見出し画像

タウンズビル オーストラリア

東海岸南下編(1)
等身大のオーストラリア。歴史感じる港町。キャッスルヒルが目立つ。人種差別。


1日目〜ケアンズ脱出

果てしない緑のなか南下

 ケアンズでの仕事探しを諦めて、クイーンズランド遥か南部のオーキーにあるミートファクトリーを目指して南下。GreyhoundバスのWimit pass(乗り放題チケット)を使って、東海岸をゆっくり巡りながら向かうことにした。これまで仕事探しやらオーストラリア生活の基盤を整えようと必死で、あまり旅らしいことをしていなかったので、ワクワクする。ただ、いざ離れるとなると少し寂しい気もする。


さらば曇天のくそったれケアンズ
ケアンズセントラルのフードコートで最後の食事。ケンチキ。

 ガイドブックにはエスプラネードの船付き場がバス停とか書いてたけど、実際はケアンズセントラルの裏、駅の入り口がバス停だった。欧米人の若者だらけでアウェー感。なんか、窓にも塗装が入ってるし、紫外線対策でフルスモなので、あんまり景色は堪能できない。
 
 ケアンズを出るとひたすら長い一本道。こんだけ国土が広くて人口密度が低いと田舎の道は、高速道路みたいなもん。どの車も100キロくらいで飛ばしていくし、反対車線に出て追い越すのも当たり前。窓の外は草木やとうもろこし、サトウキビの畑でひたすら緑。遠くの方には、テーブルランドの高地の稜線が見える。このところケアンズは雨がちだったけど、ケアンズから遠ざかるにつれて、晴れ間が見えてきた。

オーストラリア初の長距離バス。
ひたすら何もない一本道。ほぼ高速道路。

茶色い海のCardwellで休憩

 4時間くらい経って、Cardwellという海沿いの田舎町で30分くらい休憩があった。緑一色単の景色ばかり見ていたので、海の青(実際は茶色w)に癒された。売店でコーヒーを買って海風に吹かれながら一服する至福のひととき。
 
 茶色い海はよく海外で目にするけど、大陸の広大な河川に運ばれた汚泥が海岸に集まった潮の流れが遅い沿岸が茶色になるんだろうな。その理論から言うと、対極にあたる離島の海が綺麗って言われるのも頷けるし、島国日本の紺碧の海の美しさのありがたみを感じる。
 
 対岸には、山々が連なる深い緑に覆われた馬鹿でかい島が見える。Hinchinbrook islandというらしくて、オーストラリア最大の国立公園の島らしい。人は住んでおらず、定期航路もないということで、文字通り手付かずの島なんだろうな。緑が深すぎると未知の何かが潜んでいそうで、正直ちょい怖い印象を感じるw。タウンズビルまでは残り1時間ちょっと。

カニのオブジェが目立つ、シーフードが有名?
海風が気持ちいい
茶色い海もある意味レア

歴史感じる地方都市タウンズビル

 ぽつりぽつりと家が見えてきて、車の量も増え、信号や交差点でバスが止まる
ようになってきた。未開の地を脱出、ようこそ文明へ。移動する時、こんな感じで街に入っていく雰囲気がなんとなく好きだ。新しい街への期待や、これまで交わることの無かった人達の生活圏に踏み込む感じに胸が高鳴る。市街地は思ったより広そうで、スタジアムやビルなど大きな建物も結構ある。意外とケアンズよりも大きいかもしれない。中心街っぽいところに入って行くと、ヨーロッパ風の古い建物が立ち並んでいて驚いた。
 
 後で知ったが、人口はケアンズよりも多く、歴史も古い街らしい。ここがクイーンズランド北部の拠点都市として長年機能していて、その昔、多くの日本人がクイーンズランド北部で真珠やサトウキビ産業に従事していたことから、領事館も存在してたらしい。第二次世界大戦中は軍の一大拠点で、日本による空襲も受けている。現在も大きな基地があり、軍事関連が街の基幹産業の一つにもなっている。また、内陸のマントアイザで採掘されている鉄鉱石の精錬や積出港としての機能を持っていて、ケアンズと同様に、周辺の農作物の集積地・経済の中心地でもある。と言うことで、ケアンズが観光業中心のツーリストシティーであるのに対して、タウンズビルは2次産業中心。ある意味ではよりリアルなオーストラリアな姿を知れるかもしれない。
 
