碧空

Lil かんさいからLil かんさいへ

2022年12月21日、関西ジャニーズJr. フレッシュ！LIVE 2022にて初披露されたLil かんさいの新曲、「碧空」。

10代から20代へ、子どもから大人への過渡期にあるLil かんさいの背中を押すような歌詞、青空のように爽やかな曲調がとても印象的でした。

色々な解釈が出来る歌詞だと思うし、夢に向かって頑張る人へ向けた応援ソング、というのがジャンルとしては適切でしょう。

しかし私はこの曲を初めて聞いた時からある可能性が頭から離れませんでした。
この曲はLil かんさいによるLil かんさいのための曲なのではないだろうか、と。

※この考察は現場で初めて「碧空」を聞いた時の私の感想と、SNS上にて文字起こししてくださった方の歌詞を拝借しながら、自由気ままに歌詞考察を行っているブログです。一オタクの感想として温かい目で見ていただけますと幸いです。
※公式で歌詞が公開されていないため、本ブログに登場する歌詞には誤りが含まれている可能性がありますのでご了承ください。

「僕」と「君」は誰を指すか

「碧空」の中で印象に残ったパートはいくつもありましたが、中でもリーダーの彪太郎とセンターの斗亜が担当した落ちサビには一際胸を打たれました。

今はたとえ小さくても　この声届かなくても
きらめく未来と君の笑顔　僕には見えてる

夢の途中にいる今。
まだその夢が叶えられるかどうかもわからず苦しい今。

そんな暗いトンネルの真っ只中にいる「君」には夢を叶えた未来が見えなくても、周囲がかける応援の言葉が届かなくても、「僕」は「君」が夢を現実にし、笑顔で過ごせることを確信している。

そんな夢追い人の背中を押す歌詞が、この落ちサビだと解釈しています。

私はこれを敢えて、Lil かんさいからLil かんさいへのメッセージソングとして受け取りたい。

つまりジャニーズという、芸能界という酷く険しい道で挫けそうになった時、もう辞めてしまいたいと思った時、どこを目指して良いか分からなくなってしまった時。
暗闇の最中にいる「君」には未来が見えなかったとしても、同じ道を一緒に歩いてきた「僕」には「君」が夢を叶えて笑っている未来が見えてるよ、と解釈したいのです。

「その」手と「この」手、「僕だけ」のストーリーと「僕たち」のストーリー

この解釈にたどり着いたのにも経緯があります。
ここで1サビとラスサビの歌詞を見比べてみてください。

掴め青春、未来、夢　全てはその手の中だ
始まって行くこの物語　僕だけのストーリーなんだ
まだ遠く離れてても　必ず見つけられるさ
嘘みたいに晴れ渡った碧く　澄みきった空に　架かる虹を

1サビ

ごらん青春、希望、明日　全てはこの手の中だ
駆け出した道が進むとき　僕たちのストーリーなんだ
迷い、葛藤　その先に必ず見つけられるさ
涙がきっと輝いて　碧くまぶしい空に　架かる虹を

ラスサビ

1サビは青春も未来も夢も「その手の中」、すなわち聞き手＝君の手の中にあると言っているのに対し、ラスサビは青春も希望も明日も「この手の中」、すなわち話し手＝僕「たち」の手の中にあると言っています。

加えて1サビでは「僕だけのストーリー」と、一人だけの物語だったのが、ラスサビでは「僕たちのストーリー」と、僕と君を併せた物語に変化しています。

私はこの歌詞の変化を、Lil かんさい結成前と結成後の変化を重ね合わせた歌詞なのではないかと考えました。

あくまで想像ですが、無所の頃はまだどこを目指して良いかも分からない中、必死で自分の未来を掴もうとグループに選抜される日を夢見ていたと思うのです。
しかし実際にはLil かんさいが結成されてからもたくさんの迷いや葛藤があったことでしょう。
それでも仲間とともにこの苦しい時期を乗り越えた先には、雨が上がるように涙も流し終わり、空は晴れて虹が架かる。

その虹こそ、Lil かんさいのメンバーカラーである赤、青、紫、黄、緑で構成された5色の虹なのではないでしょうか。
そして迷い、葛藤、その先に必ず見つけられるその虹は、Lil かんさいがデビューした姿を指しているのではないでしょうか。

ラップで響かせる仲間との誓い

琉巧の特技であるラップが存分に活かされているのもこの「碧空」の特徴の一つと言えます。

１　２　３　４　５
手を伸ばし　志　高く高く持って
自分の意思で立ち上がって　歌って　舞って
展望は最高　目指すは最高峰　光が射す方へ
夢叶えに行こう

5人がそれぞれに叫ぶ１から５の数字。
そして琉巧をセンターに5人が肩を寄せ合うように歌う姿から、公演前に行われる円陣を思い起こさせます。

このラップパートをメインで歌っているのは琉巧ですが、他の4人も語尾の部分だけアクセントを加えるようにともに歌っています。

つまりこの歌詞を歌っているのは琉巧だけではないのです。
ここで言う「光が射す方」と「夢」が「デビュー」のことを指しているとしたら、このラップパートは決して琉巧だけに託されたデビューへの誓いではなく、5人全員がお互いに誓い合ったデビューへの思いと捉えることが出来るのではないでしょうか。

