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TRPG CoC『異説・狂人日記』をプレイしました。※ネタバレ有

この記事にはネタバレを含みます。未通過の方、これからプレイしたいと思っている方はブラウザバックをお願いします。

文町様作のCoCシナリオ『異説・狂人日記』(KPとのタイマンシナリオ)をノーパンちろるさんにKPをしてもらいPLとして参加しました。

キャラメイク

 大正時代という設定とのことだったので、大正時代なら男のお医者さんがメジャーかなと思い、初めてCoCで男キャラを作りました。名前は、其成 治(ソレナリ オサメ)です。CoCを初めてやったときのキャラが、其成 アタルというキャラでして、男の人のRPをNPCでしかしたことがなかったので何か指標があった方がRPしやすいよなと、一番長くプレイしている其成 アタルの血縁ということにしました。実際プレイする中で判断に困って「アタルの血縁ならこういう判断をするかもしれないな…」と思ってRPした部分もありました。

プレイしてみて

 普段から出目が高く、1回のプレイで4回ファンブルが日常茶飯事だったので、いつもなら同行している探索者にフォローをしてもらいながら乗り越えているわけですが、タイマンシナリオだとそういうわけにもいかず、不安で不安で仕方なかったです。目星や聞き耳にいつもより多めに技能値を振り分け、70前後での判定が多かったにも関わらず失敗することも多々…。
 KPの温情に賜り、何度か別技能で振らせてもらったりヒントをいただいたりなどしました…。これがなければ完走できなかったのではないかというほど…。感謝。
 心理学を沢山振っていいよと言われたのにも関わらずNPC1人当たりに1回しか振っていないのはもったいないなと終わった後に思いました。プッシュロールになっちゃうよな…。駄目だよな…。と思わずいいよと言ってもらえたことはふんだんに使っていくという学びを得ました。
 1回失敗した判定に対してそのあとの失敗が怖くて「もうこれについて振るのはやめておこう」と思ってしまう節もあるのでそういうPLのビビりな部分は直していかないといけないですね。

喫茶店

 一番印象に残っているのは喫茶店のシーンですね。一番自由な行動をすることができる場所という印象が強く、キャラに合わせた注文をしてみたり客と話をしてみたり。客と話すのは情報を聞くことが目的ではありますが、それ以上にKPや見ている人にどんなキャラなのかを発揮する機会だと思います。オネエとの対話は本当にさまざまな危機を感じ取りました。客Bと話した時に奢ってもらったお酒で酔っていたらどうなっていたのでしょう…。ちろちゃんは大変オネエのRPがうまいのでこれからもぜひ沢山やってほしいと思います。私はあまりソロでのRPに慣れていないのもありまだまだ治の良さを引き出しきれなかったなぁと思う反面、こういった経験は今後の積極的なRPにつながるんじゃないかなと思って楽しかったです。

貧民窟

 完全にフェイクでしたね。これを最初から「フェイク」だと割り切って帰ることのできる人というのはいるのでしょうか。PL目線行ける場所は全部行って取れる情報は全部取りたいなんて思ってしまいますが、それを逆手に取ったSANcの嵐。フェイク情報は今までも何度か経験しましたが、どうしても提示されたものには必ずわけがあるものだと信じて止まないのが私の悪いところです。私自身も何を振ったらいんだ…?どんな行動をしても情報を得られる気はしない…。とまでは思っても何か出る。何か出てくれという思いでめぼききを振っていましたね…。シナリオ、KPの思うツボでした。結構な時間粘って探索している途中でもしや即死の選択をしてしまっているのでは…!?という不安までよぎりました。

