スネークオペレーター〜特別諜報捜査官〜#15
【前回までのあらすじ】
銀座の高級クラブママのからコカインり売人であるネネが、暴露系ユーチューバーのナンシーの動画に映り込んでいる事を知らされる。茂原で摘発した7人からも北の人間のボス黄(ファン)とそのバディである宗(ソウ)と他にも何人か北の人間が都内に散らばって活動している事を掴む。ネネこと根本京子は、木更津市にあるキャバクラ〝ミント〟に現在在籍している情報をもとに行動確認を始め、木更津と佐原に北の基地があることを知る。そんな矢先、豊洲のヤスの自宅がドローンでの爆撃を受けてしまう。
暗くなってしまったので、戦闘服でアルのゲレンデで木更津に。
ネネの出勤時間が20時のはずなので、スマホで上田の位置確認したらネネの宿に居た。あの宿には、絶対ナンシーが居る筈だ。
この前の指向性盗聴ではナンシーの声は無かった。もしナンシーひとりでお留守番なら拉致して基地にご招待だ。いずれにしても少人数なら乗り込むつもりだ。だが、宿で騒ぎになれば木更津ベースには入れない。木更津ベースには急襲したいのだ。
例えば宿で木更津ベースに行く用事作って、隠れて侵入するか。宿を制圧しとかないと応援呼ばれるし、とそんなことを考えながら着いたらアルが
「宿はそのままにして木更津ベースの方、網をボルトカッターで切って侵入しましょうよ。今日は武装して来てるから血が騒いでしょうがない。ヤスも家を爆破された当日だから、なんか口実にならない・・?」
とアルの提案。
「俺は口実とかそんなのはどうでもいい、今は暴れたいんだ!」
と言ったら、木更津ベースのキャンプ場横の砂利道へ向かって四輪駆動使って走って行った。手前で1回停まる。作戦を練るアルが
「カッターで網切ってるの面倒だから入り口からそのまんま突撃して行きましょう。それで、俺はライト(R)、ヤスはレフト(L)監視塔から撃ち落としで・・。」
そこまで言うと
「準備OK!」
とヤスが言う。
ゲレンデはボディも防弾だから弾避けにもなる。ガラスも防弾。建屋まで突入する予定だ。アルが
「それでは行きます。」
アクセルを踏む。石を跳ねる音がする。まず見えて来たのが、X字に組んである網ゲートだ。
ガーガーン!
楽勝に突破だ。前後左右から弾が連打してくる。
防弾なので、まだ反撃しない。建屋から人が出て来た。
ゲレンデがスピードを緩めず突っ込んで、その人間を跳ね飛ばす。車が停まったところでアルが
「気を付けて!」
と外へ出る。
M16マシンガンをぶちかましている。
俺が左後ろに隠れている奴がいるため、ドアを1度開け、また閉め運転席から外へ出てそいつを撃った。
前方に2人コルトガバメントで1発づつで大丈夫。
地下室から蟻のように人が出て来る。螺旋階段になっているので後ろだけ気を付けとけば前から出て来たら撃てば良い。
2人、3人と出て来て死んだら仕方ないがなるべく急所は外してやる。武器を落としたら遠くへ蹴り飛ばす。
銃の音が止まった。そんな時は必ずナイフを手にして待ち構えている。
一旦逆に外へ出てアルの様子を見る。監視塔はすべて制圧している。
日本人が居ないか確かめていた。中から1人出て来た。銃を持っているが目は死んでいる。ヤスが
「殺されたくなかったら武器を捨てろ!」
そう叫ぶと武器を捨てて両手を上げた。
「床に伏せろ!」
床に伏せたので、結束バンドで後ろ手で結束する。
「中にあと何人居る?」
と結束した男に聞くとカタコトの日本語で
「もう誰も居ない。」
倒れてる3人も結束する。武器も遠くへ蹴る。
アルの方は、門兵2名、監視塔5名の7名を制圧。
監視塔の5名は、3名は上で絶命していると思うが2名は下に落ちたので、アルが結束していた。床に伏せている男に中を案内させる。
