Overture セルフライナーノーツ

発売から1ヶ月経った。
この曲に関しての呟いていたことをまとめつつ新たな情報も。
アルバムコンセプトにはなるべく触れないように…この曲は語ることが多過ぎますゆえ文章の組み立ても難しいのでとにかくつらつら書きます、セルフライナーノーツ的に。
Shokoが発売時に呟いていたこともすべて補完できると思います、彼女は短い言葉ですべてを語っていた。

『A Fusion Of Two Hemispheres』の10曲目『sphaera dissolvit ut luna plena』で月に到達した我々は月から帰るところから物語をはじめた。
アポロの帰還も調べてみたが我々は母船を月の軌道で待たせているわけでもないので自走で(自航か)月面から飛ばなければならない。
そのためにはカウントダウンも必要だった。
ゆえにSNSにてカウントダウン。
詩世界について俺が語るわけにはいかないが彼女の描いたアートワークと歌詞にて読み取れるはず、すべて内包されている。
青に帰る航路の中で青だけではないカラフルな思い出が船内に満ちその思い出どおりのカラフルな地球へ帰れるという安堵や期待感と帰る場所は変わってしまっているかもしれないという不安感もどこかに…。
カウントダウンのアイディアを伝えたところその高揚感をもアートワークを分解して作ってくれた。
カウントダウンが進むにつれひとつまたひとつと色鮮やかな思い出が増え船内を満たしていき最後に青い地球が窓いっぱいに広がる。
急に地球近くね?雲大きくね?雲見上げてね?と感じるかもしれないがこれはアルバムコンセプトにも関わってくるのでここでは言わないがあの雲も彼女の思い出の断片なのかも。
実はどんなアルバムにするかのアイディア出しは去年の夏の終わり頃からブレストしていた。ある程度のコンセプトが見えてから曲作りに着手しようとも決めていたから。
だから「やるやる」言っておきながらShokoをずいぶんと待たせることに。
当初はA Fusion Of Two Hemispheresのアートワークのあの雲に乗れば良いのでは?
雲 = 自由の象徴として…アルバムコンセプト「自由は?」
…んにゃ、コンセプトが自由ってなんやねん?コンセプトって決め事だろ?自由って、笑…
ブレフトしながら思考をしそのあとコンセプト論争もある程度固まったのだが…。

これまではメロをつけた時点でShokoに聴いてもらうのだがこの曲はメロをつける前段階で送った。お待たせしたけどすごいのできた、と言わんばかりに。
そう、作品は…新曲は…常に過去を上まわらなければならないのがライフワークと捉えているsphereの存在意義。
あ、冒頭のハミング(このハミングに似た違うメロディがエンディングに入ってくるが)は最初からできていた。
「メロ、つけてみたいかもです…」
彼女の「つけてみたいかも」は「わたしがつけるわ」と判断、彼女から4パターンくらい送られてきたものを切り刻んで決めた。
Overture(序曲)というタイトルが語るとおりこれからはじまるアルバムの入り口であり全曲を予感させるようなある意味すべてである必要性から「12音階すべてを使おう」というアイディアにもこだわった。
歌メロ/ベース/ギター、検証してないがたふんピアノも、12音階すべてを使っている、まあ普通にポップスの曲作りではあり得ないこと。
これから積み上げていく新曲たちのためにもカラフルな世界を描くためにも念をこめるかのようにここはこだわった。おかげでIVmを転調とするなら6回かな?転調をしている。
構成もAメロ、Bメロ、サビ、間奏、Aメロ、Bメロ…とかではなく
イントロメロ、Aメロ、Bメロ、Cメロ、Dメロ、エンディングメロ…という流れで繰り返しが1回もない。
にも関わらず大きな変化をあまり感じさせないでいて転調しているところも気に入っているし
イントロメロとエンディングメロが、BメロとDメロが関係性を感じさせてそこも面白い。
前記したとおりイントロメロは最初からできていた。前作の『sphaera dissolvit ut luna plena』からの帰還ということで宇宙船内部からのシーンではじまるため声色はそれ風に加工してある。デモでは実際にShokoと出会った頃にもらった彼女のキーチェック用のデータを繋いでハミング風にしたものを渡していた。イントロメロも歌詞を載せてもらうかと思っていたが地球の管制塔との交信シーンというアイディアがShokoからでた。
NASAでは交信時にノイズなどで聞き取りに不具合がないよう暗号に似た独自の言葉を使うらしい…おもしろい。それらのワードを繋いで歌詞風にしてみようというアイディアだった。
ブレイクした空白部分がShokoの歌だけになりバンドイン!が当初の予定だったが彼女から「セリフにしたい」というアイディアがでた。
「That's affirmative」
歌録り当日、やはりイントロメロはハミングにしようと彼女に伝えた。
地球側がプロトコルを伝えてるのに鼻歌歌いながら華麗にスルーしつつ最後に放つ言葉。
俺からは歌録り当日にエンディングで新たなメロをハミングで入れたいのと、そこにNASAとの交信暗号をセリフで入れたいことを伝えた。
セリフで彼女はいくつかの言葉で交信している。「Do you copy?」とも。これらのワードは歌詞には反映されていない、調べてみて。
イントロメロでは鼻歌歌って上々のスタートを切ったはずがエンディングでは交信が上手くいっていないというふうにもとれる。

ここで序曲Overtureは終わる…旅が希望に満ちたものであってほしいけどどう転ぶかは我々もまだしらない。


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