自分の情報を提示する

 タイマンシナリオということもあり、NPCと会話する機会がとても多かったです。自分が探索する中で、話す相手がこちらを警戒してきたとき、何か見つけたことを知られたとき、こちらからどれほど情報を出していいのかが難しいなと感じます。もちろん【説得】とひとくちに振ってしまえば簡単に済んでしまうのかもしれませんが、私個人としてはRPがあるうえでのダイス、ダイスがあってのRPと相互の関係があると思っているのでどんな情報を出して相手の警戒を解くか、相手が求めている言葉は何かを考えるのすごーーーーーーく難しかったです。とくに謎の男のシーンでは、自分の身分を医者だと明かしていいのか?という疑問が渦巻いていました。自分の素性を明かすというのはリスクが高く、謎の男の警戒心や時代的背景に基づく身分の予測から医者だと告げた場合逃げたり、逆に襲われたりするんじゃないかと不安で仕方ありませんでした。KPの助力あってこそでしたが本当に1人で突破するのは簡単ではないです。

エンディング

 結果として其成 治はロストしました。最終日を迎えたとき私はなんとなく「ああ、この人はきっとロストするな」と思いました。シナリオを進めていく中で人間が人間たらしめるものは何なのか。というものを考えさせられる部分が多かったです。自らが人間であることを信じて貫くか自らがそこに身を置けることを享受するかを求められるような描写を受け自身について考え、最後の判断でその結果を問われロストか生存か、また、生存のしやすさを左右するような気がしていました。
 十三の葬式で「骨を食えと」強要された際に其成 治は断固として食べないという選択を取りました。他の通過済みPLの方の中には食べるという選択をした人、食べる振りをするという選択をした人さまざまいたようでした。この場面はこのシナリオにおいてPLおよびPCの最も思考が出る場面であると考えています。私の場合は手記やシナリオを通して「人間を食す化け物がいる」という話を得ており、つまるところ「人間を食してしまばその化け物たちと同じ」と思っていました。
 最後の選択は人間であるか、食屍鬼と入れ替わった''人間''であるかを決める一手であり、食べてしまえばそれはもう自身が人間ではなくなってしまっている自らの意思で認めるものだと思いました。
 もちろん「生存していて人間と変わらず生活しているのであればそれで問題ないだろう」という意見もしかり。それでも私、もとい治が断固として断ったのは其成アタルという既存の探索者がいるからですね。彼女には自身が人間かどうかで悩んでほしくないと思っていたので私は彼に人間であることを求めました。メタ的な方法にはなってしまいしたがそういう彼の思想が現在のアタルを作っているのです。
 あとは、十三に長い間大変慕われていた「センセ」であるがゆえに彼が恐れていることをしたくないという医者としてではなく一種の友人として敬意を持って食べない決断をしたんじゃないかなと思います。

ロストにあたって

 同じくしてこのシナリオを通過したせもたれさんが「実質トゥルーエンド」とおっしゃっていましたが、確かにその通りだと思いました。生き残ることがトゥルーなのではなくPL、PCが納得するエンドであればそれはトゥルーエンドなのだというこの謎多き、何が真実かわからないシナリオにおいては自分の思う真相がトゥルーであって間違いないと感じます。治は治の血統を守り、自身が人間であるという確証を変えないままロストしました。阿呆船に乗っていずこに行ってしまいましたが、それは私と治なりのトゥルーエンドです。

最後に

 スワンプマンの思考実験もしかり、人を人たらしめるものは何なのか。というのを考えると、正しい答えはありませんが、プレイした人の話を聞くたびに自分の持っていない考え方やとらえ方をしていて自分の思考のプールを増やすきっかけになったり、新しいキャラを作ろうと思った時の参考にできたりして面白いです。今はRPしやすいように割と自分の思想とマッチしたキャラを作りがちですが、今後のキャラメイクに役立てたいな~なんて思いました。
 タイマンシナリオは実はこれを含め3回目です。大きな選択を迫られるときいつもなら仲間がいるのに今日は1人。そんな孤独をキャラとともに乗り越える。タイマンシナリオの良さだと思います。長く一緒にいるキャラ、思い入れのあるキャラのロストもつらいですが、タイマンシナリオで一心同体で乗り越えた困難の先に待つものがロストだった時、これは何度TRPGをプレイしても慣れることはないでしょう。
 とても楽しくプレイさせていただきました。またタイマンシナリオをやる機会があればKPでもPLでも大歓迎でプレイさせていただきます。

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