アルに無傷か聞いたが、親指を立てて
「余裕だよ。」
とウインクをする。外人顔はウインクが似合う。
中に入って行った。10畳ぐらいの広さの壁3面に大画面パソコンモニター3面とジョイスティックのセットが設置してある。
「この野郎!やっぱりお前達か!俺ん家を爆破したのはなんでだ?」
「命令されて、緯度と経度、部屋の位置で部屋だけ破壊との命令だった。」
ここからドローンの操作をしていたらしい。アルが
「これは3台分のドローンを操作できると言うことか?」
と朝鮮人に聞くと
「3台どころじゃない。チャンネルを変えれば1人で何台も一緒に操作できる。大きさも本物の飛行機ぐらいのもある。」
アルが続けて、
「何台あるんだ?」
朝鮮人は答えないから、2回聞いた。すると、
「数えられない?」
急に銃声がし、答えていた男とアルの肩に銃弾が当たる。
アルもヤスも伏せる。ヤスが撃って来た方に何発か撃ちながら前へ進む。
螺旋階段をアルが回り込んでヤスが援護しながら撃って行く。
相手は一人のようだ。ヤスはマガジンを交換しながら階段をそっと昇ろうとすると、気が付いたのか後ろ向きになったところをアルが足を撃った。
足を引きづりながら逃げて行く。追いかけようと外へ一気に出たら突然、ヤスが撃たれた。
ヤスが倒れたところへアルがすぐ行き体を引っ張って影に隠す。
撃って来たのはネネだった。足を引きずって逃げるのが上田だ。
ベンツのCクラスは後輪を空回りさせ砂埃を上げ逃げて行った。
アルが肩の止血をしながら、
「ヤスー、死んだふり上手いな。」
と言うと、パッと目が開いて
「いくら防弾チョッキでもアザできるぐらい痛いから、ネネの野郎!絶対許さねー!!」
って言って起き上がる。アルが
「この重たい防弾チョッキでも、結構ダメージあるな?」
ヤスがうんうんと頷き
「アル、ここは所轄に任せて、俺、早くこれ脱ぎたい。」
「あと、エリー様に報告して、諜報捜査隊で建屋の中は解析するよう言って欲しい。」
アルと一緒にゲレンデに向かって歩き、パンクしてないことを確認し、基地に向かいながら報告した。
基地に戻って、アルはメカニックにゲレンデがガラスと破損したボディを修理するよう指示してた。
基地にたどり着くのかと心配するぐらいフロントガラスが蜘蛛の巣だらけで真っ白だった。よく前が見えたもんだ。
ボディ共々AK-47でも撃ち抜かれることはないほどの防弾らしい。
いずれにしろ、防弾チョッキとか防弾が付くものは重たい。
ボディの内装側を外して見せてもらったけど、もう一枚厚い鉄板が入っていた。
防弾チョッキもすぐに脱いで見たら、ケプラー素材で出来ていて、弾玉が素材で止まってはいるが、衝撃は体に受けるので、まるでハンマーで叩かれた感じがする。そのせいでアザができる。でも、それで文句言っても死ぬよりはマシだ。
アルと今日の反省会と言うかミーティングをした。
どこを取っても反省点は無いと思う。ただ、上田が連絡を受けたのか応援に来たのは気付かなかった。
ネネの宿も今日限りどこかへ退去すうだろう。上田の車にGPSが装着してあるので追うのは大丈夫とは思うが・・・。
あと、アルと問題になったのは、ドローンの数だ。
絶命した北の人間は薄笑うように数えきれない程あると言った。一体、北は何をしようとしているのか?
隊の方で木更津ベースのパソコン関係やモニター、ドローンのコントローラーなど回収させた。あと解析を急いでいる。
アルフレッドが久々意見した。木更津を制圧したけど、何か違和感があると、もしや得意の囮ではないか・・?と言った。
確かに基地にしては殺風景だと思った。もしや本丸は佐原の方なのか?
