【超重武者溟界スプライトシンクロアンデット】のススメ
衣狸 佃と申します。今回初めてデッキ構築記事を書かせて頂きます。
デッキ概要と環境における立ち位置
まず、この記事のタイトルを見て、「何の何の何!?」となった方も居るかもしれません。
デッキ名の由来はただ単に入っているテーマを並べただけですので、このデッキを端的に表現するならば、
「【超重武者】と【溟界】と【スプライト】と【シンクロアンデット】の混合デッキ」
ということになります。
混ぜりゃいいってもんじゃねえだろ!とツッコミが飛んできそうですが、この構築は【シンクロアンデット】を弄り続けて十数年の私が、現状のカードプールにおける最強の【シンクロアンデット】を模索し続けて辿り着いた集大成となる構築です。
実際に、私はこのデッキでマスター1の登頂に成功しています。それもダイヤ・マスター帯を降格無しで。
もちろん、だからといってこれが環境最強のデッキだと主張する訳では有りません。むしろメタの隙間に上手く滑り込めた感は有りました。しかし展開力、安定性などを考慮しても現代遊戯王でも環境クラスといえるだけのデッキパワーは確実に有しています。
ともかく、メインエンジンとなる全てのカードに明確な採用理由が有り、決して単に混ぜてみただけの構築では有りません。ちゃんと解説していきますのでご期待ください。
ちなみに当然ですが60枚デッキです。芝刈りは積んで無いです。
時に皆さん、先行制圧はお好きでしょうか。
私は「相手に制圧されるのは嫌いですが自分が制圧するのは好き」という邪悪な決闘者です。
しかし決闘者ならば誰しも心の内にこんな欲望を抱えているのではないでしょうか?
「絶対に捲くられない盤面を作り上げたい」「手札誘発も貫通して展開したい」「それも出来れば事故を少なくして安定させたい」……
決闘者は邪悪な内なる声に常に誘惑されています。
しかし本来、遊戯王とは、カードゲームとは自由なモノ。
どんなデッキを組もうがそれがルールの範囲内である限り、誰にも非難される謂れはありません。
そう―――いいんです。我々は、好き放題に展開してクッッッッソ堅い盤面を作り上げて悦に浸る権利を持っているのです。
もちろん、相手の同様の権利も認めなければいけませんが。
ここまでの前置きでお察しになられたでしょうが、このデッキはガチガチの展開型先行制圧デッキです。
相手のありとあらゆる行動を尽く封殺するデッキであり、カジュアルな場での使用は全くおすすめできません(そもそもスプライト・エルフが必須なのでMDでしか使えません)。基本展開も長いですし。
こういうデッキは得てしてランクマでの勝率が最優先されるので、握る基準が非常に厳しくなりがちです。そこで、このデッキのガチ環境における強みを箇条書きで並べてみます。
1:理想展開ならば「万能無効最大4回を含む6妨害」という盤面の堅さ
2:竜星の九支や虹光の宣告者による捲り耐性
3:1枚初動が60枚中22枚(初手5枚で1枚引く確率が約90%)
4:うち「組み合わせで貫通札になる1枚初動」が19枚
5:妥協展開のパターンも豊富で単発妨害に対する貫通力が高い
6:自由枠も60枚中19枚確保(初手5枚で2枚引く確率が約51%)
7:やや盤面依存だがシャドー・モスキートによる後攻1キルも現実的
8:超重武者デッキだが指名者2種を無理なく採用できる
良いことばっかり並べましたが、もちろん弱点もあります。
1:「増Gに弱い60枚デッキ」という構造的な弱点
2:永続妨害に対する脆弱性(ドロバやアトラクが辛い)
3:単発妨害を貫通しやすいとはいえありとあらゆる誘発が刺さる
4:ライストなどのバック除去が積めないのでメタビ等に弱い
5:下振れが悲惨
6:展開が長い(アドリブも色々ある)
7:リソースが循環しないので長期戦に弱い
このように、良くも悪くも展開デッキらしい長所と短所を持っています。
他の展開デッキと比べると、ありとあらゆる手札誘発に引っかかるため、手札誘発が過剰な枚数積まれる環境だと歩が悪いです。特に貫通がまず不可能なドロバやアトラクが流行ると厳しい。
ただし、捲り札に対する耐性が尋常ではないため、自由枠が捲り札に割かれる環境には適しています。
現環境は【天盃】がTier1であり、自由枠こそ広いデッキではあるものの、捲り札にも一定数の枠を使う構築が多かったことからかなり優位に戦う事ができました。