子どもから大人へ

たくさんの言葉知ったのに　口に出せる事は減り
夢の終わりなんかにも出会ったり
可能性の幅は広がって　選ぶ道も増えたけど
キズつかない言い訳も上手くなる

少し個人的な話にはなりますが、子どもの頃、大人は何でも持っていて、自由で、とにかく「完璧」な存在だと思っていました。

でも実際に自分が「大人」と呼ばれる年齢になってみて分かったのは、増えるのは年齢だけで、中身は子どもの頃から何も変わっていないということ。
むしろ色んな経験を重ねることで自分の気持ちをごまかしながら、諦めながら生きるのが上手くなってしまうのです。

大なり小なり世間の荒波に揉まれる中で子どもの頃の純真無垢な気持ちのまま生きることの難しさが、このAメロの歌詞に詰まっているように感じました。

ある意味でこのAメロは今現在のLil かんさいの等身大の姿だと思います。
Jr.という立場でキャリアを重ねていくことは、自分自身が成長と失敗を経験するだけではなく、ともに過ごしてきた仲間が夢を叶えたり、あるいは諦めたりする姿も目にしなければなりません。

入所歴が長くなればなるほど、自分の意志とは反対に色んなものを背負わざるを得なくなるでしょう。

まだ子どもでいたいのに、環境がそれを許してくれない。

我々の見える範囲で言えば、狼煙のドキュメンタリーで描かれた姿がまさにそれだったのではないでしょうか。

だからこそBメロはAメロで歌われた今の自分に自問自答し、鼓舞しています。

いつからだろう　小さな頃より「弱虫」になったのは
思い出せ自分　ドキドキとなる胸の鼓動

「いつからだろう　小さな頃より『弱虫』になったのは」

大人になることで逆に窮屈なってしまうその生きにくさを、的確に表現した一文だと思います。

2022年はLil かんさいにとって激動の一年でした。

もういつまでも先輩たちだけに頼ってはいられない。
自分たちが関ジュを先頭に立って引っ張っていかなきゃいけない。

そんなLil かんさいの背中を優しく押すのが、このBメロの歌詞なのではないでしょうか。

ストーリーの主役はみんな

私はこの曲を初めて聞いた時、「ストーリー」という歌詞に2022年の夏松竹で歌われた新曲「We are」を回顧しました。

なんなら「We are」も夢を叶えるまでの不安や葛藤を仲間と乗り越え、夢を叶えようという歌詞。

これは2023年のあけおめコンで覆されてしまった考察なのですが、フレ魂で初めて「碧空」を聞いた時、この曲はスペジャニ以外で歌うことが出来ない「We are」をLil かんさいのために新しく書き下した曲が「碧空」なのではないかと推測していました。

「ストーリー」という言葉が共通しているのもそうですが、「碧空」で「涙もきっと輝いて」虹が架かると歌ったように、「We are」でも「流した涙さえ決して無駄じゃない」と悔しさを乗り越えるニュアンスを涙で表現しています。

これは一オタクの勝手な妄想でしかないし、間違っている前提で聞いてください。

「We are」にしても「碧空」にしても、Lil かんさいを支える大人たちは狼煙のドキュメンタリーで「三年目の壁」と形容されたLil かんさいに「壁」を乗り越えて欲しくてこの2曲を与えたのではないでしょうか。

もちろん「We are」はLil かんさいだけの曲ではありません。
あけおめコンではついに関ジュ全員で歌う「We are」が披露されましたことから、正式な関ジュ曲と呼べるでしょう。
Lil かんさいはもちろん、Boys BeもAmBitiousもそれぞれに壁があり、次のステップに進むために葛藤していると思います。

しかしこの「碧空」と「We are」という2曲の連関性という観点から、そして私がLil かんさいのオタクであるという立場から、Lil かんさいのみに焦点を当てた考察をさせていただきました。
皆さんはどう思われますか？

もしかしてこの2曲の作詞家は同じ方なのでは？と考えたりもしているのですが、それはさすがに深読みのしすぎかもしれません。
けれど2022年をLil かんさいのオタクとして過ごしたものとして、関ジュが二手に分かれ、たくさんの先輩のバックにつきながら座長公演を完走し、Lil かんさいが一列目に立つあけおめコンにたどり着いたLil かんさいの新たな物語が、「We are」を起点に「碧空」で動き出したとしたら……

勝手な妄想にすぎないけれど、2023年、Lil かんさいのさらなる飛躍を願ってそう解釈したいと思います。

近い将来、Lil かんさいという大きな虹が碧空に架かりますように―――