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『増補 20世紀写真史 (ちくま学芸文庫 イ-2-4)』 伊藤俊治

ここで確認しておきたいのはバンクーバー派のアーチストたちが認識していた「イメージ」と「ピクチャー」の違いである。彼らはイメージとはカメラや機械でもつくれるものであり、ピクチャーは人により構築され理論や構想に基づくものと考えていた。ピクチャーは単なるドキュメントではなく、長い歴史の中で人間がその理念をどう具現化させるかに心を砕いてきたものだった。写真は絵画に比べ新しいメディアであり、側発性や制御不能なものを取り込みながらピクチャーとは何かを手探りで学んでいると見なしていた。あるいは写真は一枚の写真にピクチャーとイメージを同時存在させる道を模索していると言ってもいい。

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