苦手とするメタビートや除外デッキを捲り札型天盃が駆逐してくれているのも有り難い。なにより、他のデッキが天盃意識で誘発を減らしていることの恩恵を強く感じました。天盃様々です。
「連続シンクロによる万能無効連打」という、かつてのハリラドン展開を彷彿とさせるデッキなので、往時を懐かしみたい人にはオススメです。
(思い返したくもないって?……ワイトもそう思います)
構築理念と採用カードの解説
全体のデッキレシピです。この画像だけを見ても恐らくどうやって動かすか分からないと思いますので、順次解説していきます。
【シンクロアンデット】関連
このデッキの根幹は【シンクロアンデット】です。
かつて環境を染め上げた同名のデッキは、ブリューナクやゴヨウ・ガーディアンやダーク・ダイブ・ボンバー等による後攻1キルが強力なデッキでしたが、このデッキは先行制圧デッキです。(そもそも当時は先行制圧という概念自体が無かったのですが……。)
ちなみに2008年の話です。16年前ですよ。光陰矢の如しですね。
ですが主軸になるカードは当時と変わらず、この2枚を今でも使います。
・「ゾンビキャリア」
自己蘇生効果を持つ星2アンデット族チューナー。コストとして手札をデッキの一番上に戻します。蘇生後に場を離れると除外されますが、エクシーズ素材にすると除外されなくなります。大事なので覚えておいてください。
チューナーとしてはもちろん、スプライト展開のリンク・エクシーズ素材としても活用します。手札コストとしても強く、さらにアルミラージを使うと1枚初動にもなります。ちなみに大昔のカードなので同名ターン1が有りません。エクシーズ素材として取り除いた後、また蘇生できます。便利。
ピン刺しでも何とかなりますが、初動率を濃くしたかったので(あと好きなカードだから)この構築では3枚採用。
・「馬頭鬼」
墓地から除外するとアンデット族を1体蘇生できます。シンプル。
主に後述のイモータルドラゴンでデッキから落とします。たまに手札コストとして貫通札になることも。とはいえ手札に来て欲しくなく、もし来てもキャリアで戻せるので採用は1枚のみ。
このカードにも同名ターン1は無いですが、キャリアと違って何度も使わないので意識する機会はほぼ無いかも知れません。構築によってはPSYフレームロードΩで使い回すんですけどね。
両者共に当時の【シンクロアンデット】に採用されて環境の最前線で戦っていたカードであり、どちらも制限カードまで規制された実績があるほどです。時代の流れでかなり前に無制限になっていますが、未だにそのポテンシャルには侮れないものが有ります。そしてこの2枚の歴戦の古参兵に加えて、アンデット族をあと2種採用します。
・「ファラオの化身」
なんとも言い難い見た目ですが、私は好きです。可愛い。
実はこのカードも初出は2008年で、ゾンビキャリア・馬頭鬼と同期です。しかし当時は効果の活用が難しく、環境での採用実績は皆無でした。上記の2枚はよく知っていてもこのカードは知らないという方も多いでしょう。
その効果とは「シンクロ素材になるとレベル4以下のアンデット族モンスターを蘇生する」というもの。
蘇生先にレベル以外の制限は有りません。もちろん自身も蘇生できます。
例に漏れず太古のカードなので同名ターン1も有りません。
ついでに場合の効果なのでタイミングも逃しません。
―――つまり実質的に、「チューナーが供給される限り無尽蔵にシンクロ召喚が出来る」効果なのです。
「ヤバくね?」と思った方、正解。実際に回してみるととんでもなくインチキ臭い動きをします。この構築はまだマシな方で、シンクロン混合でジャンクスピーダーと組み合わせると余裕でEXデッキを全て使い切ります。
こんなカードが何故歴史に埋もれていたかというと、2008年当時はシンクロチューナーというものが存在せず、このカードを十分に活かせるほど盤面にチューナーを供給できなかったのです。その内に【シンクロアンデット】は主要パーツを軒並み規制され環境から消滅し、このカードも日の目を見ることなく時代に取り残されてしまった……という訳。
だが今は違う!(ギュッ)
時代とともに充実していったシンクロチューナーと組み合わせることで、無尽蔵の展開力を遺憾なく発揮できる様になったのです。
実際、現在のカードプールで【シンクロアンデット】を組む意義の大部分はこのカードが担っていると言えます。展開力に優れたシンクロデッキは幾らでもありますが、同名ターン1が無いことによる脅威の「伸び」は他に類を見ません。
