「風邪」に何回もかかる理由
こどもと言えば、「風邪」。
小児科と言えば、「風邪」。
クリニックにおいて、患者さんの8割は風邪の患者さんです。小児科医は、「風邪ですね~。」と1日何回も話すことになります。
そもそも風邪って何でしょうか?
小児科学の成書であるNelson(世界的に有名な本)に書いてあることを噛み砕くと、「鼻の症状がメインの上気道への急性ウイルス感染で、発熱等の全身症状が軽いやつ」です。
皆さんご存知の通り、ほっといても治りますし、薬もほとんど効き目ありません。
色々な研究でも、鼻や咳へ薬の効き目はほとんどないことは分かっているのですが、保護者の方への咳止めなどの薬への期待はたいへん強く、信仰の域に入っていることが多いです。
咳止めの薬を出さない医者は、保護者の方から、「あの医者は咳止めを出してくれなかった!」と糾弾されてしまいます。効かない薬であっても…。
「信じる者は救われる」とも言えます。
咳止めが、保護者の方の抗不安薬になっているのなら、それも良しとしています。
こどもは年に8回程度も風邪にかかると言われています。なぜ何回もかかってしまうのでしょうか?
これには理由はいくつかあります。
簡単に言うと、
①風邪の原因のウイルスの種類が多く、また同じ種類でもその中に複数の型があることがある
②一度感染しても、終生免疫がつかないので、何度もかかってしまうウイルスがいる
風邪の原因ウイルスは多いです。
一番多いのが、ライノウイルスです。風邪の半分程度を占めます。
他にも、コロナ、インフルエンザ、パラインフルエンザ、RS、ヒトメタニューモ、アデノ、エコー、コクサッキーなどなど。
昔のポケモン言えるかな?みたいです。
例えばライノウイルスなどは、ライノウイルスの中に血清型が100種類以上あるため、一度かかっても別の型にかかってしまいます。コンプリートまでの道のりは長いわけです。たぶん死ぬまででも、全種コンプリートは難しいでしょう。
また、ウイルスの種類によっては、血清型が少なかっても、一度かかかっても終生免疫(一生続く免疫のこと)がつかないものもあります。
例えば、RSウイルスなどは、血清型は1つなのに、よく子供が何回もかかかっています。
これが、こどもが風邪に何回もなる理由です。基礎医学の先生からすると、もっと色々な理由があるのかもですが、臨床医の認識としてはこんな感じです。
明日もしっかり風邪と向き合っていきたいと思います!
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