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「夏の日」

ひどく暑い夏の盛り。

汗を垂らしながら路地を歩く。太陽が痛いほど全身を照りつける。下を向くと黒く濃い影が足元に伸びている。目に入った汗を拭い、再び歩く。影が追いかける。

男は横領に手を染め、借金を返済に向かう。後のことは考えていない。汗が目に入る。少し薄くなった影が男の後を追う。

その場をしのいだときには、男は影になっていた。影は男を従えて歩く。影はさらに薄くなり輪郭ができつつある。

ある暑い夏の日のできごと。

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海
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