「ニュートラル」に気付けば、人生はもっと生きやすい 【人生工学第2章の③】

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では、早速!

③人生への応用

「あの人は偉大だ」「あの人は器が違う」なんて表現がありますよね。その器の差って何でしょう?人生経験、寛大さ、教養…器の要素は色々ありそうです。しかし結局、器の差とはニュートラルを100%使いこなせるかどうか?の差でしかないかもしれません。どういうことでしょう。

本来あらゆるものに+と−のエネルギーがあり、ニュートラルであるとお伝えしました。実は人の解釈や思考といった「考え方」にもこの発想を適用できます。「本来はニュートラル」だと考えると、人生がうまく行きやすくなります。では考え方のニュートラルとはどういうことでしょうか。

好き嫌いも元はニュートラル

たとえば消しゴムに対して、どんな感情を抱きますか?好きですか?嫌いですか?「別に好きでも嫌いでも…なんとも思わない」と感じていれば、この感覚こそニュートラルです。消しゴムではなくても、ティッシュや机など身の周りのものの何かしらに、あなたはニュートラルでいるはずです。「どちらでも良いのではないか」これが考え方のニュートラルです。

一方でニュートラルでは無い、バランスを失った感覚もあります。「こっちがいいな」「これが好き」、「こっちはなんか嫌だな」「これは嫌い」という考えはバランスを失っています。少し扱いが複雑な部分ですが、「好き」「嫌い」という感覚や考えを否定する訳ではありません。ここでお伝えしたいこととしては、あなたが好きなものや楽しかった記憶については+の偏りがあり、あなたが嫌いなものやトラウマには、−の偏りがあるのです。

誰しも生きていると、さまざまな人や経験との出会いがあります。中にはものすごく「好き」な出会いもあれば、「嫌い」な出会いもある。でも、出会った人やモノ、経験それ自体は、良いも悪いも好きでも嫌いでもない、ニュートラルなはずです。

私は幼稚園に通っていた頃、トマトが好きでした。それを知った私の母は、しょっちゅうお弁当にトマトを入れてくれるようになりました。結果私はトマトに飽き、嫌いになりました。しかし最初からトマト自体はニュートラルで、良いも悪いもないのです。私の脳が好き嫌いを決め、良い悪いも決めているのです。たとえば「トマトを美味しく食べた経験」「楽しく食べた経験」があれば好きになり、逆に「嫌な空気で食べた経験」「あまり美味しく感じなかった経験」があれば嫌いになります。中には「体にいい」「自分の憧れの人が好き」という知識から好きになる場合もあります。食べ物の好き嫌いは不思議なモノです。ヒトである以上、人種が違っても99.9%は同じDNAになっています。その中でも同じ人種の人が”ある食べ物”を好きならば、その食べ物が体に悪い訳はないはずなのです。でも、同じ人種でも嫌いな人がいる。これは体との相性や生まれ持った好みというよりも、後からの知識・経験により好き嫌いが決まると考える方が自然では無いでしょうか?
『「好き嫌い」という一見どうしようも無いことも、私の脳がバランスを失っているだけで、本来はニュートラルだ』と気づきました。「私がトマトを嫌いなのは、食べたく無い時もトマトを食べていたからに違いない、トマトはリコピンがあり肌にもいいらしい、きっと好きになれるはずだ」と思い、少しいいお店でトマトを食べました。するとものすごく美味しく感じ、好きになりました。今では居酒屋にいくとほぼ毎度頼んでいます。

”本来はニュートラル”としっかり分かっていれば、その後に”好き”や”嫌い”が残ること自体、何も悪いことではありません。ニュートラルを考え方に用いれば”好き”や”嫌い”のコントロールもしやすくなるということです。

「良い」も「悪い」も解釈でしか無い

この発想を使えば、仕事をうまく進めることもできます。例えばとある会社の営業部署で、新規の商材を扱うか検討していたとしましょう。3つの有効成分が含まれ香りもいい美容液について、販売に注力していくべきか議論をしています。社員の田中さんはいわゆるコスメオタクでこの美容液を愛用しており、大好きです。「なにがなんでもさらに売り出したい」と考えています。社員の山田さんは、過去に別の美容液商材をあつかって営業先から怒鳴られるなど、うまくいかなかった経験から、「販売への注力はすべきでない」と考えています。結論は真逆ですが、それぞれの知識や経験に基づいた、それぞれの正解です。ただし田中さんも山田さんも、「自分の経験」によってバランスを欠いた味方となっています。田中さんは美容液が好きすぎて+にかたよっており、山田さんは怒られた失敗体験から、美容液に−にかたよっています。

この新規商材である美容液自体は、良いも悪いもなくニュートラルなハズです。この美容液には良い点も悪い点も含めてどういう特徴があるのか?トライアルしたお客さんからの評価はどうなのか?類似商品の売れ行きはどうなっているのか?そういったありのままの現実、ニュートラルなデータを見ていけば、自然と何をすべきかの判断はできるでしょう。マネージャーの鈴木さんは、2人の意見に理解を示しつつ海外の類似商品の評価はとても高いが売り上げが伸びていないことに気づきました。つまり商品の価値がお客さんに届いていないということでしょうから、パッケージや商品名、売り出し方など”購入前の情報”を変えていけば、十分に売り出せそうです。

本来何事も”特徴”というのはニュートラルで、状況次第で長所にも短所にもなります。+ばかり見ていればリスクに気づけませんし、ーばかり見ていては、可能性に気づけません。大切なのは、ものごとをありのまま認識することのはずです。例えば長続きする恋愛とは、相手の”短所”らしき特徴もしっかりと、お互いに認められるものではないでしょうか。似ているようで、相手の短所を見て見ぬふりをしていれば、きっと遅かれ早かれトラブルになるはずです。

ここでも、好き嫌いを否定する訳ではありません。田中さんは美容液が好きで販売に賛成、山田さんは反対ということ自体もまた、ニュートラルであり、良いも悪いもないのです。マネージャーはこの意見そのものをニュートラルな”事実”として受け止め、活用すれば良いのです。田中さんは商品に魅力を感じているので、実際に営業を試してもらえば良いでしょう。山田さんが反対しているならば、引き続き他の商材を担当してもらったり、あるいは新規商材を売ることのリスクや売上見込みについて、厳しく確認してもらうのも合うかもしれません。

良い悪い、解釈そのものを否定する訳でもありません。「何もかもが結局ニュートラルで、全て良いも悪いもない」と考えてしまうと、美容液を売る意味も、仕事をする意味も、稼ぐ意味も、生きる意味もわからなくなってしまいます。「美容液は好きか?」「信じられるか?」「この仕事が好きなのか?」といった要素も、仕事をする上では大切な1要素になるでしょう。

人生工学では、”「結局はニュートラル」ではなく「本来はニュートラル」と考えること”が大切だと考えます。そして、本来はニュートラルなハズなのに、知識や経験などが脳の中にあることで、良いや悪いといった「解釈」「判断」が生まれるのです。

第2章では世界は+と−で成り立っていて、ニュートラルは素晴らしいことをお伝えしました。ちなみに伝統的には陰陽説は正にこのような考えを採用しており、陰陽説は日本の諸学問でも重要な役割を果たしているので、気になる方はお調べください。

そしてもう1つ、世界の見方がガラリと変わるような世界観をお届けします。


ーー第3章に続く↓ーー



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