#0003 目標管理(MBO)とは何か?共通の目標と自律的な貢献によって、組織を使って成果をあげること
おつかれさまです。坪谷です。
今回は、目標管理(MBO)とは何か?をお伝えします。
目標管理(MBO)とは何か?
目標管理はP.F.ドラッカーが提唱したマネジメント哲学「MBO」を日本語訳したものです。
MBO とは“Management by Objectives and Self-control“の略です(P.F.ドラッカー『現代の経営』より)。その内容を理解するため、単語の意味を順に見ていきましょう(下図参照)。
組織を使って成果をあげる(Management)
まずManagement(マネジメント)とは何でしょうか。ドラッカーはマネジメントを「組織をして成果を上げさせるための道具、機能、機関」と定義しています(P.F.ドラッカー『明日を支配するもの』より)。つまり「組織を使って成果をあげる」ためのあらゆることをマネジメントと呼んでいるのです。
ここでいう成果とは、売上や利益でなく、組織の外に起こした変化、つまり顧客に届いた価値のことです。
共通の目標(Objectives)
次はObjectives(オブジェクティブズ)について。日本語では目標、目的、そして客観という意味です。
客観的な目標や目的がなければ「組織に働くものは方向づけを誤る。働きは無駄となる。チームワークの代わりに摩擦、不満、対立が生まれる」とドラッカーは説きます(P.F.ドラッカー『現代の経営』より)。
組織は一人ひとりの頑張りをまとめて成果とするために存在します。そこには方向づけるための「共通の目標」が必要なのです。
自律的な貢献(Self-control)
最後はSelf-control(セルフ・コントロール)です。これはMBOという略に頭文字が入っていないからか、日本語で「目標管理」と翻訳されたときに抜け落ちてしまった部分です。しかしMBOの利点はここにあるとドラッカーは言います。
そのときに、着目すべきは「貢献」です。
自ら果たすべき貢献を定め、自らをコントロールする姿勢のことを、私は「自律的な貢献」と訳しました。
「共通の目標」と「自律的な貢献」によって、「組織を使って成果をあげる」こと。このシンプルな哲学は日本で70年近く普及し企業を支えてきました。ただし現代では多くの誤解も生じています(誤解と弊害については別記事で取り上げます)。
以上が「目標管理(MBO)とは何か?」に対する私なりの答えです(詳細は書籍『図解 目標管理入門』に書きました)。
付記:ドラッカー研究者 佐藤等先生からの学び
私のMBOに関する取り組みは、ドラッカー研究者の佐藤等先生(ドラッカー学会共同代表理事)とのご縁に支えられてきました。佐藤先生との1時間の対談、そして佐藤先生からいただいた1つの資料は、私の何年間分かの探求を大幅にショートカットして、真実へ近づけてくれたように思います。いくつかをここにご紹介しておきます。ご興味のある方はご参照ください。
「目標管理に関する誤解」について語り合った1回目の対談
「目標管理の誤解を解く鍵」を示していただいた2回目の対談
一緒に登壇させていただいたセミナー「『ドラッカーのMBO』と『日本の目標管理』から学ぶ原理原則」
このセミナーは、かなり抽象度の高い内容であるにもかかわらず参加者は500名以上、満足度は98%以上となり、MBOの「哲学」が強く求められていることを実感する機会となりました。
私のお伝えしたいことは以上です。
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