 バス停は、観光地として人気なマグネティック島への船付場の目の前で利便性Good!(タウンズビル滞在をすっ飛ばせる)。今日の宿をタウンズビルで取るか、マグネティック島でとるかバスの中で迷って、結局タウンズビルで宿を取ったのだが、マグネティック島にしとけばよかったなとちょっと後悔した。バス停から宿までは徒歩30分くらいなので、「働いてないなら、楽するな!」の精神に則って散策がてら歩いて向かうことに。キャッスルヒルと呼ばれる岩山がどこからでも目立つ。


ケアンズに趣と規模をプラスした感じの街並み

街唯一のホステル<Civic Guest House>

 宿は、結構大きめで、コモンスペースも広い。パーティーホステルでもなく落ち着いた感じでいい感じ(語彙力)。坂道に面してる建物あるあるの、入り口から入って奥に進むと実は2階だったといパターンで、立体的な感じが良き。ケアンズだとホステルの相場は安くても1泊35ドルくらいで、今朝まで泊まっていたところは1泊50ドルもしていたが、ここは1泊20ドルで泊まれたのでラッキーな気分。マグネティック島への観光目的で宿泊してる人が多い。

一泊20ドル、安いし居心地いい!

ある意味リアルなオーストラリアの街

  チェックイン後、夜飯と探検を兼ねて外へ。外は、中心街にもかかわらず全然人が歩いてないし、思ったより外食できるところも少なさそう。パブも数件しかないし、中もそんなに人がいない。人通りが少なく、暗めだと正直薄気味悪い。
 
 ケアンズをど田舎呼ばわりしていたが、ケアンズは街自体は小さいけれど、旅行者が多いので店も外食もコンパクトに充実していて、人通りのある活気のある街であることに気付かされた。それに、バックパッカーやワーホリも多いので友達を作りやすい環境だった。勝手に、ケアンズ→思ってたより田舎→オーストラリアの町しょぼい→他の中小都市もこんなもんやろ、と思っていたのが瓦解した笑。まあ、車社会やし、平日やし、冷静になって考えるとケアンズが特別だったんだな・・・。日本に置き換えてみてもそんなもんやろ。むしろ日本にケアンズ的な街って中々ないよな、那覇をしょぼくしたらケアンズっぽくなるかもしれん。ワーホリがホスピタリティーでのセカンドビザ取得目的で、ケアンズに流れ込む理由がわかった気がした。 
 
 ってことで、外で気軽に飲み食いできそうなとこもないので、スーパーを目指す。スーパーは中心街に一つだけ。夜9時閉店、現在8時45分。急いでカップ麺(ラーメンではないけど、ラーメンもどき)を購入。次は酒屋を探そう。残念、近くの酒屋は夜8時閉店で、空いてるところは徒歩1時間・・・。見た目だけデカくてなんもねーじゃねーかこの街。謎に壁画アートはめっちゃある。 

商店街はケアンズから活気を奪い攫った感じ。
タウンズビルは、壁画アート推し
デカくて迫力ある

ポッサム

 宿に帰って虚しくカップ麺を啜りながら、オランダ人とドイツ人を交えて旅人にありきたりな雑談(失礼)をしていた。ありきたりな夜やなーと思っていたが、突然宿にポッサムが現れた。オーストラリアといえば動物。オーストラリア滞在1ヶ月目にして、ついに動物と出会った。
 
 ポッサムなんて動物の名前を初めて知った。サイズは猫くらいで、カンガルーとネズミを足して2で割った感じ。カンガールーと同じ有袋類で、尻尾が長いのがちょっとネズミっぽさを出してる。子供を背中に背負っていてめちゃ可愛い。初めてみたのでめちゃめちゃ感動してたが、オーストラリアではよく見かける動物で、オーストラリアが長い人は気にも留めていないようだった。

