正直不動産屋のウラ話し5
今回も前回に続いて、不動産投資のお話しです。
日本の不動産の価値の算出方法は、主に積算方です。
土地の価値と建物の価値を合計します。
例えば、土地の大きさが50坪で、坪単価100万円とすと、50×100=5000万円。
建物の大きさが50坪で、築年数が10年だとすると(新築建築費が坪あたり50万円、耐久年数20年とする)、50×50×10/20=1250万円
土地建物の価値は、5000+1250=6250万円となります(数字は計算しやすくする為のもの)。
ほとんどがこの方法で不動産の価値を出しますが、20年くらい前からか収益還元法と言う方法で不動産の価値を出す方法も増えてきました。
これは簡単に言うと、この不動産はこれだけの収益(収入)があるから、これだけの価値がある、と言うものです。
例えば、年間1000万円の収益がある不動産で利回り10%とすると、この不動産の価値は1億円になります。
1000÷10/100=10,000円
利回りは地域等によって変わりますが、ここでは計算をし易くする為に基本を10%とします。
この計算方法ですと、収益が上がれば同じ不動産でも不動産の価値が上がります。
例えば、収益が1200万円になれば、不動産の価値は12,000万円になります。
これを主な業務としている不動産会社は多くあります。
中古ビルを購入して、既存の賃借人を出して、リニューアルをし、家賃を上げて、再度賃借人を入れて、再販します。
計算し易くする為に利回りを10%としましたが、先程の例で利回りを8%だとすると、
1200÷8/100=15,000万円になります。
つまり、収益を200万円上げたら不動産の価値が5000万円上がると言う事です。
ここまで大丈夫でしょうか?
算数の嫌いな方は、ごめんなさい。
でも、これを利用して大きな事件が数年前に起こりました。
カボチャの馬車って聞いた事ありませんか?
700〜800人くらいの被害者が出た事件です。
簡単に言うと、新築のシェアハウスを売主が家賃保証して、サラリーマン等の投資家に売却し、急に家賃保証出来なくなり、投資家が多数破産に追い込まれた事件です。
(後になって融資をしていたスルガ銀行も不正に関わっていた事が判明し、投資家の多くは救済されました。)
普通、家賃保証と言うと、満室想定の65〜70%です。
例えば、年間の家賃が1000万円だとすると、家賃保証は650〜700万円になります。
所有者は想定の家賃より収入は減りますが、賃借人が入らなくても安定して収入が得られます。
家賃保証する側は(ほとんどが売主)、その不動産を売却し易くなると共に、努力次第で350〜300万円の家賃収入も得られます。
双方にとってメリットがあります。
それをカボチャの馬車では、1200万円の保証をしました。
満室になっても200万円の赤字です。
空室の部屋もあるでしょうから、実際にはもっと多くの赤字です。
ただし、1200万円の保証をするだけで、本来の価格より5000万円高く売却出来ます(先程の例とすると)。
家賃保証の赤字を売却益で埋めていると言う事です(購入した私の知り合いは、満室と報告を受けていましたが、実際は全室空室でした)。
つまり、建て続け、売却し続けなければ、どこかで破綻すると言う事です。
これに加えて、仲介した不動産やら銀行の担当がサラリーマンの収入を改ざんしたり、自己資金が全くないのに、1000万円もあるように見せかけたりと、よってたかっての詐欺のオンパレードです。
購入する投資家(主にサラリーマン)は、自己資金を用意する必要がなくて、家賃保証されてるから安心で、毎月お小遣いが入って(家賃とローン返済の差額)、人のお金で不動産が自分の物になると、営業されたら誰だって飛びつきますよね。
その証拠に数年の短期間で、700〜800人の方が購入されました。
私の知り合いの方も、2棟購入されました。
購入の前に、いずれ破綻するから止めた方が良いとアドバイスしたのですが、家賃保証が無くなっても不動産は残る(家賃収入は得られる)から大丈夫だと、購入されました。
それから1年が過ぎた頃、その方から突然、自己破産をしないといけないと電話がありました。
長くなりそうなので、続きは次回へ。