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ロックハンプトン オーストラリア

東海岸南下編(4)
通称ロッキー。ギリギリ都市レベル。犬とビールの思い出しかない。


1日目

出会い

 エアリービーチのバス停でバスを待っていると、いきなり知らない女性から話しかけられた。昨日のツアーで同じ人だった。一言二言しか会話しなかったので、正直なところ覚えてはいなかったが、存在を認知してくれていただけでも嬉しい。バスが来た。そのままバスの車内でも会話は続いた。

 話を聞いてみると、彼女もロックハンプトンまで行くそうだ。自分もロックハンプトンへ行くことを伝えると、「なんで?ロックハンプトン何もないけど」と言われた。バス泊したくないのと、安いホステルがあったこと、オーストラリアの無名の町に行ってみたいのと、もしかしたら仕事が見つかるかもしれないからと伝えた。

 彼女はシドニーに住んでおり、アジア各国を旅した頃があるとのこと。学生時代には日本語のクラスもとっていたようだ。文化の違いや言語の難しさに理解を示してくれ、自分がミートファクトリーでの面接を控えていることを伝えると、「日本では謙虚であることが大事だと思うけど、オーストラリアでは違うから気をつけて」というアドバイスまでいただいた。彼女はダイビングと海が好きで、色んな海をダイビングしているらしい。今回は、タウンズビルに住んでいる友人とエアリービーチで落ち合って、ウィットサンデー旅行をしたらしい。そして、ロックハンプトンでも、近くのヤプーンというところの沖合の島を潜るらしい。
 
 エアリービーチからロックハンプトンまでは、6時間ほどかかる。流石にずっと喋ってるわけにもいかないので、寝たり音楽を聴いたりしながら残りの時間を潰す。今回も休憩は一回だった。

町と町の距離が遠すぎるぜ、オーストラリア
なんか荒野っぽい雰囲気。陸の地平線なんて日本じゃ見たことない

くっそ田舎やんけ

 Googleマップを見ていると、そろそろロックハンプトンの中心街っぽいところだが、景色はそんなに中心街感は無い。しかし地図上では確かに中心街だ。「思ってたよりかなり小さいじゃねーか」。バスはガソスタみたいなところに入り停車した。ロックハンプトン到着。外へ出ると、全然高い建物が並んでいない。。だだっ広い道路と地平線の奥に今にも沈みそうな夕陽が見える。
 
 さっき話していたお姉さんは、友達が迎えに来てくれているらしい。そして、私をホステルまで送ってくれるらしい。ありがたい。車を走らせて10分ほどでホステルに着いた。もうちょっと近いかなと思っていたが、結構遠かったので、ほんまにありがたかった。陽も暮れていたし、馬鹿でかい荷物を持って知らない町をほっつき歩くのはかなり大変だったはず。
 
 今回泊まるホステルはこれまでのものと比べると少し鄙びた感じではあったが、一泊27ドルで、共有スペースも広く、庭もめっちゃ広く、ドミトリーも至って普通なので満足だった。ただ、長期滞在の人が多いらしく友達をガッツリ作っていける感じではない気がする。ただ単に自分のコンディションが社交的じゃなかっただけかもしれないが。一応予定では一泊だけして、翌日の日中は町を散策して、その夜にバスに乗りブリズベンまで行こうという計画だ。

ホステルは、空間が広くて結構良かった

 チェックインも済ませたので、夕食を含めて適当に外を回ってみることに。うっすら肌寒い。日本の10月みたいな感じの気温だ。秋がやってきましたって感じの空気感。昨日は海で泳いでたとは全く思えない。ケアンズのクソ暑い日々が幻なんじゃないかとさえ感じる。秋。私が一番好きな季節だが、こんな人っこひとり通っていないような真っ暗な夜道を歩いていると、淋しさと人肌恋しさを感じる。

秋を感じる空気感


 それにしても、誰も歩いてない。でかい道を時折車が通り過ぎていくだけ。近くにあかりのついている店があったので、コンビニかと思い入ってみると、ボーリング場だった。年季が入った感じのところだったが、賑わっている。ようやく第1町人発見や。