ポッサム、子供を背負ってて可愛い
若干ネズミっぽい気もする・・・

2日目〜悩んだ挙句タウンズビル観光

カフェ<Hoi Polloi Cafe>

 二日目は、マグネティック島へ行こうと思っていたのだが、朝もそんな早く起きれなかったし、でかいバックパックを持って移動するのもだるい。一日ガッツリ観光した後で夜行バスに乗るのも辛い。それに、バスの時間も意外と早くて、タウンズビルで降りたのが無駄になりそう。タウンズビル自体も見て回ってみたいし。と言うことで、もともとのタウンズビル一泊→二日目はガッツリ観光→夜行バスに乗って南下するという予定はやめにした。今日は延泊して日中はタウンズビルをガッツリ見て回ろう、そう思ったが、なんと満室だった・・・。
 
 とりあえず、どっかでコーヒー飲みながら考えようと、チェックアウトして荷物を宿に預けて、Google mapで高評価のカフェに行ってみることにした。
 
 カフェに行く途中、中心商店街でタバコを吸っていたら、薬中白人からタバコをねだられた。「ああ、せっかくアボリジニもいなくて平和にタバコを吸える」なんて思っていたのが台無し。毎回毎回、路上で吸う時にねだられるのは嫌なので、断ったのだが5ドルくれるとのことなので、一本あげることにしたw。「いや、5ドル払って他人からもらうより自分で買ったほうがいいやろが」と思ったが笑。
 
 まあそんなこんなしてカフェに着いた。なんか隠れ家っぽい感じやし、建物も路地も欧風で個人的に好きな雰囲気。コーヒーの味も良い!(コーヒーは好きだけど、正直あんまり違いは分かってない笑)
 
 延泊は無理なら他のホステルを探そう。調べてみると、なんとタウンズビル市内にはホステルが一か所しかない・・・。マジかよ。近場でホステルは、マグネティック島か、バスで3時間くらい行ったケアンズ方面のミッションビーチにしかない。くそ。なんとしてでも今日泊まっていたところに泊まりたい。いろんなサイトで調べたがどれも満室。と思いきやキター、念押しでGoogle mapで調べると空室の文字が。30ドルで2人相部屋らしくドミトリーよりか値は張るが、全然あり。やっぱり最後まであきらめたらダメだなw。

入り口を進んで奥の方にカフェ!隠れ家感!
裏通りに面してた。机めっちゃガタガタするw

丘の上の住宅街

 今日の寝床も確保したので、一安心。自分がただ豆腐メンタルなだけかもしれないが、寝床が未定だと結構不安になってしまう。コーヒーを飲み干して今日一日タウンズビル街歩きをしよう。カフェを裏通りから出ると、街のシンボルらしき時計台と、丘の上に連なる家々がある。そして、また壁画アートや!昨日、宿で見たポッサムがデカデカと書かれていて、街の人たちに身近な動物なんやろなと思った。メルボルンもアートの街で、歴史的な建造物が多いが、タウンズビルもそんな感じで、勝手に小メルボルンと名付けよう。(メルボルンまだ行ったことはない)
ちょっと進むと、街を貫いている川辺へ出る。河口付近だからか、結構ボートやヨットが停泊してる。
 
 とりあえず、建物が連なる丘の上が見晴らしが良さそうなので、そこを通ってStrandと呼ばれる海岸沿いを歩き、Kissing Pointという端の方まで行ってみよう。
細い坂道を登っていくと、その両脇に豪邸が立ち並んでる。花と緑でいっぱいで、見晴らしも良くて「こんな所に住んでみたいな」と思わずにはいられない。魔女の宅急便や世界ふれあい街歩きの画面の中に飛び込んだみたいな感覚。どこを切り取っても絵になるので、カメラのシャッターを押しまくってしまう。それにしてもタウンズビルは崖やら岩山が多い。日本でこれまで、こんな感じの茶色い岩山だらけの風景を見たことなかったし、そこに建物が建ち並んでいるのが新鮮。キャッスルヒルがセンターオブジアースだとして、なんかディズニーシーを思い出す。

空が青い!キャッスルヒルと洋館の景色がタウンズビルっぽい!
良く色んな旗を見かけるけど、どれが何なのかよくわからん。これはクイーンズランドの州旗
長崎みたいに坂道に建物が連なる風景が結構好き
漁港なのかヨットハーバーなのか
花と緑でいっぱいの路地と家々
崖だらけの
天然センターオブジアース
海の見える街♪
道路を真直線に見下ろせる
閑静な住宅街
どこを切り取っても絵になる風景
行き止まり
植物も熱帯って感じで新鮮
美しすぎる
花と緑でどこもかしこも溢れてる。花好きの母親がみたら喜ぶかもなー。
オーストラリアの港。ガントリークレーンが見える。
贅沢な景色よな

