既婚者向けマッチングアプリ記録5
会社員、C(38歳)。娘二人。横から見るとあれっ、と思う時もあるが、正面から見た顔はかなりかわいい。
38歳には見えない。
というかどのくらいが年齢相応なのかということは、決まってない気がする。
どのくらいの顔に仕上がっているかは、本人の体質とか生活習慣とか、美容にどのくらい金をかけているかとかでかなりの差がある。
美女として生きてきたからなのか、緊張のためか、最初のうちは自分のモテ自慢、能力自慢のようなものが続いた。
あー俺飽きちゃったらどうしよう、顔に出ちゃったらどうしようと思いながら聞いていたが、幸いなことに飽きなかった。
けっこう楽しく話すことができた。
19時くらいから会って、4時間くらい話していた。
1件目の居酒屋と、2件目のバーで合計1万6千円くらい支出した。
彼女は1円も払わなかった。
自分が殺して食った生きものに対して、なんの犠牲も払わないでいられる気持ちは理解できなかった。
落ち着かない気持ちにならないのだろうか。
僕は基本的にこういう女を軽蔑しているが、見た目はいいのでもちろんセックスはしたい。
何が公平なのかは正直わからないので、美容に金がかかるからとか、男女における賃金格差とか、女に寄り添える程度のところまで様々な要素を考慮して思考停止するのが無難なのかもしれない。
それでも女とうまくやるために思考停止したという引っ掛かりは心に残って消えない。
心にわだかまっている敵意や軽蔑が性交中に高まって萎えないといいなぁと漠然と祈っている。
それ以前にセックスに持ち込めるかどうかという問題があるのだが。
1万6千円+次回のデート代まで含めるとおそらく3万円を超えそうなので、そこでセックスできなければそこそこ高級な風俗店よりも高額ということになりそうだ。
Cはいいねがたくさんくるので、好みじゃない男からのメッセージは読みもしないという。
そんなことを書いていて止まっていたら、Cから切られた。
僕が配偶者から攻撃を受け、そのことについてラインで30文字くらいの愚痴というか報告をしたら、
「いちいち奥さんの愚痴を私に言ってくるのウザいんだけど(笑)」と言ってブロックされた。
Cは会っていた時、かなりの時間配偶者や婚外恋愛の彼氏について愚痴を言っており、僕はそれを辛抱強く聞いていたのだが、そういうことはカウントされなかったようだ。
1万6千円と4時間を失い、セックスの機会は失われた。
こういうのをどういう風に心に位置づけようかなと考えてみたのだが、ものすごく不愉快な運転手の運転するタクシーに乗って、ものすごい遠回りして家に帰ったと思えばいいのではないかと思った。