ボーリング場発見
地下の駐車場。真っ暗すぎて怖い

 とりあえず腹が減ったので、コンビニかスーパーがないか調べてみる。スーパーのColesが徒歩15分くらいの距離、中心街付近にあるので向かってみることに。半分くらいの距離のところまで来たのだが、なんか薄気味悪い。多分、寒さと人通りの少なさ、車の少なさが原因なんだろうが、落書きやら放置されてるカートやスクーター、コンテナとかがさらに臨場感を高めてくれる。こんなところでボコされても、拉致られても助けは呼べないし、やべーやつやグループに遭遇しても逃げれる感じがしない。旅する上で勘は大事だ。

 ってことでColesに行くのはやめて、近くにあるコンビニに行き、軽食を買って宿で食べることにした。カップチーズパスタとポテチとコーヒーという貧相な組み合わせだが、あったかいコーヒーが身体に沁みた。
 
 後でオーストラリアの犯罪が多い都市をググってみると、ロックハンプトン2位にランクインしてるじゃねーか。こんなクソ田舎で、アボリジナルもいない町が2位って結構やべーんじゃねーか?因みに1位はアリススプリング、3位はまさかのケアンズだった。まあこの2都市はアボリジナルが多い町なので納得はできる。それにしてもケアンズは3位か!

誰も歩いてない
薄気味悪すぎてここで折り返した
右手のガソスタがコンビニ
あったかいコーヒーが沁みる

2日目

パリ?外灘?

 チェックアウトして、荷物を預ける。午後6時半のバスに乗る予定だが、それまで時間があるので、中心街を散策してみることに。青空が広がる。前にも言ったかもしれないけど、オーストラリアでは空が異常に広く感じる。昨日の夜は引き返してしまったルートを辿る。橋が見えてきた。橋の向こう岸が町の中心地だ。川はかなりでかい。ロックハンプトンは、ゴールドラッシュによって生まれた町で、積出港があった河岸を中心に栄えてきたということだ(Wikipedia伝)。そりゃこんな川もでかけりゃ船も入ってこれるよな。海ではないのに、沢山のヨットが川に浮かんでいる。

中心街へ渡る橋
ヨットやら舟やらがやたら多い

 橋を渡り切ると、歴史がありそうな西洋建築が河岸に並んでいるのが見える。そんな建物に挟まれた小さい路地があったので、とりあえずそこを通ってみる。神戸や横浜といった港町とかにありそうなちょっと洋風の工場街って感じの路地。路地を抜けると、商店が立ち並ぶ通りに出た。建物群がめちゃくちゃ豪華。さすがゴールドラッシュの威光は違う。パリからほんの1ブロック分だけ持ってきたみたい。川沿いに出ると、さっき橋から見えた西洋建築がずらりと並んでいた。何となく上海の外灘に似てる感じがする。まあ規模は全然こっちの方が小さいんだけど。川べりの方は遊歩道が整備されていて、ウォーキングでもすれば気持ちいんやろな。何やかんやで、気分はNHKの「世界ふれあい街歩き」。

中心街に入った!
小さい路地。日本の港町とかにありそうな雰囲気
気分はパリジャン
川沿いの遊歩道
バルコニーの装飾が細かすぎる件
規模は違うけど外灘を思い出す

 適当にぶらぶら歩く。中心街の商店の立ち並びとかは、歩道まで屋根が伸びてる感じとか、やっぱ他の街ともあまり変わらないなという印象。石造りのゴツい時計台がある建物が妙に目立つ。市役所らしい。重厚感があってかっこいい。商店街の規模はかなり小さめで、少し外れると住宅と馬鹿でかい一直線の道路が現れる。写真は撮り忘れたが、普通の道路の真ん中を列車が通り過ぎていくのを目にした。路面電車とかならありきたりだが、道路の真ん中に線路があってそこを普通の列車が通り過ぎるのは、なんかシュールで面白かった。結構トラックとかも走っているし、でかい産業でもあるのかもしれない。

重厚感ありますわ

 この町は牛で有名らしく、ロデオ大会的なのがあるらしいが時期が違うので見れないし、動物園が有名らしいが、動物園に行きたいとは思わないし、牛でも見るかと思ったが、牛は中心地にはいない。やることは無くなった・・・。

