vol.6 奴のタイトル=私の借金

私を誘った親友を含め、全ての統一教会一派が突然いなくなった後の、年に一度の大きなイベントが近づいてきたある日、私はモテモテ特約店に呼び出され、ちょっとした提案をされる…

今月もう少し実績を出せば、私のグループを作ってくれる

というのだ。
実績を出すとは、売ることが出来なければ自分で在庫を抱えることになる。
私のグループを作るとは、私が誰も動員出来なくても、特約店が私の組織を作ってくれるということだ。

なんだか複雑な心境…そこでやめちゃえばよかったのに、すでに2年も頑張ってきちゃったことを考えると、せっかく特約店がそう言ってくれているんだから、ここからまたスタートし直せばいいかな!という気持ちになって、その提案を受け入れてしまった。こうして追加24万円分のキチン・キトサンとプロポリスが届き事務所に取りに行くと、特約店がこそこそと私に渡す。このやり取りを周りに知られたくないような雰囲気は、なぜだろう?

わざわざ伊豆方面のホテルの会場まで行って参加したビッグイベント当日、特約店から販社へ昇進した人がいるということで、大々的に表彰式が始まった。
へー、そんなすごい人がいるんだあ…販社と言えば、みんなの憧れだもんね!
ロッキーのテーマ曲、眩しいくらいのスポットライトを浴び、みんなの拍手に応え両手を天に突き上げながら登場したその人物こそ、私に在庫を持ちかけてきたあのモテモテ特約店だった。

タイトルかかってたの?
今回、販社に昇格したの?
何も聞いてないけど…

嬉し涙を浮かべ、壇上に向かって歩む彼の姿を拍手とともに眺めながら、ようやく自分の今回の在庫と新たな借金が彼のタイトルのためだったのだと気づく…

そこまで痛ぶられて、
やっと
やっと
手を切る事が出来たと同時に

ネットワークビジネスへの嫌悪感は最高潮となった!!!



つづく


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