アンザックメモリアル公園

 景色に興奮しっぱなしで一日中うろちょろできる気がする。とはいえ、これだけでタウンズビル巡りを終わるのは勿体無いので、海岸沿いを目指そう。坂道を降りると、重厚な西洋建築が並ぶ通りに出て、アンザックモニュメントがある公園があった。ケアンズにもエスプラネード沿いにアンザックモニュメントがあったが、アンザックはオーストラリアの国としての歴史やまとまりを形成する上で、大きな役割をになっているんだろうな。それにしても、公園に生えているFig treeのスケールが桁違いすぎる。

ANZAC
Bin Chickenっていうらしい。日本でいう鳩とかカラス並みにそこらじゅういる。
崖の上の家。滝ができてるやん!なんとなくラピュタっぽいw

海岸沿い<Strand>

 公園を北に進んでいくと、砂浜に出た。ここから海岸沿いはずっと散策路やビーチ、砂浜が連なるエリアになる。ホテルやカフェが並ぶ通りもあり、ケアンズのエスプラネードの小さいバージョン。観光客メインというよりかは、地元の人たちの憩いの場という印象で、落ち着いた空気感。
 
 長い砂浜は、色んな景色を見せてくれる。対岸のマグネティック島、タウンズビルの港が見える。歩いているところも、普通の砂浜から、草の生えている砂浜、岩場、海水浴場とバラエティ豊か。街の近くにこれだけ広い砂浜があって、海水浴や釣り、ゆっくりできる環境があるのが羨ましい。とはいえ、結構歩いたし昼時も過ぎたので、ちょっと何か食べたい。海岸のキオスクにフッシュアンドチップスが売っていたので、それを買ってベンチで食べた。普通に美味い。ただ、カモメに襲撃されながら食わないといけないので、悠長には食ってられないw。
 
 オーストラリアの街には、よく無料プールと無料のBBQキッチンが設置されている。人々が外での時間を楽しめるような街作り。日本はどちらかというと、屋内で楽しめる設計になっていることが多いかな。気候の違いもあるだろうし、文化の違いもあるだろう。そういえば、学生時代に住んでいた佐世保の米軍基地内にも無料のBBQキッチンがあったので、アングロサクソン圏(白人英語圏)ではデフォルトだったりするのかな?

砂浜
こいつらほんま人の飯をタカリにくる
対岸のマグネティック島。ちょっと曇ってきた。
こんな感じでゆっくりできる場が身近にあるってええな
オーストラリアの海沿い、必ずJettyがある。
街中で海水浴ができるのはいいよなー
こんな感じで、遊歩道が続いている
ケアンズが真っ平な街だったので、なんか新鮮
オーストラリアは、どの街にも無料プールと無料のBBQキッチンがある

Kissing Point

 ようやくKissing Pointが見えてきた。岩山のトレイルを登っていくと、第二次世界大戦のモニュメントがあった。太平洋戦争とはいうけれど、真珠湾とかサイパンのイメージが強く、かつ対アメリカの戦争の印象が強いので、オーストラリアは影が薄く感じていたが、こうしてみると自分の歴史認識が如何に狭かったかわかる。 
 
 確かに、対アメリカがメインではあるが、オーストラリアもそれに巻き込まれていたし、アメリカとの同盟関係の中で重要なポジションとして機能していた。自分は今平和な環境で、ここでフリーターみたいなニートみたいな生活をしているが、自分の曽祖父母の時代には日本軍の艦隊がここまできて戦っていたと思うと感慨深い。

Kissing Pointが見えてきた
Kissing Point①
kissing point②
グレートバリアリーフでの日米の海戦経路が図示されてる
「同盟国アメリカとともに敵国日本から国土を守ったぜー」の旗
戦闘機

くっそ歩いた

 Kissing Pointから先も遊歩道が続いていたので、行ってみることにした。自然公園にでもきたような気分だ。これまでの砂浜の景色から打って変わって、ゴツゴツした岩が海岸に転がっている。とにかく岩がでかい。確か、オーストラリア大陸は火山活動やプレートの動きがほとんどないので、古い大陸であると習ったけれど、そういうのが影響してるんかな?
 