アルフレッドも佐原の方が濃厚と考える。SWATの方からも佐原の鉄の扉には、数箇所から監視カメラを設置したと報告もあり、IPも送られて来た。
流石、高性能暗視カメラが3方向から狙っている。画面の端にはパンやズーム引きもカーソルでできる。今のところ何の異常はないが扉の奥、いわゆる森林の中は何も無いが怪しいとの見方が全員一致している。待つしかない。アルと交代でシャワーや休息を取ることにした。
腹が減ったのでヤスは電子レンジのご飯にレトルトのカレーを頂いた。
上田は歌舞伎町に居た。ひと休みしたら、上田の方を捕まえに行こうと考えた。アルも同意見だった。その代わり、ネネを泳がせておこうと言うことになった。ヤスは先に眠りについた。
〈第十二章〉
アルの準備が整い、まずヤスと作戦を練る。
この際だから、上田が歌舞伎町に居る時に事務所を襲うことにした。
もう少し時間を置いて、夕方にシャブやコカインの売人がトー横や歌舞伎町に出だした頃が良さそうだ。
ひとまず、警視庁の方には、連絡しといたが、勝手なことをしないよう連絡はした。
駐車場には、ベンツのマイバッハしかそれらしき車は無かったので、それにした。まさか、フェラーリで行くわけにもいかない。
武器も特殊警棒と拳銃、我々は手錠の代わりに結束バンドを束で持っているので、次から次へと結束して行くつもりだ。
今日は金曜日。後ろ手で結束した者は次々と護送車に乗せてもらおうと思う。
「さぁ、ヤス、行くか!」
とアルフレッドは張り切る。
何故かと言うと歌舞伎町は可愛い子が沢山居るからだ。こういう時はいつも先頭を切る。
マイバッハに乗り込む。ヤスは助手席で銃の確認とスペアのマガジンをとりあえず2本持った。
区役所通りから入って行って、広めのコインパーキングを見付けたのでマイバッハを停めた。
風林会館方向へ歩く、アルと道の端を別々に歩く。
ちらっと後ろを見たら、目付きの悪い刑事が付いて来ている。いつでも、どうぞ!と言っているようだ。
とりあえず、トー横まで歩いて怪しい奴に職質だ。
アルは既にストリート系のチンピラと話していた。アル凄まれているが腕を捻り上げてポケットの中を出させる。シャブらしきパケ発見。
後ろ手に結束バンドでその場でねじ伏せた。ヤスも2人組の奴らに声を掛けた。ヤスの服装は今日は歌舞伎町風のチンピラ風なので、
「お前、どこのもんや?」
と凄んで来たが、手を捻って背中に回し、片方の男は首に蹴りを入れて失神させ、ポケットの中から薬物が出て来たため、この2人も結束した。
そのままトー横方向に左折した。アルはもう獲物を結束していた。
トー横に入ったら、3〜4人が襲いかかって来た。あと鉄パイプで襲って来た奴はいつのまにか鉄パイプを取られ、首を締められ落とされて結束。
残りの2人は逃げようと走り出したので、追いかけて飛び蹴りで2人とも倒して仲良く結束。
そろそろ何かあったのか?とさくら通りにある黒澤組から何人か出て来る頃だ。
トー横からさくら通りに向かう。やっぱり前から今どき珍しいタボシャツの男と特攻服に組の代紋が入った服を着た男が走って来た。
アルも結束2〜3人終わったらしく、応援に来たので走って来たダボシャツ男をヤスが締め上げ結束。そのまま事務所に案内してもらった。
アルも同じで後ろから締め上げた特攻服男を連れて案内させる。上田は逃げられないように車のタイヤにロックを掛けておいた。
ダボシャツの男に先に事務所に入ってもらうと、組員たちは、えっと言う顔をして、状況が飲めたのか
「なんじゃ、お前ら!!」
とすごむ。
「おーい、上田!迎えに来たぞー!」
とヤスが言う。
何の返答も無いので、ダボシャツの男を盾に組長室のドアを蹴り破る。
足に包帯を巻いた上田が、銃をこちらに向けていた。
「おーっ、撃たなくて良かったな。若い衆殺すところだった。」
ダボシャツを盾にしたまま、銃を抜く。後ろからアルが
「さぁ、撃つなら撃ったらどうだ?」
ダボシャツの男を横にのける。ジリジリと距離を詰めて行く。ヤスが
「撃つのか、置くのか、どっちかにしろ!」
と静かに言う。大きな声で言うとハジく場合がある。上田は観念したのか、そーっと銃を置く。
「ネネは俺をもろに撃ったか殺人未遂と公務執行妨害、銃刀法、火薬取法などなど・・・。上田、お前は今のところ銃刀法、火薬法、あと、公妨と犯人隠避ぐらいかぁ〜?4〜5年の懲役ってとこか。これからの態度では負けてやってもいいんだぜ。元同僚だしな・・・はっはっはっ。」
