その人が好きな映画 福祉編
ある時。その人が映画が好きだと私は知った。
私もまあまあ映画が好きだったので、その人と映画の話しが出来るタイミングを見計らっていた。
「どんな映画が好きなんですか?」
と私は聞いてみた。
彼は「例えば10本あげるとしたら
『アンタッチャブル」
『少林サッカー』
「マッドマックス 怒りのデスロード」
『タレンタイム』
『きっと、うまくいく』
『家族を想うとき』
『座頭市血笑旅』
『ギルバート・グレイブ』
『過去のない男』
『CODA あいのうた』
『木靴の樹』
あ、11本になっちゃった。
『マンチェスター・バイ・ザ・シー』とか
『レインマン』とか『聖の青春』とかも良かったな」
私と彼は知的障害を持つ人が利用するグループホームの職員だった。
シフトが合うことがたまにで、仕事が忙しいこともありなかなかタイミングが難しかった。
「『タレンタイム』以降はちょっと知らない映画ばっかりになっちゃいました」と私は言った。
「逆にどんな映画が好きなの?」と聞かれ
私は
「『ファイトクラブ』
『ミュンヘン』
『あの夏、いちばん静かな海』
『チェンジリング』
『男はつらいよ』も好きだし、
あと、韓国映画の『新しき世界』
『スポットライト 世紀のスクープ』
インド映画の『RRR』はむちゃくちゃ良かったですよ」
歳の差が10歳以上あったが、なんだかその中途採用で入ってきたおじさんと私は距離が近づいたような気がした。
おじさんに知らない映画については紙に書いてもらって、観てみることにした。