 歩いていくと遊歩道は終わったが、その先にも砂浜と公園が続いているのが見えた。長え・・・。行ってみたいけど、かれこれもう10キロ以上は歩いてし、果てしなさすぎる。ということで、住宅街を通ってホステルに戻ることにした。1、2階建ての平屋が続く住宅街。日本と比べて一軒一軒の敷地が広い。オーストラリアでは日本でいうアパートみたいなものがほとんどない。
 
 一軒家信仰が文化。ただ、一人暮らしをするとなると、シェアハウスとか担ってくるので、ちょっと大変だよなと、日本人的考えの自分は感じる。オーストラリアは人が集まってくるし、海外からの不動産投資も多いので、空洞だらけの国にしては、住宅の値段も高い。オーストラリアの人口って2500万人で、日本の首都圏の人口3800万人より少ないんだぜ。そのくせ、国土は日本の20倍。果てしないし、人口密度少なすぎるやろ。オーストラリアの物価が高い要因として、労働者の権利が強いことと同時に、物流コストもよく上げられる。これだけ広大で、かつ都市間が離れていると、そりゃそうやなと納得できる。
 
 夕方、やっと宿に戻ってきた。ヘトヘト。計26.5キロ歩いた。オーストラリアに来てから歩行距離が爆上がりだが、これは多分史上最長かもw。

Boardwalk
砂浜から打って変わって、ゴツゴツした岩の風景
Boardwalkの先にも砂浜が続いてるやんけ
一直線
西部劇に出てきそうな雰囲気
ボートが置いてある家をよくオーストラリアで見る

Pub Crawl

  宿に帰って一息ついて、飯を探しにまた外へ出たが、マックくらいしか食べるところがないので、しょうがなくマックを食す。
 
 宿に戻ると昨日話したオランダ人がPub Crawlに行く?と聞いてきたので、疲れていたが行くことに。Pub Crawlはパブはしご酒という意味で、ホステルのイベントとして毎週やっているらしい。知らない人たちと仲良くなるチャンス!なのだが、今日はなかなか話が弾まないし、自分自身も輪をかけて人見知りになっていくのがわかる。こういうのに少し飽き飽きしてるのか、それともこれが本来の自分の性格なのかわからないけど、全然話に入れない。女の子が多いのもあるかもしれないし、年齢層が若いのもあるかもしれない。最初にゲームセンターとパブが合体した感じの店だったが、初っ端から一緒に飲むグループに混じれず一人虚しくピンボールをする羽目に。面倒臭いし、もうええわと思って、二次会から人知れず消える達人のごとく、しれっと店を出てホステルに帰ったw。
 
 ホステルに帰ると、昨日のポッサム親子もまた来てたし、同室のオージーのおっちゃんにビールをもらって、サーフィンやらオーストラリアやら仕事の話について話を聞いたりすることができた。オーストラリアにいるのに、あまりオーストラリア人と触れ合う機会がないし、いいおっちゃんだったので結構良い時間を過ごせた。

一人虚しくピンボール

3日目〜キャッスルヒル

階段が意外ときつい

 今日はバスに乗って他の街へ行こう。でもバスで寝たくはない。ここから4時間くらい行ったところにエアリービーチという、ウィットサンデー観光拠点になる街がある。ホステルの数も結構ある。ということで、13時発のバスでそこに行くことにした。ただ、キャッスルヒルには登りたい。頂上まで片道だいたい30分程度とのことで、ギリギリ時間はありそう。前回ハイキングをした時に水が少なくて死にそうだったので、1リットルの水をバックに入れ、頂上で吸うためのタバコを用意して、メインの荷物は宿に預けて、いざ出発。
 
