アルバム『35』についてやら

ZEPPET STOREの結成から35年にあたる今年。
記念すべき何かをやるかどうか悩んでいた時期もありましたが、去年は近しい音楽家の訃報も続き…
やはりやるべきだなと思ったわけです。
自分もいつそうなるかわからない。自分もだけど自分以外のメンバーも。そしてリスナーのみんなも。
楽しみながら楽しんでもらえる…なんて素晴らしい人生をおくれているんだと。そんな立場にいれる自分たちが動かないでどうする?と。
なので思いっきり楽しみながら作りました。ツアーの準備も始まりますが、こちらも楽しんで準備していくことでしょう。
さあ、いよいよ、楽しんでもらう番ですね。

8年ぶりとなるフルアルバムを作ること。
新譜の発表だけにとどまらず、スペシャルな何かでこれまでの歴史を楽しんでもらおう。
久しぶりにツアーもやろう(あ、これは発信俺じゃないけど)。
35周年を祝うにあたり、俺と世治以外のメンバーはそれぞれ加入時期が違うので「俺は◯◯周年だから…」ではなく、現メンバー全員で等しい気持ちと等しい責任と等しい仕事量(これはさすがに役割分担的に差が出るのですが)でやろう…俺もいない時期があったので35年在籍していたわけではありませんが。
そんな話をしました。

それらがついに形になりました。
あ、まだ世治はお仕事残っているのですが。

せっかくのアイテムたちなので手に届くまでのつなぎとして、話せる範囲でぼちぼち書いていきます。話せる範囲なのでたいした回数にはならなそう…。

では、まずアルバム『35』の話を。



世治曰く「サーティー・ファイブ」と読むらしいです。
『716』は「セブンハンドレッド・シックスティーン」じゃなくて「ナナイチロク」だけど
これは「サンジュウゴ」ではなく…と。
716も二桁だったら…今作も三桁だったら…違っていたのかもしれませんが。

制作前に『ZEPPET STORE / ZEPPET STORE』ってのもアリだよね、って話はみんなにしました。
まあ最近流行りなんですけどね、これ。
セルフタイトルアルバムを作るにはまだ早い、ということでしょうか。
そして制作終盤に『35』で決定。
シンプルで良いのかね?良いんだよね?ってな自問自答も。
ちなみにスコーピオンズパイセンの最新作を調べたら『Rock Beliver』と。このダサさにバネと大笑いしたわけだけどこのブレないところがカッコいい。
意味もたいしてない『716』で世に認知された我々、『35』も俺ららしいか、と、良いだろうと。タイトルなんてね、あとは勝手に独り歩きするものだ。その反動でsphereのタイトルはわかりづらかったりラテン語表記/スペイン語表記/フィンランド語表記なんかで楽しんでいる。

曲作りに関して各メンバー2曲を書き下ろす、というお題を出しました。
ヤナは俺がいない時代数曲書いていたらしいが普段書いているわけではないのでちょっとしたハードルにはなったのかもしれないけど他の4人からは絶対出ない素晴らしい曲となった。
これも今更気づくわけだけど、再結成後の曲作りは俺と世治の曲がZEPPET STOREのセンターをなしナカムーとバネの曲が右寄り/左寄りをまかなっていたわけだけど、今作のヤナの曲でさらに一段幅が広がった。
前からゼペットは多くのジャンルを飲み込んだサウンドでそれが長所で(まあプロモーション的には短所なんだけどね、ジャンルレスって短所なのよ)それぞれが1ジャンルにこだわるタイプではない各メンバーが均一の曲数を書くことでジャンルレス化もさらに加速した。

世治から誰がどの曲を書いたか、届いたCDのスリーブを見ればわかるのだけど、これは発売前は伏せてね、と言われてますので、お手元に届いてから楽しんでもらうとして。
キムラジオで言ってましたが『Flutter』の話を。これだけは俺の曲と言って良し、となってます。

制作前にメンバーには「各2曲ずつ書き下ろし」と伝えましたが、ひとつトラップを。

上田っちが在籍した時代(第3期と俺は呼んでます)の楽曲はレコーディングされていない名曲が揃っていた時代で。
俺の脱退も後悔はまったくないのだけど(お陰でwipeもDROPもHOODISもsphereもやれたわけで)唯一の後悔として「なぜあの時期、レコーディングをしなかったか」という想いがずっと残っていたわけです。
『swing,slide,sandpit』の再発Special EditionにDisc2としてその時期のライブ音源を入れたのもそのためですが、35周年を祝すこのタイミングでなら今のメンバーでのレコーディングに意味を感じたわけです。
みんなは2曲作ってね、だけど俺は1曲しか作りません。なぜなら…Flutterをレコーディングしますよ!と。そう、これは30年以上前に俺が持ち込んだ曲です。
プロモーション的にはこんな長文書くスペースなどないので「各メンバー2曲ずつの書き下ろし」とわかりやすくしてますが…汲んでいただければ。
あの時期は他にも良い曲いっぱいありますが特に気に入っていた『Flutter』をレコーディングしたことでこの後悔の念も結実しました。
なので俺担当の2曲のうち1曲が『Flutter』となります。
この時期を聴いたことがないhideさんがゼペットに対して「わーお」となっていたわけですがこの曲こそhideさんに届けと思っています。「わーお、わーお」でしょう。

レコーディングに関しては世治から提案があり「この曲はヤナにドラム叩いてもらいましょう」と。メロディもコーラスもアンサンブルも完璧と自賛しているこの曲の間違いなく重要な要素である躍動するドラムプレイはヤナだけのもの。病気の件でドラマーとして引退してリズムトラッカーとして在籍してくれているヤナらしいレコーディング手法にて録音することができました。

今作のドラムレコーディングをいつもライブでサポートしてくれているハゼくんに叩いてもらうつもりで俺はいたのですが「ドラム、自分が叩きます!」と世治から提案ありました。
35周年記念盤をメンバー5人でやり切ることに意味があるのでは?という提案だったと記憶してます。
いいね、こういうバンドのアイデンティティ。
バンドはアイデンティティがすべてです、スコピーパイセンの例を挙げたとおり。

と、
基本的にはこういうやり取りも実は普段は薄く各々が感じたZEPPET STOREを各々が演じるのがこのバンドのこれまでのスタイルでもあるのだけど、今作はそんなZEPPET STOREのアイデンティティが散りばめられている作品となっています。

ハゼくんにはドラムレコーディングエンジニアとして彼のスタジオにて作業させてもらいました。

再結成後のこれまでの作品のレコーディング作業は俺を中心に、ミックス作業も俺がやっていたわけですが、今作は俺4曲、ナカムー4曲、ヤナ2曲でミックスを分担しました。
これも各曲のキャラクターがさらに色鮮やかに識別できた要因となりました。

マスタリングはナカムー。
通常マスタリング作業ってその時の感覚的なところで1日でササっと、振り返ってやり直しとかでもワントライorツートライくらいのほうが良い効果が出たりするものですが
彼はとことん拘ってやっていました。
俺もバネも「もーいんじゃね?」くらいに、笑

ジャケットデザインは世治。
もう外部の仕事請負っていけば?くらいなクオリティになっている木村デザインの進化は恐ろしいほどです。

各曲の詳細を伏せたけど、長文になりましたが、CDがお手元に届く前の情報としてはこれくらいで。
次はDVDの話をしますわ。

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