 充電器のケーブルとタバコが欲しかったことを思い出し、買い物をすることに。意外と安い商品を売ってる店が多い。貧乏バックパッカーにはありがたい使用だ。ちなみに、充電ケーブルを買った店の女の子がめちゃ可愛かった。ここで働けばあの子とお近づきになれるかもと下衆な考えがふと過ったが、本当にこの町で働きたいかと言われれば???なのでやめた(笑)。足元をふと目を落とすとスニーカーが破れて靴下が見えているのを発見した。いつの間にこんなボロくなったんだ(笑)。仕事とかでも使えるんじゃないかと思い、前々から買いたいと思っていたワークブーツが20ドルで売っていたので、買って川辺で履き替えた。ありがとう俺のGUスニーカー。はるばる日本からオーストラリアまで来てその役目を終えるとも思っていなかっただろうよ。

オーストラリアグッズ多い。愛国心高め
知らんけどレジ持っていったらさらに割引された(笑)
ありがとうGUスニーカー

 そういえばコーヒーも飲んでないし、朝飯も食ってない。どっかカフェにでも寄ろうかと思ったが、節約したいしサッサ食べたいのでSubwayを買って食い、まだ昼過ぎだが、川辺を歩いてホステルに戻ることにした。木にめっちゃ鳥が止まっていたのでよく見てみると、鸚鵡みたいなやつだった。オーストラリアあるある、鳥が個性的すぎる。

味がある朽ち果てた波止場
鸚鵡みたいな鳥がめっちゃいる

犬との戯れ

 帰り道すがら今日の予定を再考する。今日発ってしまうとあの可愛い店員ともおさらばだ。あと地味に疲れたしバスで一泊したくないなという考えが頭をよぎった。一泊27ドルという魅了も捨てがたい。目的地のトゥーンバ、オーキー周辺はホステルが無いのでホテルに泊まらないといけない。つまりさっさとシェアハウスでも見つけて移動しないとめちゃめちゃ金がかかってしまうことになる。そして、肝心の仕事についてミートファクトリーからは、部屋を見つけ次第面接をしてくれるとの連絡が。まじか・・・部屋見つけて面接落ちたらどうすんねんと思ったが、こんなことを言ってるなら基本的には雇ってくれるだろうし無用な心配なんだろうが。

オーストラリアのYHAのマップ

 で、結局延泊することにした。この旅、行くところ行くところで一日ずつ延泊してる。自分の計画性の無さに愕然とする。まあ意外と一泊ってちょっと余裕がないしきついんよ。特にバス旅とか在来線の旅とかだと余計に感じる。なぜなら移動が一日のほとんどを占めてしまうから。次にバス旅をするときには1日ずつ余裕を持たせるようにしようと心に誓った。

 ここのホステルはオーナーさんが犬を二匹飼っており、オーナーさんが働いている時間は犬が外でうろちょろしてる。ケアンズでも2軒のホステルで犬を見かけた。オーストラリアに来てから犬と触れ合えるようになったのは嬉しい。基本犬は飼い主と一緒にいるからなかなか触れ合える機会が無い。とは言っても野犬と触れ合いたいわけではないけど(笑)。勝手なイメージだけど英語圏の国は、犬の存在がめっちゃ身近そう。一軒家と犬って感じ。実際、犬の散歩をしてる率は日本より高いような気がする。気がするだけ(笑)。確信を持って言えるのは、でかい犬の率は絶対に日本より高い。
 
 まあとりあえず犬可愛いので、タバコを吸ったりコーヒーを飲んだりしながら、適当に犬と戯れて時間を過ごした。

元気なやつ
ちょっと落ち着きがあるやつ

 夜は近くにRed Roosterというケンタッキーみたいなチェーンのチキン屋があったので、買って食べてみることに。店内で食おうと思ったが、誰もいないし所々椅子も上がっていたのでホステルで食べた。意外と美味くてケンタッキーよりも好きかも。ぶち色の方の犬がめっちゃたかってくる。犬といえば骨を咥えてるイメージがあるので、骨を献上いたしました。

