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保育園看護師のお仕事紹介シリーズ ⑧‐1「与薬対応の基本」

こんにちは!現役保育園看護師のチロです。

保育園看護師の仕事の楽しさや専門性を発信していく『保育園看護師のお仕事紹介シリーズ』!

第8弾は、「与薬対応」について解説していきます。

「与薬対応」とは、園内でお薬の対応をすることです。大人であれば自分で管理できるので必要ないですが、乳幼児は薬の管理ができません。そのため、保護者には子どもに代わって薬を管理・与薬する責務があります。

そして、原則保育園では与薬対応をしていません。これはどの保育園でも同じだと思います。保育園に通うお子さんは、体調がよいことが登園の大前提です。

しかし、実際には園で与薬対応をするケースもあります。もちろん、お薬を服用しながら登園するお子さんもたくさんいます。意外とケースバイケースに対応する必要があるため、保育園における「与薬対応」は看護師としても丁寧に理解しておく必要があるのです。

今回は、保育園における「与薬対応」に関する概要をまとめてみました。実際の対応については次回のノートにまとめますので、過去の記事と合わせてご参考いただければ幸いです!よろしくお願いいたします!



与薬対応の原則

前述した通り、原則として保育園では与薬対応をしません

保育園に通うお子さんは元気であることが大前提です。保育園は子どもたちにとって第2の家であり、日常生活を送る場でもありますが、保育園で園児一人一人の薬の管理をすることは、人的にも環境的にもほぼ不可能だからです。

お子さんが体調不良の時、つまりお薬を使って治療をしなくてならない状態の時は、保育園をお休みして自宅でみるか、病児・病後児保育等を利用する必要があります。

保護者の方には、必ず入園時の面談等で「与薬対応は原則不可」だと伝えています。そして、かかりつけ医を受診する際に「保育園に通っている」ことを伝えたうえで、処方内容を変更できるかどうかを相談してもらうとよりよいと思います。

具体的には、日中に与薬をしなくてもよい内容(1日2回にしてもらう/1日3回でも飲むタイミングを朝、帰宅後、就寝前の3回にする…など)を検討してもらえるとよいでしょう。

要するに、お子さんのお薬の管理は、保育園ではなく保護者(家庭)の責務だということです。まずはこの線引き(前提)を正しく理解する必要があります。

服薬中は登園できない?

では、お薬を使っている期間ずっと保育園を休む必要があるのかというと、もちろん違います。急性期は大事を取った方がよいと思いますが、体調が改善すれば登園を再開するお子さんがほとんどです。

解熱剤を使用している場合は登園不可ですが(無理やり熱を下げているだけで治っていないので)、痰切りや咳止めなど小児科でよく処方されるお薬を継続して服用しつつ登園再開するお子さんはたくさんいます。全身状態がよく、症状も改善傾向であれば登園OKになることがほとんどです。

また、喘息や鼻炎などのアレルギー症状がある場合も同様に、内服薬で症状をコントロールできていれば登園はOKです。

さらに言うと、毎日ふろ上がりに保湿剤を塗っているお子さんもたくさんいます。これらは全部、自宅で薬を使っているということになりますよね。

つまり、薬を使用しているかどうかが直接登園の可否を決めているわけではないということです。あくまで登園の基準は、お子さんの体調や症状により集団生活が可能かどうかです。

与薬対応をすることと、園児の服薬状況を確認することは、別枠で考えなくてはならないということですね。

ちなみに、服薬状況の確認については、園として対応を検討しておかないと情報収集することがやや難しいと思います。服薬状況の確認は、保育園看護師としての専門性を生かせる業務であり、園児の健康管理をする上でやるべき業務でもあると思っています。(後日別のノートでまとめます!)

与薬対応をするケースとは

保育園での与薬対応を検討すべきケースを一言で言うと、「医師の指示が明確にあり、園内で与薬対応をしないと園児が健康上の不利益を被る可能性がある」ケースだと思います。

大きく分けると、園内の与薬対応をするケースは2つあります。

一つは、緊急時の対応です。例えば、重度の食物アレルギー児のお子さんに対して、間違って原因食物を使った料理を提供してしまった場合、アナフィラキシーショックを起こして最悪の場合死んでしまうこともあり得ます。そういった事故を想定して、事前に緊急時用の薬(エピペン🄬)を預かるなど、園児の命を守るために対応する責務が保育園にはあります

もう一つは、日中(保育中)に与薬することが当該児のQOLに大きく影響するケースです。これは本当にケースバイケースであり、児童福祉施設である保育園の社会的な機能とも関連しているテーマです。

もう少し具体的に言うと、下記のような場合に園内での与薬対応を検討しています。

  • 緊急時用薬の預かり(食物アレルギー児の誤食時対応/熱性けいれん等)

  • 医療的ケア児への対応

  • 家庭支援

  • 配慮児対応

  • その他(ケースバイケース…!)

「医師の指示」が必ず必要

そして、園内の与薬対応で最も重要なことは、医師の指示が明確にあるかどうかです。

保育園での与薬対応を保護者の依頼のみで受けることは絶対にしません。どんなケースであっても、必ず医師の指示が必要です。

医師の指示は、「与薬指示書」のような書類で確認しています。口頭での指示のみでは対応不可です。必ず書面で確認できるよう、各園で書式を定めておきましょう。

ちなみに、医師(クリニック)によっては、書類の作成に費用が発生するケースもあります。これは、保護者の方に承知してもらったうえで対応を検討していただく必要があります。

さらに言うと、医師の指示があればなんでもかんでも対応するかというと、これもまた違います。本当に必要なケースのみに限定しているため、指示書は必要時のみ保護者に渡すことが望ましいと思います。

まとめ

今回は「与薬対応」の基本として、前提になることだけをまとめました。

保育園は原則与薬対応不可、でも与薬対応するケースはある、与薬対応するには医師の指示が絶対必要、だということです。

次回は、より具体的な対応内容について紹介したいと思います。引き続きよろしくお願いいたします!

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