反転増幅回路
反転増幅回路の負帰還(ネガティブフィードバック)は、オペアンプ(オペレーショナルアンプ)を使った回路で、回路の動作を安定させるための重要な技術です。負帰還を使うことで、出力が一定の範囲内に保たれ、増幅率や周波数特性が安定化されます。
負帰還の基本的な仕組み
反転増幅回路では、入力信号に対して出力が反転されます。つまり、正の入力信号を与えると出力は負になるという特徴があります。負帰還では、出力信号の一部を入力側に戻して、入力信号を減少させるようにフィードバックします。
具体的には、オペアンプの「反転入力(−)」にフィードバック信号を加えます。これにより、出力が大きくなりすぎるとフィードバックが入力信号を減少させ、出力が小さくなりすぎるとフィードバックが入力信号を増加させる動作が行われます。結果として、出力は安定した動作を保ちます。
負帰還の効果
1. ゲイン(増幅率)の安定化:
負帰還をかけることで、増幅率がオペアンプ自体の性能に依存せず、外部抵抗値によって決まるようになります。たとえば、反転増幅回路の増幅率 は、抵抗 と の比によって以下のように表されます。
このため、回路全体のゲインが非常に正確に制御できます。
2. 線形性の向上:
負帰還により、オペアンプの非線形な特性が抑えられ、増幅回路の出力が入力に対して線形的な関係を保つようになります。
3. 帯域幅の広がり:
負帰還を使うことで、回路の帯域幅(信号を適切に増幅できる周波数範囲)が広がる効果もあります。これは、オペアンプが高周波でのゲインが下がる性質を持つため、負帰還によってその影響が和らげられるためです。
4. 出力インピーダンスの低減:
負帰還は回路の出力インピーダンスを下げ、負荷に対してより安定した電圧を供給できるようになります。
負帰還を用いることで得られるメリット
負帰還を適切にかけることで、回路全体の性能が安定し、外部環境やオペアンプの特性による影響を抑えることができます。これは、正確な増幅や、温度変化などに影響されにくい回路設計が可能になるという大きな利点です。
反転増幅回路における負帰還は、回路が安定的で信頼性の高い動作を実現するために不可欠な要素です。