Red Roodter
暗すぎてよく見えん

3日目

ニート

 バスは午後6時半発。時間があるが、あんまり動くと疲れるので、近くのカフェでコーヒーを買ってホステルの庭でゆっくりすることに。まあやることはあんまりない。焦燥感に駆られて、ネット上から求人に応募してみたり、オーキー周辺のシェアハウスを探して新たに連絡を取ってみたりした。とはいえ流石に時間がもったいないので、昨日歩いた市街地方面とは逆方面にショッピングセンターがあるようなので、行ってみることにした。

 日差しが強い。昨日もそうだったが、夜は14℃くらいまで冷えるのに、昼間は27度くらいまで上がる。寒暖差がクソ激しい。オーストラリアは、サングラスと帽子は必須だと感じる。
 ショッピングセンターは、結構大きめでケアンズにあったケアンズセントラルと同じくらいの規模。もしかしたらこっちの方がちょっと大きいかも。Sushiやらメキシコ料理やらシュニッツェルやらいろんなレストランも入ってたが、結局マックを食べた。

 あと、生命保険会社から電話が来たのだが、手続き関係は来るまえにばっちし終わらせておくべきだったなと後悔。

 ホステルに戻り、敷地を探検していると、他にも共用ルームと喫煙所を発見した。共用ルームはソファーと本が置いてあった。もうちょい早めに気づければもっと充実したインドアな1日になったのに。英語で本を読むのは得意ではないが、折角オーストラリアにいるんだし、ということで一冊読み進めてみる。ツールドフランスが好きで出場することを目指している人の物語。色んな趣味や楽しみがあるよなーっていう感想を感じた。薄すぎる(笑)。ただ彼は、ツールドフランスのその競争だけでなく、背後のストーリーや大会のドラマについて熱く語っており、なんとなく箱根駅伝のそれに通じるものを感じた。

 バスに乗る前に一杯引っ掛けたい。Googleマップで調べると近くにパブがあり、営業中のようなので、行ってみることに。閉まってるやんけ。結局、近くにあった酒屋でビール(Great Northern Crisp)を一本買って、ホステルに戻って本の続きを読みながら飲むことに。この頃はGreat Northern Crispをよく飲んでいた。ケアンズ発ということで飲み始めたのだが、発祥がケアンズなだけで、今はクイーンズランド南部で醸造している。同じGreat NorthernのOriginalよりもさっぱりした感触が好きだ。何より値段も比較的安めなのも良い。

ホステル周辺(Berserker)の景色。the Queenslandな住宅街
Great Norther Crisp!
リラックスされているところすみません・・・

大陸の地平線

 午後5時40分。そろそろ出発や。荷物がクソ重いが無職だし歩くしかない。徐々に日も暮れてきて、空がゴールド、オレンジ、紫、碧みたいなグラデーションになってきた。橋を超え、中心街を抜け、やっと線路のところまで来た。道路の真ん中にある線路。はるか彼方まで真っ平で、地平線の先まで直線に伸びている。なんとなくアメリカの大平原とかに位置する町を想像した。

ロックハンプトン大橋(自称)
一番賑やかな通り
地平線まで伸びる線路

 やっとバスターミナルに着いた。結構きちい。後ろに20キロのバックパック、前に5キロくらいのリュックを背負って歩くのは30分くらいの距離で勘弁したい。他の国にバックパック旅行をしに行く時は、もう少し荷物を減らして旅行できるようになるのが理想系だ。
 
 少し早めに着いたので、コンビニで今日の夕食を摂る。コンビニはスーパーよりも割高だけれど、サンドイッチとかの軽食系や期限間際の商品とか、結構割引されてる商品も多かったりして、意外とお得に買える時もある。久しぶりの夜行バス、オーストラリア初の夜行バスだ。何より、このバスターミナルで夜行バスを待つ感じがなんとなくエモい。
 
 Greyhoundの赤いバスがやって来た。行先表示はBrisbane。「ついにブリズベンまであと少しの距離までやったきたんだな」という感情が湧き上がってきた。今日バスで一泊すれば明日の朝には到着だ。

バスターミナル
Brisbane行き
車内は真っ暗やで

 


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