かのハリラドン展開ですら展開力の根源は3~4体ほどのレベル3トークンだったのに対し、このカードはレベル3非チューナーを無限に供給できる訳ですからね。とんでもないです。
私のフェイバリット・カードであり、今までにもこの子を入れたデッキを大量に考えてきました。
今のところ、地球で一番ファラオの化身の事を真剣に考えてきた人間だという自信が有ります。
そういう訳で、現在の【シンクロアンデット】とは、この「ファラオの化身」を如何にしてチューナーと共に展開するかが課題となります。そこで役立つのがこのデッキ最後のアンデット族となるもう1枚。
・「イモータル・ドラゴン」
星6のアンデット族シンクロチューナー。特に召喚条件は無し。
起動効果でアンデット族をデッキから墓地に送り、そのレベルの差の分だけ自身のレベルを下げます。キャリアを落とせば4に、馬頭鬼を落とせば2に、化身を落とせば3になります。後半の効果はこのデッキだとインクの染みなので覚えなくてもいいです。
他のアンデット達が古参も古参なのに対し、このカードは2022年生まれとかなりの新参カードです。デキる後輩です。
デッキからアンデットを墓地に落とせて、自身がシンクロチューナーで、縛りもつかなくて、レベル調整まで出来る。デキる後輩過ぎます。
ケースバイケースで上記3種のアンデット全てを墓地に落とすパターンが有り得ますし、動きの応用が幾らでもあるのでおそらく全部は解説しきれません。真紅眼の黒竜並に可能性の竜です。
EXデッキの枠はカツカツのため採用枚数は1枚です。
総じて4種6枚。キャリアは1枚でもいいので切り詰めれば4種4枚。
アンデットデッキを名乗るには少ないと思われるかも知れませんが、最低限の妥協展開以外ではほぼ必ずこれらのアンデット族を展開で使いますし、何より文句を言うならあんたは私より真剣に【シンクロアンデット】について考えてきたのか?という話ですので、このデッキは【シンクロアンデット】です。
アンワやドーハスーラが入ってないって?2018年産のドーハスーラがナンボのもんじゃい。こちとら2008年から現役です。先輩を敬え。
(展開ルート次第では、ベアトを絡めればアンワドーハを構えることは出来ます。でもその労力で万能無効をしこたま構えた方が強いのです。)
さて、現代版【シンクロアンデット】の根幹である「ファラオの化身」を活用するために考えなくてはならないのは、どうやって化身とチューナーを場に揃えるかです。
この手段について、私は様々なコンボの検討を重ねました。最終的には【溟界】と組み合わせるという答えに辿り着いたのですが、この記事ではそれまでの構築の変遷と、検討の過程で生まれた派生デッキについても軽く紹介して置きたいと思います。まあ単に私が語りたいだけです。
私が現代版【シンクロアンデット】を組むにあたり、最初に発見したのが以下のコンボです。(あくまで自分で思いついたというだけで、起源を主張する気はないです。)
A:効果で墓地にアンデット族を落とせる下級アンデット族(ユニゾンビ・隠者・牛頭鬼・堕ち武者が該当)
B:「A」と併せて星6シンクロが出来る、自己SS効果を持つカード
この2枚から、
1:「A」で化身を墓地に落とす
2:「A」+「B」でイモドラをシンクロし、馬頭鬼を墓地に落とす
3:馬頭鬼効果で化身を蘇生、イモドラ+化身で星5シンクロ、化身蘇生
ここからアクセル・シンクロンやボウテンコウといった「チューナーを呼べるシンクロチューナー」に繋がり、展開が幾らでも伸ばせる様になります。
ただし「B」に該当する効果を持つアンデット族は現状存在しない為、混合構築を模索する必要が有りました。色々と考えた末、3つのデッキが形になりました。
1:シンクロン混合
自己SS効果を持つレベル2チューナー「アサルト・シンクロン」が目当て。
牛頭鬼・堕ち武者と合わせる。サーチが豊富なので揃えやすく、ジャンクスピーダーも絡めればとんでもない展開力が出せる。
1:恐竜族混合
自己SS効果を持つレベル2チューナー「ダイナレスラー・コエロフィシラット」が目当て。牛頭鬼・堕ち武者と合わせる。化石調査でサーチでき、またレベルは合わないがミセラサウルスも展開の補助になる。
3:御巫混合
オオヒメからレベル3御巫を出してユニゾンビ(=隠者)と合わせてイモドラにつなげる。オオヒメを対象にユニゾンビのレベル上昇を使うのがポイント。御巫側だけを引いてもある程度動けて、後攻に強め。