 天気が良くて、絶好の外出日和。トレイルは整備されていて、ほぼ階段。これが思っていたよりきついw。すぐ汗だくになった。休憩を繰り返し、水を飲みまくり、途中でTシャツを脱いだりしながら頑張って登った。「観光地やし、街からも近いし余裕っしょ」と思っていた自分を恨むw。まあクソほどきつい訳ではない。思ってたよりもきついって感じ。ただ、他の登山者から「頑張れ」とか「あともう少しやで」って感じの声かけがあり、自然と明るい気持ちになる。
 
 オーストラリアのこういう知らない人との気軽な会話やフレンドリーさっていい文化やなと思う。日本では人間関係の潤滑油が、丁寧さや礼儀であるのに対して、オーストラリアではこれがフレンドリーであることになるんだろう。もちろんオーストラリアでも「こうでなければいけない」という概念が働いていると思われれるので、しがらみが無い訳ではないと思う。それに、別にその人に興味がある訳ではないけど、とりあえずただの挨拶として言葉を交わす場面も多い。

トレイルのスタート地点
天気が良い
休憩スポットが結構ある
あともう少し

頂上

 登ってきてはや30分。やっと頂上付近の駐車場と展望台が見えてきた。実はここ、車でも登っていける。残念ながら頂上には電波塔が立っていて登れなかったが、電波塔の周りにぐるりと歩道があって、そこからタウンズビルの街を見渡せる。なんとなく長崎の稲佐山みたいな感じがする。達成感もあるし、見晴らしも良いのでめっちゃ気持ちいい。昨日はちょっと曇っていて灰色にくすんでいた海も鮮やかな青。低い家々が整然と遠くの方まで伸びている市街地が見え、その奥には広大な大陸が続いているのが見える。
 
 日本だと、山以外の平地は何かしら建物があったり道路が続いていたりすることが多いので、こんな風に平地が続いていても、ただ何もない自然が広がっている光景が不思議だ。

海と空が美しい
高い建物が無い市街地と、奥に続くオーストラリアの大地
海岸線に伸びる平地にも何も無い

絶景を背景に人種差別される笑

 展望台から景色を望むと、右手の方の岩にトレイルが伸びていて、そちらも景色が良さそうなので向かってみることにした。こちらの方は、岩の上に登って景色を見渡せてより自然の中で景色を楽し無事ができるし、岩に座ってゆっくりすることもできる。
 
 「ああ、なんて贅沢な景色や」そう思いながら写真を撮ってゆっくりしていたら、こっちに向かって中指をたててくるおっさんがいた。冗談か何かの間違いかと思っていたら、何か叫びながらこっちに向かってきた。そして、俺の目の前に来て「Asian」やら「Cunt」やらめちゃくちゃ早口で威圧的に捲し立ててきた。幸いにも訛りがひどく何言ってるかわからなかったが、あまりの驚きで呆然としてしまった。自分の周りにいた他の白人には全く絡みに行かなかったので、おそらく人種差別的な何かだったんだろう。ちなみに、特に誰も助けてくれたりとかは無い。「あの人なんて言ってたの?」と周りに聞いてみたが、無視された・・・。
 
 最高な景色での、最高な時間から一転して、崖下に蹴り落とされたような気分だ。時間も時間だし、平気なフリを装って、下山することにしよう。
 
 歩いていると、無性に腹が立ってきた。本当に胸糞悪いし、何も言い返せなかった自分にも腹が立つ。日本人はなんとなく「自分たちは人種差別されない」と思っていがちだし、日本国内にいても人種差別とは無縁の生活を送っている。しかし、現実は違うことをまざまざと見せつけられた。確かに、アジア系は下に見られる事が多く、日本人もそのいちアジア人。それに、普通に日本人の容姿や文化を茶化してくる人も意外といる。これまでいろんな欧米人とあってきたが、もちろん日本に興味がある人は日本についてよく知っているし、日本についての知名度はそこまで悪いもんではないが、基本的には無関心な人が多いのも事実。まあ、所詮そんなもんだろう。
 
 太平洋戦争とも深い関わりを持つこの街で、あの戦争について考えることも多かったが、「よく日本は悪かったと言われるが本当にそうなのか?」と思うようになった。欧米の帝国主義の脅威に対抗するために近代化・西洋化を進め、西洋諸国に対抗するために、彼らと同じく帝国主義を進め領土を拡大していった。ロシアと対抗するために日清戦争や日露戦争を経て朝鮮の利権を手に入れ、満州の利権を手に入れていった。他の西洋諸国が中国への野心をあらわにする中で、日本もそこに加わっていった。
 
