赤ちゃんのおっぱいから...

赤ちゃんのおっぱいからミルクが出たら、びっくりしますよね?
「お母さんの」ではなく、「赤ちゃんの」ですよ。

小児科医をしていると、お母さんから赤ちゃんのおっぱいから白い液が出たと相談を受けることがあります。

お母さんは病気ではないかと、びっくりされていますが、これは病気ではありません。

「魔乳」です!
英語では「witch's milk」です!

魔乳は母乳とほぼ同じ成分で、原因は妊娠中の母体ホルモンの影響です。

少し詳しい説明をすると、
産まれるまでにお母さんのホルモン(エストロゲン)が胎盤を通して、赤ちゃんの体に入ります。エストロゲンは、赤ちゃんの下垂体というホルモン分泌に重要な臓器に作用して、プロラクチンというホルモンの分泌を増やします。
プロラクチンは乳腺に作用して、乳汁の分泌をさせるのですが、お母さんのエストロゲンがそれを拒みます。ただ生後にお母さんからのエストロゲンの急激に減少すると、プロラクチンの作用を阻害するものがなくなり、乳汁が出るということです。

魔乳の分泌は生後2日目くらいに始まり、お母さんのホルモンの影響がなくなる1週間程度で出なくなります。正期産の20人に1人も見られるという報告もあります。

ですので、基本的には、放っておいて全然問題ありません。
ちなみに、ホルモンの影響なので、男の子でも魔乳は出ます。

体の神秘、「魔乳」でした。

いいなと思ったら応援しよう!