反転増幅回路2 (仮想短絡編)

反転増幅回路における仮想短絡(仮想接地とも呼ばれます)は、オペアンプの重要な動作原理の1つで、回路の理解に役立ちます。仮想短絡と負帰還の概念は密接に関連しており、負帰還をかけたオペアンプ回路で特に重要です。

仮想短絡の意味

仮想短絡とは、オペアンプが理想的に動作している場合、反転入力端子(−端子)と非反転入力端子(+端子)との間にほぼ同じ電位が生じる状態を指します。ただし、実際にはこれらの端子は直接接続されているわけではなく、あくまで「仮想的に」短絡しているように振る舞います。

オペアンプの基本動作として、オープンループゲイン(無帰還状態での増幅率)が非常に高いため、出力が安定するためには、反転入力端子と非反転入力端子の間の電位差がほぼゼロでなければなりません。この現象が仮想短絡です。

仮想短絡の働き

反転増幅回路の場合、非反転入力端子(+)は通常グラウンドに接続されています。負帰還によって、反転入力端子(−)もほぼ同じ電位、つまり0Vに保たれます。しかし、物理的に接続されているわけではなく、仮想的に短絡しているように振る舞うので、「仮想短絡」という用語が使われます。

仮想短絡と負帰還の関係

反転増幅回路では、以下の動作が行われます。

1.	負帰還により出力を制御:

オペアンプは、反転入力端子と非反転入力端子の間の電圧差をゼロにしようとします。負帰還によって、出力信号の一部が反転入力に戻されることで、入力信号との差が常に調整されます。
2. 仮想短絡の実現:
非反転入力端子がグラウンドに接続されているため、反転入力端子も0V付近に保たれます。これが仮想短絡の状態です。実際には微小な電圧差が存在しますが、オペアンプの高いゲインによって無視できるほど小さいです。
3. 回路解析の簡略化:
仮想短絡の概念により、反転入力端子の電圧が非反転入力端子と同じ(通常は0V)であると仮定して回路を解析することが可能です。これにより、電流や電圧の計算がシンプルになります。

まとめ

•	負帰還は、オペアンプが出力を安定させ、正確な増幅を行うために必要な要素です。
•	仮想短絡は、オペアンプの高いゲインによって反転入力端子と非反転入力端子が同じ電位になる状態を指し、回路解析を容易にします。
•	仮想短絡の概念を使うことで、反転増幅回路の電圧・電流の計算がシンプルになり、安定した増幅動作が実現します。

これにより、反転増幅回路の動作と負帰還、仮想短絡の関係性が理解できると思います。

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