 西洋諸国は、自身にとっての敵でもあるロシアを打倒しようとする日本には味方し、戦勝後は脅威として見做していった。もちろん、この国際ゲームの中で蹂躙された国々にとっては最悪であるし、闇雲に戦況を拡大していって、引くにも引けなくなり最悪の戦略を取っていったということが、「悪かった」というのは頷けるが、西洋各国はどの口揃えて言っているのか訳がわからない。
 
 まあ、イギリス、フランス、オランダ、アメリカが支配していた東南アジアに侵攻し、中国を食い物にしていたので、敵であることは間違いない。しかし、彼らもアジアにとっては敵だろう。

もう一つの展望台へ
絶景
電波塔と展望台が見える

とりあえずバスに間に合った

 そんなこんなで、思想強めなことを考えながらホステルに向かってたが、意外と頂上でゆっくりしていたので、時間があんまりない。急いで降りようとするも、今さっきのショックもあり、道がわからなくなった笑。冷静になろう。Google mapを見て、来た道を思い出しながら軌道修正。
 
 なんとか12時前に宿に着いたが、受付に人がおらず荷物を出せない・・・。ああ、「12時前だったら人がいるから荷物を取り出せるよ」と言われ焦ってホステルに戻ってきたのはなんだったのか。もうなんとでもなれと思いながら、20分くらい経つと、スタッフが一人戻ってきたので無事に荷物を取り戻せた。
 
 歩いていくとバスに間に合わなさそうなので、レンタル電動スクーターで行こう。この電動スクーター、オーストラリアの街中によくあるサービス。いろんな所に貸出場があって便利なのだが、よく街中に放置され、文字通り転がっている姿を見かける。それに意外と高い。バス停まで15分くらいで着いたのだが、10ドルほど取られた。正直Uberを使った方が安い。
 
 まあ、なんやかんやキャッスルヒルも登れたし、バスにも間に合って、初の人種差別も経験してええ一日やった。
 
 白人に対して、これまでは文化の壁をよく感じてはいたが、苦手というか、若干距離を取る感じになるようになった。正直、人種差別を受けると、受けた直後は全ての白人が怖く感じるし、関わりたくないと思ってしまう。ほんま外国で生活している人はすごいなと感じる。長年生活していれば、こういうのも受け流せるor言い返せるようになるんかな?

こっからも降りられるのか?
受付誰もいないやんけ

まとめ

 タウンズビル、いい街やった。キャッスルヒルのある風景は特徴的だし、歴史的な建造物や丘の上の住宅街の景色は癒される。海岸沿いやキャッスルヒルトレイルなど自然が身近で、ゆっくりできる憩いの場が多くあり、マイナーな街なので観光客もそれほど多くない。
 
 確かに、活気はイマイチなので少し物足りないかもしれないが、街なので必要なものはあるし、観光地のマグネティック島も近く、ここに住んでいれば気軽に遊びに行く事ができる。ある意味オーストラリアのリアルな地方都市を垣間見る事ができるかもしれない。それに、ワーホリもタウンズビルを通り過ぎてケアンズに行く人が多いので、意外と仕事が見つかる穴場かもしれない。宿の掲示板にも求人の張り紙が多くあった。
 
 とはいえ、この街の人通りが少なくてちょっと薄気味悪い感じ、人っこひとりいない夜の路地でたむろってる若者が怪しいとか、気のせいかなと思ってたネガティブな印象も、最後の最悪な出来事のおかげで、「ほんまにそんな感じ(治安悪い)なんじゃ無いかな?」と思ってしまった。
 
 「素敵な街ー」って感じで、魔女の宅急便の「優しさに包まれたら」が流れる頭お花畑の俺だったが、ある意味現実を見せつられたし、建物が歴史ある洋風でおしゃれだとしても、おしゃれであるだけで特に何も起きることはないし、そもそも洋風だったらおしゃれになるってどういう感覚やねんと考えるようになった。まあ、この街がそっくりそのまま日本にあったら、おしゃれな洋風の街として人気にはなるんやろうなとは思う。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?