないなし、それを想定して作られてはいない。
でも誰が何と言おうと名盤であるのは間違いない。
スピーカーで大音量ではなく、ヘッドホーンで聞いて欲しい一枚です。
日本語って綺麗で深いというのを再確認すると思います。
皆様にはこの一曲を。