中学1年生で「いささか」という言葉を使ったハムちゃんに憧れた話
中学の同級生、ハムちゃん
目立つ人ではなかったけれど
クラスの中でも成績はよく
自宅は老舗の乾物屋さん
シュッとした上品なお顔立ちで
お嬢様を絵に描いたような人でした
中学1年の国語の時間
全員で自作の感想文を発表しあう時間がありました
何の感想文だったのかは覚えていないのですが
ほとんどの人は、私にも理解できるような言葉をつなげた
感想文を読み上げました
当時の国語の時間には「作文・感想文の書き方」
のようなものは存在していませんでしたから(たぶん…)
だいたい同じような文章になっていました
いうならば、私にとってはどれも親近感を抱く文章です
可もなく不可もなくといった感じで時間が流れていきました
そして、ハムちゃんの番です
話の中身は全く覚えていないのですが
強烈にインプットされた言葉があります
い・さ・さ・か
ハムちゃんの口から「いささか、…」と出た時
私は言葉を失ってしまうほどの衝撃を感じたことを忘れもしません
なんて大人っぽい言葉を使うのだろう
私、そんな言葉使ったことない
あっ、サザエさんのいささか(伊佐坂)先生なら知ってる
スゴイ!さすがハムちゃんだ
と思ったのです。
長谷川町子さんが小説家の名前として使ったところをみると
「文章の達人」感があります
この「いささか」を、私もなんとかして使ってみたいと思ったのですが
残念ながら私の住む世界では使う出番がありませんでした
話し言葉では全く使いませんでした
せめて、ハムちゃんのように
文章を書く時に使うことができたなら…
とずっと頭の片隅に、ちょこんと置いておいたのですが
こうやって大人すぎる大人になった今でも
使った記憶がないのです
中学1年生のハムちゃんは「いささか」をどこで覚えたのだろう?
ずっと不思議に思っていました
ハムちゃんが読書好きだったかどうかはわかりませんが
ハムちゃんのいた世界では確かに
「いささか」があたりまえのように使われていたのだと思います
「老舗乾物屋」と「いささか」が妙にリンクした想い出です