子どもの熱中症対策は5月からすべし!という話。
こんにちは!現役保育園看護師のチロです。
今回のテーマは「乳幼児の熱中症対策」についてです。
なんとなく真夏になるものというイメージがある熱中症ですが、5月の暑い日や梅雨の晴れ間でも熱中症になることがあります。むしろ、場合によっては真夏よりもリスクが高いかもしれません。
さらに、乳幼児(0~6歳児)は熱中症になるリスクが大人よりも高いため、より一層の配慮と対策が必要となります。
今回は、以下の項目を保育園看護師の視点からまとめてみました。
この記事の内容を1行にまとめると、『5月のうちから子どもの熱中症対策を意識していこう!』ということです。この記事を読んで、今夏の熱中症対策に役立てて頂けたら嬉しいです。よろしくお願いいたします!
熱中症についての概要
熱中症は、簡単に言うと「暑さ・湿度に対して身体がうまく調整できないから」起こります。特に「暑さに身体が慣れていない」という状態は、熱中症リスクを高めます。
人間の身体は本当に凄いので、どんな環境下でも体温を一定に保つシステムが備わっています。人間の体温(平熱)は約36.5℃程度です。体温を約36.5℃に保つために、暑いときは汗をかき熱を外に逃がすことで体温を下げたり、寒いときは筋肉を震わせて熱を作り出すことで体温を上げたりしています。これが、身体の体温調節機能です。
熱中症は体温調節機能との関係性が深く、「体温が急激に高くなりすぎることで様々な症状が出現する」という病態です。汗をかいて体温を下げるという調節が間に合わず、どんどん体温が上がってしまうことで症状が現れます。
そして、なぜ体温が上がることが身体にとって不都合かというと、最終的に脳にダメージがあるからです。ゆで卵を想像してみるとわかりやすいかもしれません。生卵を火にかけるとゆで卵になりますよね?でも、ゆで卵を生卵に戻すことは出来ません。これは、人間の身体も同じです。体温が上がりすぎると脳に不可逆なダメージが加わる可能性があるため、何とかして体温を下げようと頑張ります。熱によるダメージは取り返しがつかないのです。
だからこそ、熱中症は危険なのです。しかし、熱中症は予防することが可能です。
これらの前提理解があると、以下の内容も分かりやすいと思います。特に保育者の方には、前述した概要部分も含めて理解してもらえたら、現場での応用もしやすいかと思います!
身体が暑さに慣れていないと熱中症リスクが高い!
日本には四季があります。人間は、季節が変わるたびに、その気候に合わせて自然と身体を調節・順応させることができる動物です。
しかし、近年は異常気象が続いています。先日も、4月の平均気温が観測史上最も高かったとニュースで報道されていました。身体が暑さに慣れるまえに気温の高い日があるということは、それだけ熱中症リスクが高まるということです。
特に5月は、日によっては涼しい時もありますよね。夏場と比べると世間一般的に熱中症への意識が低く、水分補給等の対策が疎かになっている可能性があります。身体が慣れていないことに加えて、熱中症対策への意識が低いということが、熱中症リスクを高めていると考えられます。
つまり、「気温が高い時期」よりも「気温が急に上がり始めた時期」の方が熱中症のリスクがあるということです。そして、その時期こそが5月頃なのです。
だからこそ、5月のうちから熱中症対策への意識を強化する必要があります。特に、後述する理由から乳幼児は大人以上に意識すべきです。
乳幼児の熱中症の特徴と症状
前述した内容は、時期的な熱中症リスクについてでした。経験則的には、健康な大人であれば少し気を付けるだけで意外と平気かもしれませんね。
しかし、乳幼児は大人とは異なります。簡潔に言えば、乳幼児は大人以上に熱中症になりやすいのです。
なぜかというと、乳幼児には下記のような身体的特徴があるからです。
体温調節機能(特に汗をかく機能)が未熟
周囲の環境に影響を受けやすい(=熱しやすく冷めやすい)
照り返しの影響を受けやすい
自分で予防することができない
熱中症になった場合、進行が早い
特に、汗をかく機能が未熟だということ、そして、自分で予防することができないという点がポイントです。お子さん自身は自分が熱中症っぽいということに気づけない場合が多いです。保育者が普段と異なるお子さんの様子に気づいてあげなくてはなりません。
熱中症の症状については大人も子どももほぼ同じですが、大人以上に進行が早いということを覚えておきましょう。分かりやすい参考資料として、下記にリンクをはっておきます。5月~10月くらいまでは、プリントアウトして保育室等に掲示しておくと、意外と役立つかもしれません。
保育園での熱中症対策
保育園での熱中症対策としてまず大切なことは、保育者が熱中症について正しい知識と応急処置について理解することだと思います。
そのうえで、毎年、熱中症対策について各園・各グループで考える時間をぜひとってもらえたら嬉しいなと、保育園看護師としては思っています。
意識すべきポイント自体は例年大きく変わりないと思いますが、担当する子どもたちは毎年変わります。担当しているお子さんが普段どんな姿でいるのかを、改めて、保育者同士で共有するだけでも素敵です。
汗をたくさんかくタイプか、水分はよく取るタイプか、食事の際に汁物を積極的にとるタイプか、もともと食は細いタイプか、平熱はどうか、熱に強いタイプか、普段から肌着は着ないタイプか、外遊びが好きか、活動量はどうか…など、日常の保育の中で何気なくチェックしていることの中に、そのお子さんの熱中症対策として意識すべきことが隠されていると思います。
とにもかくにも、保育園における熱中症対策として第一に意識すべきことは、お子さんをよく観察することです。
また、戸外活動時だけでなく、屋内での保育中も同じく注意が必要です。お部屋で遊んでいるときでも、大人以上に熱中症リスクが高いことを念頭においてこまめな水分補給と観察を心がけましょう。
照り返しや周囲の環境の影響については、戸外活動時に特に気を付けたいポイントです。活動時間の短縮や、日陰での活動、こまめな休憩と水分補給などを保育の中で確実に実施していけるよう工夫することが大切です。
その他の対策としては、空調の温度調整、ブラインドの設置、暑さ指数計の使用、寝具の調整など…たくさんありますね。
具体的な対策や応急処置については、下記サイト等を参考にしてみて下さいね。
まとめ
長くなってしまいました!最後まで読んでくださりありがとうございます。
熱中症は、対策することで防ぐことができる病気です。今夏は、一緒に熱中症ゼロを目指して、お子さんの熱中症対策を意識的にしていきましょう!
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