私はここだよ

長靴の中の足の指がだんだん冷たくなって
指をぎゅってにぎったりしてもだめで、
そんなときは待合室にもどって
もう一回探したりもしたよ。

玄関の外にいる時は、
帰るかんじゃさんたちがふしぎな目で私を見てたから、
こんなとこで何してるんだろうってきっと思ってたよね。

もうすぐ来る。
次の車はぜったいお父さんの車だ、
って思って
走ってくる車の運転席を何台もさがした。

でも
まわりが暗くなって車のライトが付くと
中の運転席が見えなくなっちゃったんだ。
だけど病院の中に入ったら
お父さんたちが通り過ぎちゃうような気がして
この時はもうずっと外にいた。

ここにいたら見つけてもらえる！
そう思ってがんばったんだけど、
だんだん元気が出なくなってきて、
私、がんばれなくなった。
もうむかえにきてくれないんだって思った。
悲しくて涙が出てきたけど、
そこで泣いてるしかできなかった。