#044 健康観察が一工夫で楽しい時間に
子供たちと毎朝必ずコミュニケーションをとる場面がある。それは、健康観察である。これは、ただの健康観察でなく子供達の心の様子を観察しその変化に一早く気づくための大切な時間である。また、この一瞬(1人10秒未満)のコミュニケーションで楽しい時間を提供できると1日の生活の質が変わる。今日は、そういった時間にするために私が健康観察の時に工夫していることを紹介する。
今日は〇〇の日にかけて、一言
「今日は〇〇の日」にかけて、一言言わせる工夫である。例えば、焼肉の日だと「おすすめの肉料理は?」やみかんの日だと「みかんといえば、〇〇」など一言で回答できるお題を提供する。すると、子供達は思い思いに一言を考え話をしてくれる。
成果
健康観察時にこの活動を取り入れて、感じた成果は3つある。
1つ目は、子供達の即興力や発言力が高まったことだ。お題は、健康観察直前に伝えるため、子供達は瞬時に一言を考える必要がある。真面目に答える子もいればユニークな回答で笑いをとりにくる子もいる。こうやって、普段から一言自分の考えを持つ練習をすることで即興力や発言力が高まっている。
2つ目は、学級の雰囲気が良くなる。30人の考えを朝イチで聞くことで学級の雰囲気が一気に明るくなる。楽しそうに答えてくれる子はもちろん、ある子の意外な一言や新たな視点を与えてくれる一言で、子供達が「あ〜、それいいね!」を楽しい雰囲気が生まれる。私も聞いていて子供一人一人への新たな発見がある。
3つ目は、子供の様子の変化に気づくことである。これは、本来の健康観察の目的と同じであるが、一言加えさせ続けると微妙な変化により気付きやすくなる。楽しそう(簡単)なお題なのに、その日は即答できない、答えようとしない、など分かりやすく態度に出てくる。こういった時は、できるだけ早く個別で声をかけるようにする。登校中に兄弟喧嘩をしたや、親に怒られたなどの時が結構ある。
注意点
「健康観察+一言」によって、最小動力最大効果を得ている。しかし、注意すべき点もいくつかある。
1つ目は、お題は答えやすく変換するである。例えば、「バッテリーの日」だと難しいので「今日は、バッテリーの日です。ということで、あなたの元気の源は何ですか?」となどと聞くと、「サッカー」「アイドル」「昆虫」など自分の好きなものを教えてくれる。他にも、「国連加盟記念日」は「行ってみたい国」、「南極の日」は「もし南極に持っていくなら何を持っていく。」などと変換すると良い。この時、「『〇〇の日』にちなんで、、、」という言い方をすると雑学が広まる。また、記念日を利用する方が、お題に困らなくて済むというメリットもある。
2つ目は、答えられない(答えたくない)時はサラッと流すことである。気分が乗らない時やお題の答えが思い浮かばない時など、その場で即答できない時がある。その時は、待つことはせず次の子を呼名するようにする。ここで、変に間を取ってしまうとプレッシャーを掛け、その子にとっては苦痛の時間となる。そう感じさせないくらい、サラッと流すのである。普段からそうしていると周りの子も察してくれるし自分が答えられないくてもいいという安心感を持たせることができる。ただ、考え中というときもあるのでその辺の見極めは難しい。
3つ目は、教師の合いの手は最小限にすることである。この活動を始めた頃は、子供の考えに反応しすぎて5分くらいかかってしまっていた。さらに、私の反応に対し子供達がさらに反応することで、健康観察の対象以外の子の声が入ってしまうこともあった。秩序が乱れないようにするためにも、ここでは子供にスポットライトを当て教師は呼名に徹するくらいが良い。反応は、その後の休み時間のコミュニケーションとして行えば良い。
まとめ
今回は、健康観察時に一工夫を加えて子供達の心の健康度合いを測ったり、学校(学級)生活を楽しいものにするための一工夫を紹介した。この実践は、ある程度学級が育っていないとできないことかもしれない。しかし、この実践が当たり前のようにできている本学級は本当に暖かで楽しい雰囲気に包まれる学級である。このような取り組みを今後も考え、紹介していきたい。