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使い切るって気持ちいい!

さっき、ボディクリームを使い切った。
空っぽになった容器をさっと洗って軽く水気を拭き取り、
プラ専用のゴミ箱へ。

ああ、なんて気持ちがいいんだろう!

もしかすると、ボディクリームを使い切ったのは
生まれて初めてかもしれない。

昔から、割と飽き性である。
こんな性分は、これだけ生きていたらだいぶん分かってきて、
ボディクリームはなるべく買わないようにしているのだけど、
突然、無性に欲しくなる時がある。
それはいつも、こんな夏を目前に控えた、梅雨のジメジメした季節だ。
店頭に置かれた涼しげで爽やかなパッケージは、とても魅力的に映る。

コスメ全般に言えることだけど、なんであんなに魅惑的なんだろう。
パッケージの形や色の美しさ、
そして何より、これを使ったら美しくなれるかもしれないという
湧き上がる期待感。
ボディクリームなんてその最たる代物で、
洗面所の棚にただ並べているだけで、
上質な女性になれた気分にさせてくれるのである。

初めて蓋を開けた時、香りが洗面所に広がりうっとりとする。
でも根が貧乏性なのか、一度にたくさん使うことができない。
恐る恐る、少しずつ手に取って使う。
そして慣れてきた頃、なぜだかだんだん飽きてくるのである。
使う量はあまり変わらないのに、使う頻度は少しずつ減っていく。
そしていつしか蓋を開けることがなくなる。

こんなわけで、私にとってボディクリームのハードルはとても高く、
使い切ることは至難の業であった。
最初はあんなに魅力的だったのに、だんだん気持ちが離れていく。
そしていつの日か見慣れた風景と一体化してしまう。
そうして月日が経過して、ある時ふと目に止まり、
いつから使っていないのか、もはや全く思い出せない色褪せたボディクリームを
泣く泣く処分する羽目になるのである。
こんなことなら、最初から贅沢にたくさん使えばよかったのに……。

この流れを、いつも繰り返していた。
けれども今回、ようやく使い切ることができたのである!
勿体無いという気持ちが湧き上がってくるたびにそれを掻き消して、
贅沢に惜しげなく使うことを意識して挑んだのだ。

そうしてさっき、シャワーを浴びたあと、最後のひとすくい。

使い切った!
嗚呼! なんて気持ちがいいんだろう!

戦後、経済成長を遂げた日本というこの国は、
物質的にとても豊かになった。
今私たちは、素敵なものや便利なものが溢れた世界で暮らしている。
けれどもその代償に、ものを使い切るということをいつしか忘れてしまった。
意識して挑まなければ、もはや使い切ることは困難になってしまった。

「使い切る」という行為は、
己が選んだものと向き合って、責任を持って蹴りをつけてから次に進むという、
言わば、人として当たり前のことである。

だから、使い切ったとき、なんとも言えない爽快感が広がるのだろう。

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