満月の冬の朝
今朝の月は満月だった。
キーンと冷え渡った空に、キリリとしたお月様。
昨日の月はオレンジ色だったのに、今朝は白っぽい。
ちょうど今満開を迎えている、白梅のようだ。
空気が澄んでいるため、クレーターまで肉眼でしっかりと見えた。
「ウルフムーン」
アメリカの農事暦では、1月の満月はこう呼ばれるそうだ。
静寂の夜、狼の声が響き渡る時期にあたることから
名付けられたらしい。
たしかに、今朝の月はちょうどそんな感じだった。
あの遠い崖の上から、狼が月に向かって吠えているようだった。
私は、冬がとても好きだ。
それもちょうど今くらいの、1年のうちで最も大地が冷えるとき。
冬生まれというのも一因なのだろうか。
小さい時から、冬に風邪をひいたことがない。
体調を崩すのは、決まって初夏の頃である。
さすがに先日の強風には辟易したが、
有り難いことに大雪には縁遠い地域に住んでいるため
こんな呑気なことが言えるのかもしれない。
私はメリハリが好きなのだろう。
朝、体温で温もった暖かい布団から
後ろ髪引かれる思いを断ち切って身を起こすとき。
空気の入れ替えで窓を開け放し、
冷え切ったところで窓を閉めてファンヒーターをつけるとき。
散歩で冷え切ってしまったひざの上に
湯たんぽをのせる瞬間。
あったかいコーヒーカップを冷たくなった両手で包み、
熱々のカフェラテを口に含む瞬間。
外から帰ってきて、すぐにお風呂を沸かして
湯船に浸かったとき。
暖かい部屋から出て郵便受けを見にいくとき、
そして部屋に戻ったとき。
心と体がゆるゆると解きほぐれていく瞬間、
また、緩んだ心や体を厳しい状況に晒す瞬間。
すべて、冬だからこその、貴重な貴重な時間。
人は心地よい状態が続くと、
それが当たり前になって、鈍感になってしまう。
春と秋はとても過ごしやすいが、
その分、大切ななにかを見落としてしまっているんじゃないかと
不安になることがある。
大切なものは、日々思い出し、かみしめるようにしよう。
そして、あの今朝の月のように、
今日もキリリと生きていこうと思う。