運命の足

ファンタジーの世界です。ダンジョンに住んでいる。
ゴースト種族の話。

俺たち夫婦は、娘が生まれた日から分かれた。彼女が異形だったからだ。俺たちゴースト種族は音で魔法が発動してしまう厄介な特性を持っている。言葉を交わすときも念話でしか通じ合えない。そのため、静かな日常を保つことに苦労していた。

だが、娘には俺たちにはない「足」があった。ゴースト族には通常、足はない。それを見た族長はすぐに処置を勧めた。「歩けば魔法が暴発する」と警告してきた。妻はその言葉にひどく落ち込んだ。

俺はどうにかして娘を処するのを避けようと訴えた。「暴発させないようにするから、娘を守らせてほしい」と周りに頼んだが、誰も納得しなかった。妻は娘を抱きかかえ、わずかな希望にすがっていたが、無理なことはわかっていた。

そして、ある日、娘が移動しようとした瞬間、足で地面を擦った。魔法が暴発した。妻は必死に抱きかかえ続けようとしたが、すぐには限界が来る。妻の体調も崩れ始め、俺は彼女を守るために実家に帰さざるを得なかった。娘は自分で何とかするつもりだと言い、相手方の家族はありがたがっていた。

だが、俺の父は勘当してきた。俺は族長に相談したが、「魔力の濃度が高い都市にいる限り無理だ」と言われた。代わりに、娘をダンジョンの違う階層に送れば成長できるかもしれないと聞いた。

別の階層に行くと、確かに魔法の暴発は減った。魔力の濃度が低い環境では、音を立てても問題なかった。しかし、ここでも生存競争が待っていた。娘には高濃度の魔力食物が必要で、モンスターの肉を加工して食べさせていた。それでも、彼女の異常さは変わらなかった。

ある日、戻れるかと族長に尋ねると、「足がある限り、元の場所には戻れない」と言われた。俺は妻に離縁を申し出た。会わせてやれず、申し訳ないと謝罪した。過酷な環境に妻を連れて行く覚悟が俺にはなかった。

絶望的だったが、いつか何かの機会があるはずだと、俺は探し続けていた。

彼の娘が人間に助けられて人間とともに生きていくのはもうちょっと先の話。
めんどくさい話になってしまった。チャレンジしてみたかったんですがきついですね。よろしくお願いいたします。

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