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繋がるための境界線

相手に対し配慮することを要求する用語が、急増しています。
たとえば、アサーション、アイメッセージ、バウンダリーなど。
これら用語の肝は、相手との境界を維持することにあります。

 背景には、繋がりの関係性が昔の上下関係から急速にフラット化していることにあります。

 フラット化した要因は、インターネットによって情報が横から横へ無制限にハイスピードで伝わるようになり一般社会の知識レベルが高くなったこと。
一方で高齢者がデジタル格差に陥り、情報へのアクセスが遅れる傾向となり、知識や情報の権威がメルトダウンし、相対的に知識や情報に関する構造が平準化したことにあります。 

たとえば、上司は「部下が何を考えているのか分からない」といい、部下は「上司が何を考えているのか分からない」という場面が度々あります。
 
昔、上意下達の時代は、上司は部下に気を遣うことは無用。指示し、情報を与えることが役割でした。例に上げた部下の上司に対する発言は不穏当とされました。
 
働き方が、メンバー制からジョブ制に移行して上下関係がフラット化し、年功序列が崩れ、立場の変化と共に気の遣い方が平等化しています。
 
相手の気持ちを配慮して忖度することを社会心理学では、「他者意識」といい、相手の心の境界線を越えることは、相手の主体性である自己決定権を侵すことで、人権侵害に当たります。この心の境界をバウンダリーといいます。
 
バウンダリーは、近すぎず遠すぎず、他者意識に配慮しながら自分と相手の違いを明確に区別できる線引きのことです。
 
前掲の例では、上司も部下も、それぞれ自分の立場と価値観で考えて、相手の意識を気にせず、互いにバウンダリーを越えた発言によって、責任を相手に負わせようとしています。
  
他者意識をして、相手を傷付けないように「私は、○○では困ります」と、主語を私にしてアイメッセージで伝え、判断を相手に任せる話法をアサーションといい対等な立場で自己主張できるスキルです。
 
デジタル社会は知識や情報が生活のなかに溢れ、何を知っているかより、誰を知っているかの方が、重要と言われる。人との繋がりが、大切な成功法則とされます。
 
昭和生まれが育った環境では、年功序列、転勤、専業主婦を常識とし、心の境界を気遣うことは特別なことでした。情報や知識は権威に集中しており、学校も職場もセクハラが常態であった感があります。心が弱い人は、本人が悪いとする風潮さえありました。

インターネットによって社会の知識や情報がフラット化したことが、人間関係に平等をもたらし、新しい繋がり方が生まれた。
尊重し存在を認め合い、、感謝の気持ち、挨拶、思いやり、助け合い、始めに言葉ありから始まると思います。

相手との適度な距離感を確保するものが、他者意識という境界です。


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