年末ソロキャン~最終編
寒くて起きた。時刻は2330。フタサンサンマル。
そりゃそうだ、薪が消えれば薪ストーブはただの鉄の塊。
宇宙の神秘画像ではない。
息を吐くと、この白さ。なかなか楽しめないぞ、こんな経験。
嬉しくなって可笑しくて酸欠になるぞってほど息を吐いて楽しんだ。
薪ストーブに火を入れる。
エアコンのリモコンをポチっではないこの不便さ。ありがたみが違う。
身体が温まったところで、カメラも温めた。
前回、バッテリーが寒さでへたって撮影がままならなかったからだ。
外にゴソゴソと出てみると、あちこちのテントではランタンの灯りが瞬いている。
話し声はまったく聞こえない。
星空が視界に飛び込んでくる。
これは・・・見事。
うまく写真に撮れればいいんだけど。そう思いながら三脚を立ててシャッターを切る。
光害もそれほどなく、バッテリーも調子が良く撮影できた。
星空撮影はやっぱり難しい。もっともっと上手くなりたいと思う。
星空、キレイですよ。とは聞いていたけど、こんなにキレイだとは思わなかった。天候にも恵まれた。ありがとう。
暫く外で撮影していたらさすがに寒く、トイレへ。
わたし、身体に悪いんだけどそんなにトイレに行かないんですよ。
君津キャンプの時なんてそもそもトイレがなかったから丸1日半、トイレに行かなかったし。
う~ん、やっぱりトイレがあるのありがたいわ。
ちなみにこんなにキレイ。
うちのトイレよりキレイ・・・・・・。ウォシュレット付だし!
うちのトイレよりオシャレ・・・・・・。
DIYでこんなにすごいトイレ作っちゃうのすごくないですか?
テントに戻ると薪はしっかり燃えていて、テント内は別世界のように温かい。
湯タンポを持ってきた事を思い出しケトルでお湯を沸かした。
シュラフに潜り込んで煤で汚れた窓からチラチラ見える炎を左頬に浴びながら、暫く本を読んだ。
東山彰良の「流」
もう少しで終盤に差し掛かる。
思いがけず恋愛風の展開が出てきて、中森明菜のセカンド・ラブの歌詞が引用されていた。
この状況でこの件が出てくるか。
と、バツ2のわたしは苦笑いをする。
無心で焚き火を眺めていた前回と違って、世俗のしがらみに真っ向勝負した。
もう55だぞ。
関係ないよ、年齢なんて。
ろくでもない人生だったな
忘れた、昔のことは
これからいいことしかないんじゃね?
ばぁか、そんなことあるわけないだろ
やってらんないじゃない、そうでも思わないと
そうか?俺はもうただ受け入れるぞ、なにが起きようとも
そっか、悪くないな、それも
だろ?悪くない。
一人二役。
頭の中で一人芝居をしながら、焦点の定まらない目でフィルターをかいくぐってチラチラ揺らぐ炎を見てた。
最高だな…。
あっ、お湯沸いてる!
湯タンポにお湯を入れて、シュラフの足の方に突っ込んだ。
結局、腹のところで抱き抱えるか、背中に押し当てるのが温かいと気づく。
うっひゃ~、ぬくとい!
思わず地元の方言が出る。
湯たんぽを抱きかかえ首元までファスナーを上げて目を閉じた。
すぐに眠りについた。
朝早く自然に目覚めた。
恐怖夢も見なかった(笑)
さすがに寒くてまたすぐに薪ストーブに火を入れる。
テントの正面側から朝陽が昇る。
せっかくなのでフロントオープンにして、テーブルをセットした。
さむっ!でも朝陽!
お湯を沸かして珈琲で内臓を温める。
マルシンハンバーグブラックペッパー味を焼いた。
気持ちレタスを置いて、カリッと焼けたマルシンを乗せてスライスチーズを乗せて…バンズで挟む。
シチューとケンタッキーを温めた。
昨日の夕飯よりも大量に食べる。朝飯は大事。
地面に放置されたガイロープに霜が降りていた。
凍った地面が朝陽を浴びて輝き始める。
フラフラとテントから這い出して撮影をした。
愛車もこんなに霜だらけだ。
ちゃんとエンジンかかるかちょっと心配した(笑)
あちこちでモゾモゾと動き始めるキャンパーさんたち。
見ず知らずの人と、この氷点下の夜を生き延びた(おおげさ)悦びを朝陽を浴びて分かち合う。
最高かよ。だから冬のキャンプが好き。
お昼前にチェックアウト。
昨晩は最近一冷え込んで氷点下5℃だったと、うっちぃさんが教えてくれた。
顔出しNGではないみたいなんだけど、恥ずかしがりやさんの三人。
ヨッシーさん、うっちーさん、にしやんさん。
ワンピースのワンシーンな感じでいきましょうか!
という私の言葉に両腕を元気一杯突き上げてくれた。
それだと降参ポーズです・・・。と無粋な事は言わずにパシャリ。
ルームミラーに、いつまでも手を振ってくれるうっちーさんが見えていた。
いいキャンプ場だ。
出来れば有名になって欲しくない😅
また来ます!
窓から右手を突き出してそう伝えた。ワンピースっぽくね。
今回お世話になったキャンプ場
おわり
長編お読み頂きありがとうございました!
もうキャンプに行きたいです。