無安定マルチバイブレータ(発振回路)

無安定マルチバイブレータ(astable multivibrator)は、出力が常に変化し続け、一定の周期で発振する回路です。発振回路として利用され、タイマーやパルス生成器、クロック信号発生回路などに用いられます。無安定マルチバイブレータは、名前の通り「安定した状態がない」ため、出力が2つの状態(例えば高電圧と低電圧)を継続的に切り替えます。

基本的な特徴

無安定マルチバイブレータは、入力信号がない場合でも自律的に発振するため、外部からのトリガー信号は必要ありません。出力信号は方形波やパルス波となり、その発振周波数や周期は、回路に使用する抵抗(R)やコンデンサ(C)の値によって決まります。

無安定マルチバイブレータの動作原理

典型的な無安定マルチバイブレータ回路は、2つのトランジスタを使用して構成されます。各トランジスタは交互にオンとオフを繰り返し、片方のトランジスタがオンになるともう片方はオフになるというフィードバックを行います。この動作が継続的に繰り返され、出力信号が発振します。

基本的な回路構成

無安定マルチバイブレータは、以下の要素から構成されます:

1.	トランジスタ(Transistor): 2つのトランジスタを使い、互いにスイッチング動作を行います。
2.	コンデンサ(Capacitor): 各トランジスタのベース電圧を制御し、トランジスタがオン・オフを切り替えるタイミングを決めます。
3.	抵抗(Resistor): コンデンサに充電・放電を行い、発振の周期を決定します。

動作の流れ

1.	最初の状態: 片方のトランジスタ(例えばT1)がオンの状態で、もう一方のトランジスタ(T2)はオフです。T1がオンになると、そのコレクタ端子の電圧は低くなり、これがT2のベース端子に影響を与えてオフ状態を維持します。
2.	充電と放電: T1がオンの間、T2のコンデンサが充電されます。ある時点でコンデンサが十分に充電されると、T2がオンになり、T1がオフになります。
3.	交互の切り替え: このプロセスが交互に繰り返され、出力信号が方形波の形で発振します。


まとめ

無安定マルチバイブレータは、安定した状態がないため自動的に出力を変化させ続け、発振信号を生成します。この性質により、クロック信号やパルス生成器として、さまざまなデジタル・アナログ回路で広く使用されています。

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