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団地日記3
折衷案について、なっちゃんは「いい考えですね」と賛成してくれた。
では日曜の昼に一緒にゴミ屋敷に行って、差し込んであげながら「いい?このコードはぜったいもう、抜いちゃだめだよ」と言い含めよう。
もし抜いちゃったらこの説明書のとおり、黄色い方をテレビに刺して、そしてAmazonスティックはピンクの方に刺したり抜いたりするんだよと説明しよう。
ところが、当日になってゴミ屋敷さんからなっちゃんに、「今日は急に仕事になったからキャンセルさせて」と連絡が来たという。
それなら仕方がないので、また来週ねと私も答えた。
その日はそれ以外に用事もなかったので、日がな一日、猫を構いながら私は顔も洗わずパジャマで過ごした。
猫はもちろん、団地の規約違反である。
その夜、9時を過ぎたころ、なっちゃんから連絡が来た。
「ゴミ屋敷さんから、仕事が思いのほか早く終わったから、今から来てくれって言われたんです」
「え!それは断ってもいいのでは?もう時間が遅すぎるし、急だから。非常識が過ぎるでしょう」「でも行かないとうるさいので私、行ってきます。コードと説明書はノエチさんちのガスメーターの扉の中にかけておいてください。」
「えー、じゃぁそうしますけど、行かなくていいと思いますよ。」
そんなテキストでのやり取りが終わり、ガスメーター対応を終えて、歳のせいか、んなことすっかり忘れていたらいつの間にかまたラインが来ていた。
「あの、やっぱり一緒に来てもらえませんか?一人だと不安で(汗マーク)」。
・・・きた。対面なら「あああ、あの・・・」。テキストなら汗マークをつけてけっこうなお願いをしてくる、いつものパターン。
いや、不安なら断ってよ。頼みますよと思いながら「私は今日は近所に住む子どもがこれから来る予定があるので無理です。ごめんね。」と応えた。
そして、数分後・・・。
ぴんぽーーーーーん!
ん?なっちゃん?
コードはかけておいたけど、どうしたんだろう?と、驚きながらインターフォンを取ると
なんと、「あー、のえちさん?」と怒り口調で出たのは・・・なっちゃんのお母さんであった。
つづく
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