とヤスが笑いながら言うとアルも一緒に笑った。アルが近づいて行って、結束バンドで結束した。ヤスが
「ちぇっ、今日は撃ち合いがあると思って、スペアのマガジン2つも持って来たのに・・。」
笑いながら、マイバッハまで連れて行った。
首都高乗ったら目隠しマスクを被せて基地まで連れて行った。
基地の取り調べ室は署に比べ3倍大きい。被疑者の椅子なのに立派な椅子だったりする。そこへ上田を座らせる。ニッパーで結束バンドを切ってやる。ヤスが
「さてと、これまでの流れは分かるよな・・?」
「・・・・・・。」
「黙秘かこの野郎。連れて来る時言ったよな。あとはお前のアゴ次第。黙秘ならそれでもいいぜ、コカインくっつけて無期懲役にも出来るんだぁ。えーそうだろう?」
とヤスが言うと、苦しい顔で
「な、何が知りたいんだ?知ってもどうしようも無いってことってあるじゃねーか。」
と上田が言った。ヤスが続けて、
「北の奴らのことか?またエグいこと考えてんだろう?」
上田が頷く。ヤスが上田に聞く。
「まず少しずつでも話すんだ。時間はたっぷりある。あとあのネネのアマどこに居る?」
上田は頭に乗って交換条件を持ち出して来た。
「全部話したらパイ(釈放)してくれるか?黒沢組は俺が居ないと他の組に吸収され無くなるも同然だ。それじゃ黒沢の兄貴に顔が立たねぇ。北の野郎たちは、儲けさせてくれるけど、小麦粉(コカイン)以外のことはあんまり教えてくれない。ハングルで話してるのはネネだけなんだ。ただ、あのナンシーの野郎と何か企んでやがるのは確かだぜ。」
と上田が真剣に話す。本当のようだ。ヤスが
「ナンシーの配信見たけど、7月9日(日)にハッピースターパークがどうだのって話のことか?」
「あれ、木更津制圧されたんで、日にち変更するとか言ってたなぁ。なんか北朝鮮からICBMだったか、テポドンだったかを落とすらしいぜ。それも見せしめに・・って言ってたから。」
「どう言うことだ?!北は今まで何回もEEZ入ったり入らなかったり、青森の近くの海か、青森飛び越えて喜んでいたのが、今度は本気にハッピースターパークに落とすのか?」
上田も頷きながら、
「らしいぜ。調べてみな、あのテーマパークの回りに浦安から葛西、もっと広い範囲を既に中国人や北朝鮮が土地を買い締めてある。あいつらが言うには、あんな古いテーマパークなんか要らないとか言っていた。そう言えば、古くからあるよな。」
それを聞いて
「じゃあ、ナンシーはその“X”ディを知っているんか?」
「北の奴ら、ナンシー使って、あんまり人災にしたくないような感じだよな。戦争じゃないんで、関係無い人は殺さないみたいな。」
上田が調子に乗って話す。
ヤスは最初から上田はパイにしようと考えていた黒沢にもヤスは関係したからだ。侠気があった。黒沢組を黒沢が出所する14〜15年は直参で頑張って欲しいと個人的な考えからだ。
下手すると花田が極桜会若頭だった時、花田と一緒に極桜組に帰参していたら、ヤスが木下雅也親分を殺していたかも知れないからだ。
花田誠がコウモリのようにあっちヒラヒラ、こっちヒラヒラを見てられなかったから、木下親分率いる神戸極桜組に残ったのだ。そして今がある。
神戸極桜組は抗争終結で解散にしたのも結局は若頭であるヤスでカタギになると決めて、その後一年考えて先にカタギになっていた矢﨑の叔父貴(木下と花田とも兄弟分に当たる)が設立した運送会社でスネークオペレーター(トレーラードライバー)をやらせてもらってる。
裏稼業は、特別諜報捜査隊で警視として捜査官に就いているわけだ。
話を元に戻すが、北が人災にしたくないからと、ナンシーの配信を使って爆弾落とす予告をしといて、これは戦争じゃないとか大義名文を言って入るが、それもれっきとした戦争だろ。
ロシアのウクライナ侵攻にしたって、一般市民は狙ってないと言いつつ多数の一般人が犠牲となっている。これはどうしても阻止しなければならない。ヤスが続ける。
「ところで、ネネはどうした?俺のこと殺すつもりで撃ちやがった。おかげで体中アザだらけだ。」
「それが、あの日から連絡が取れないんだ。」
と言う上田。本当のようだ。
「あの後どうした?下の宿屋に行ったんだろ?それとも佐原か?」
とヤスたちはGPSで知っていたので聞いてみる。宿屋と佐原の存在は知っていた様に話はしたが
「あんた達が宿屋には来るだろうと思って直接新宿来たよ。歌舞伎町に着いたら行くとこあると言って出てった。」
と上田は言うとつづけて、
「佐原ベースまでお見通しか。さすが、諜報捜査官だな。」
