正直不動産屋のウラ話し2

不動産を売買する場合、重要事項説明書なる物を作成し、資格ある者が契約前にその不動産について説明する必要があります。
土地の地番や大きさから、どんな法律や条例で規制されてるか、電気やガス、上下水道はどうなっているか等、説明は多岐にわたります。
概ね1時間から1時間半くらいはかかります。
この重要事項説明はとても大切で、その書類を作成する為の調査が、更に大切になります。
法務局、役所、水道局等をまわり調査しますが、ここでも調査する者によって、売主様買主様双方に多大なご迷惑をおかけする事があります。
今回はその調査にまつわるお話しですが、私も直接関わっています。
私のミスと言うか怠慢が原因で、素晴らしい契約がすごく後味の悪い契約になってしまったお話しです。

不動産は一戸建てで、売主様はご夫婦ともに耳が不自由な方でした。
理由は忘れましたが、収入が減り、生活を立て直す為に仕方なく自宅を売却して、当面の資金を作ると言う、後ろ向きの売却事情でした。
こう言う背景があるので、営業としてはなんとか協力してあげたいと力のはいる物件になります。
この物件の担当は私の先輩で、営業力と言うか営業トークの上手い先輩でした。
たまたま私の担当しているお客様が気に入って頂き、契約に至りました。
会社ごとにルールがあると思いますが、私のいた会社では売主様の担当が契約書類を作成する事になっていました。
先輩と言う事もあり、調査や書類作成は全て任せてしまい、私は何もしませんでした。
これは私の怠慢で、後で猛省しました。
さて、契約から物件の引き渡しも無事に終わり、売主様からとても感謝され、良い取り引きが出来たと喜んだ事を覚えてます。
そんな中、買主様から連絡が入り、契約の時に聞いた説明と違うから、何とかして欲しいとの事でした。
お話しを聞くと、市の職員が来て、現在浄化槽になっているのを前面道路の下水道に至急繋いで欲しいと言う事でした。
市の職員は何度か訪問したけど、前の住人は耳が不自由だったのでコミュニケーションが取れず、諦めていたそうです。
浄化槽を潰して下水道に繋ぐのに、30数万円かかるとの事で、契約前の説明は上下水道と言う事だったので、その費用を出して欲しいとの要望でした。

再調査してみると、水道局の図面では前面道路には下水道菅が埋設されている為、担当の先輩は当然敷地にも接続されてると判断したようです。
確かに図面上では下水かもしれませんが、現地を見ると浄化槽のポンプが動いているのが分かります。
下水道なのに浄化槽のポンプが動いているのは、変だと疑問に思い、更なる調査をするはずです。
調査の基本である現地を確認しなかった、明らかな調査ミスであり怠慢です。
私は当然頂いた仲介手数料から支払うものと思ってました。
全額ではないにしろ、売主様と折半するとか、買主様も含めて1/3ずつ負担するとか、とにかく話合いをして解決策を模索すると考えてました。
上司からも叱責されるしボーナスも減額になるのですが、自分の怠慢が原因なので、仕方ないと覚悟を決めていたところ、先輩は全責任を売主様に持って行くと言いだしました。
調査ミスは明らかだし、売主様の事情を考えると、そんな発想が出来る事がとても驚きでした。
自分の担当の顧客だから自分に任せろと、得意の営業トークを駆使して、結局売主様を説得して全額売主様に負担して頂きました。
あまり納得はしてなかったようですし、悲しいような寂しいような表情をしていて、とても申し訳なく思ったのを覚えてます。

調査をしっかりやっていれば、契約の前に解決出来た話しです。
売主様が負担するにしても、もっと納得していたはずですし、買主様も余計な手間等もかけずに済んだ話しです。
なにより、みんなが喜んだ契約が、みんなが嫌な想いをする契約になってしまった事が残念でなりません。
それもこれも不動産会社社員の怠慢によるものです。
そしてその解決策でも、残念な方法を取りました。
大手と言われている仲介不動産会社でも、自社の仲介手数料を優先する一例です。
一握りの社員だけだとは思いますが、そう言う事がある事を頭に入れといて下さい。

何かトラブルが起きた時は、第三者に相談する事をお奨めします。
プロである不動産会社の社員には、簡単に言い含められてしまうと思います。
他の不動産会社に相談するのも、一つの方法です。

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