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片桐はいり『グアテマラの弟』を読んで。

日本にいる時に半分くらい読んで、ロンドンでもう半分読んだ本。

片桐さんは『かもめ食堂』を見た時からの衝撃で、もっと演技を見たい!と思っていたら、まさか本を書いていたとは。。

しかも、前作に『わたしのマトカ』というヘルシンキ!での1か月を綴ったエッセイがあって、僕はそっちをすっ飛ばしてしまったようだ。

2007年に発表された『グアテマラの弟』は、片桐さんのグアテマラでの生活を記したエッセイなのだが、主にはそこでスペイン語学校を営む弟さん一家との話が続く。

まず、弟さんがグアテマラでスペイン語学校を(というか薬局だったりコンビニのようなものも)経営していることが面白い。

そして、片桐さんは13年もその弟さんと連絡を取っていなかったところから、度重なる訪問の中で、グアテマラと弟さんの生活に徐々に触れて、感じたことが長い年月をかけて綴られているので、なんだか旅行記というよりは人間の話だなぁ(抽象的)としみじみ思った。

家族について、人間関係について、そしてグアテマラと日本での人となりについて、こんなにも味わい深い作品を残せるなんて、、。すごすぎる。

どのエピソードも何度読んでも面白いし、読後感はとても優しい気持ちになる。特に好きなのは「トイレとロダン」で、片桐さんがトイレに入るとロダンになってしまう癖を吐露することから始まる。(改めて変な癖!と言い切れないほどの絶妙な共感が沸く。)

旅行記を読んでいると、いろんな地名が出てきたり、知らない食べ物、飲み物の膨大な数にウッ!ってなって読みたくなくなることがよくある。でも、片桐さんは誰一人として読者を置いてかない、というか常に読者側(文化に対して新鮮なまま)でものごとに接しているので、一緒に生活をしているように感じて、サラッと読めてしまう。不思議な文章だ。そしてなんて魅力的なひとだ。

ロンドンから帰ったら『わたしのマトカ』を読もうと思った。
というか、『かもめ食堂』をもう一回見よ!!!


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