と上田が茶化す。ヤスは続ける。
「お前、佐原に行ったことあるのか?」
上田は苦笑いして
「実は一度も行ったことないんだよ。本当に。」
ヤスが
「佐原のこと聞いたことあるんだったら、どんなところぐらいかは知ってるだろ?」
上田は、
「聞いた話だと、木更津とは比べ物になんねぇぐらい大きいし、何だか知らねえが最新鋭らしいぜ。北や中国の色んな中継してると聞いた。セキュリティも凄いらしい。俺なんか絶対入れてくれないだろうとネネが言ってた。あっ、ネネはバングル語がネイティブなんで出入り自由なんだろうけど。」
ヤスが
「だろうな。木更津がちゃっちすぎだったな。でもあそこから俺のヤサやられたんだよ。」
上田が
「らしいな。あんたも大変だ。」
ヤスが
「上田、俺はなぁ黒沢が帰って来るまで黒沢組を残して欲しいってのが、希望なんだけど、お前の協力なしでは不可能だと思うんだよ。」
上田が驚いてヤスの顔を見る。
「あんた、いや、兄さん。兄さんは元花田会のカシラだったから兄貴分だ。今は稼業辞めちまったから俺からすりゃあ、兄さんだ。兄さんが本気でそう思ってくださるって言うんなら私は何でもします。でもこのままでは、どっかの直参に預かりと言う恥ずかしい形になってしまいます。まぁ、それでも黒沢はムショの中では極桜組の直参には違いありませんが、もっと私がちゃんとしとかないと・・・と考えるほど、北のヤツらに何とか頼ってしまうんです。それで今の話で北をシノギから外してしまうと食いぶちが無くなる。何か良い方法が兄さんあるんですか?」
と調子良く上田は言う。ヤスは
「そんな良い話なんか、ある程が無いよ。でも北に頼らなくても良いんじゃないか?と言ってるだけで、今は俺にあいつらの情報をくれれば・・・、ほら、あんなこともこんなことも見なかったとか・・・。今からのことじゃないぞ。そう考えてるって話だよ。だってよ、下手すりゃ上田、まともにコカイン絡んで無期懲役がもれなく付いて来るところだよ。ネネだってそうだ。」
ヤスはそういうと、多分ネネだけは勘弁してくれと言うのかと思ったら
「あいつは兄さん弾いたんで勘弁しなくて良いですよ。」
笑わしてくれるよ、この2人。
「とにかく上田、知ってること教えろよ。」
上田は
「はい、あいつら色んなとこ攻撃するつもりです。」
続けて、
「順番に様子見ながらやるらしい。戦争にならない様にちびりちびりと。ほら、ミサイル1日何回も撃ったり、ロケット打ち上げたりしてるでしょ?でも日本は何も反撃して来ない。かと言って核実験やっても抗議するばかり何で、まぁいっちょうやったるか!って感じでしょう。話の出てるテーマパークなんか古くてあそこ攻撃したとするじゃないですか?すると使い物にならなくなるので、売りに出る。それを中国と北が買って、今の3倍から4倍のテーマパークを作れると言ってる。それとかカジノとか。とにかく今のところ邪魔らしい。」
さらに上田は、
「それでも攻撃して来なかったり、NATOが動きがなかったら、次のところ攻撃します。多分、大阪のテーマパークですよ。」
ヤスが言う。
「上田が言ってたけど、木更津制圧したから、もともと7月9日だったのが早まったとか言ってたけど。」
「ネネが電話で言ってた。準備出来たら速攻やるらしい。やる前、ナンシーが注意喚起するって段取りらしい。」
上田がそう言うとヤスが
「上田、お前今日釈放するから、情報くれる約束できるか?まっ、約束破ったら無期だけどな。」
加えて、
「ネネは泳がしとくけど、逃すなよ。すぐ捕まえに行くから。」
「兄さん、分かりました。全力でがんばります。」
「いやいや、全力で頑張るとおかしな動きになるから普通にしとけば良いんだよ。」
上田が滑稽にならなきゃ良いが・・・と思った。
裏切ったら捕まえるだけだ。再度目隠しして、新宿駅東口で降ろした。
とりあえず一連の情報を防衛省にも通報して、極秘扱いにしてもらった。
アルに基地にある、PAC3の迎撃ミサイルのトレーラー台車を見せてもらい取扱の説明を正式に受けた。
基地にある迎撃ミサイルは2口2機でA1がミサイルを感知し迎撃する。北朝鮮のロケットやミサイルを迎撃したことを見たことないので、本当に迎撃できるのかアルがNATOのVTRを見せてくれた。
でも、北の今まで何百発と発射してるのに一度も迎撃してないので心配だ。アフガニスタンや今回のウクライナではかなり迎撃できているようだ。ひとまず、操作方法は伝授した。使うことがないことを祈るのみだ。
(つづく)