キッチンでの資源再利用
「おっと、これは破れてしまった。」
こんなことってとても珍しいことだ。
バッグが包まれているポリティッシュを再利用しようと、おじいちゃんは中にある料理の形が崩れないように慎重に指先に力を入れながらセロテープを剥がしていく。破れてしまったら使い物にならない。
我が家は6人家族だが、これができるのは84歳の私ひとりである。
見ているだけでは分からない高度な技が必要だからである。
週2~3回はこの自慢ができる機会が訪れる。ママが買い物をして、ジジ、ババのところに立ち寄るのである。
どうすればあの薄い袋を簡単に剥がすことが出来るのかって。それにはコツがある。細くてしなやかな指ではなく、太くて短い私の指でもできるのである。近いうち、そのやり方を動画投稿サイトにアップしようと思っている。
ちょっとだけヒントを言おう。封するために貼ってあるセロテープを裏から剥がすのである。
子どもの頃、母から裁縫の針に糸を通すことをやらされた。こんがらがっている糸を解いてやったりもした。老眼鏡さえあれば、今の私でも簡単に出来る。母のしつけが今に生きているのか、この高齢になって母に感謝だなんて、人には言えない。
では、手の中で生き返ったポリティッシュをどう使うかって。
料理するときや食べ終わったあとにでる臭いの強い廃棄物、例えば賞味期限の過ぎてしまった野菜、魚の骨、バナナの皮、など捨てなければならない時にそれを使うのだ。そしてゴミバケツに入れる。
ポリティッシュ剝がしを嫌がらずにやる訳は、本当は指先の刺激は脳の老化を防ぐと世の先生方から聞いているからだ。私が最も恐れているボケを予防する効果があるに違いないと期待しながら嬉々としてやっている。
今日も買い物帰りのママが帰ってきた。
「お帰りー・・・・・・、私の出番はあるかなー。」