運命の人に説明はいらない
僕の肩をさする女性、
"わたしのこと覚えてますか"
いつか、雨傘を貸してあげた子だった
強く見つめ合うことに躊躇いはなかった
"僕も覚えてる"
何気ない会話に、止まっていた時間が動き出す
"あの日、初対面であんな事を言ったのはなぜなの"
僕は、あのときと同じように、
コンビニの硝子のむこう側を眺めた
"男は、やさしくて、可愛いくて、素敵な雨の夕暮れに弱いんだ"
彼女はその後、彼と語らいながら、
暗くなるまで待って
二人 あいあい傘でコンビニを出て
雨が止み、月がささやく、
"運命の人を見つけたよ"
僕も君にささやく。
運命は説明はいらない
好きと合図を目で送って、
僕は接吻を彼女にした。