これらはそれぞれ独自の強みが有り、最大出力は十分に環境レベルでしたが、共通する大きな弱点が有りました。
2枚初動である事です。
2枚初動なのが弱点とされる現代遊戯王のインフレっぷりに目眩がしますが、しかし現実問題どちらかを引けなかった時点で展開の出力が大きく落ちることは否めません。構築の工夫でそれぞれの側を1枚初動として動けるようには出来ても、その1枚初動がランクマの魔境で通用するかは別です。何度も貫通されました。
とはいえ、構築で工夫出来るところはやり尽くしたし、諦めて試行回数を重ねるしか無いのかと思っていたのですが……ある日、ランクマッチで知らないデッキと遭遇しました。
そう、【溟界】です。
手札に誘発も無かったので展開を眺めるしかなく、何がなんだか分からない内に出てきたロブスターの化け物(宇宙鋏ゼロオル)にボコボコにされたのですが、その展開中に使われた「黎溟界闢」というカードは私に衝撃を与えました。興味が湧いて【溟界】を調べてみると―――
なんと、これまでの悩みを全て解消できるカードが【溟界】及び爬虫類族には揃っていたのです。
【溟界】関連
それではまず、何故【シンクロアンデット】と【溟界】を混ぜるのか、その理由となるカードについて解説します。
・「黎溟界闢」
名前がカッコいい(小並感)
自分フィールドの爬虫類族モンスター1体をリリースし、そのレベル2につき1体のレベル2溟界トークンが出ます。レベル4なら2体、レベル8なら4体です。そして縛りもつきません。また、除外された爬虫類族を戻しつつ墓地に爬虫類族を送る効果も持ちます。この効果も非常に重要です。
具体的な展開は後述しますが、端的に言うと場にレベル2トークンが4体とレベル4が1体揃います。更にレベル4は後から追加でもう1体出せます。
トークンのレベルが2ということは、スプライト・スプリンドが出ます。なのでゾンビキャリアが落とせます。そこから更にシンクロ展開が出来ます。勝ちます。このカード自体はコンボパーツなので採用は1枚です。
この展開のなによりの強みは、このカードをサーチし上記の展開に繋げられる「溟界の滓ーナイア」が存在し、ナイアは当然爬虫類族なので、「キングレムリン」でサーチが出来ることです。
これはランク4展開ができる全てのギミックから溟界展開につながるということを意味します。この再現性の高さこそが【溟界】を採用する最大の理由です。
さらに「溟界の滓ーナイア」および「スネーク・レイン」は単体で強力な展開を行える1枚初動(正確にはコスト含む2枚初動)であり、なおかつ貫通札でもあります。特にスネーク・レインは召喚権を使わない1枚初動というつよつよカードです。
では続けて溟界モンスターである「溟界の黄昏―カース」と「溟界の滓ーナイア」を紹介します。
カースは場のモンスター1体をリリースして自身を蘇生し、更に墓地の溟界モンスターを蘇生します。おまけで相手にも蘇生させちゃうお茶目さんですが、このデッキはバロネスが普通に出るのでそれで処理すればいいです。
レベル8なので黎溟界闢のリリース対象は基本こいつです。
ナイアは手札から切って光属性爬虫類族をデッキから落とす効果と、召喚・特殊召喚時に溟界魔法罠をサーチする効果を持ちます。カースを落としてカースで蘇生して黎溟界闢を持ってくるのが仕事です。
カースはコンボパーツですが、ナイアは1枚初動になります。場に適当なモンスターを出せるならそれをリリースすればいいですし、最悪自身を召喚してもレベル2トークン2体になるのでスプライト展開が出来ます。
当然ナイアは3枚フル採用。カースは素引きが怖いですが、まあ1枚でしょう。
更に溟界以外にも爬虫類族関連のカードを3種採用しています。
・「スネーク・レイン」
爬虫類族が強化されない原因と言われているカード。
効果は強烈極まりなく、手札を1枚捨て、デッキから爬虫類族を4枚墓地に送るという豪快なもの。アンデット族版も欲しいナァ……。
カースとナイアをいっぺんに墓地に落とせるので実質ナイアとして機能するばかりでなく、後述の夜刀神の自己蘇生から召喚権を使わない1枚初動としても扱えます。
当然3積みですが、このデッキの爬虫類族は5枚なので、ちょくちょく引きすぎて使えないことが有るのが玉に瑕。
・「夜刀神」
たまにティアラメンツに採用されているのを見かけるカード。効果で墓地に落とされた時に蘇生できます。コストだと駄目です。
スネーク・レインでも黎溟界闢の墓地効果でも効果は発動する為、展開力の補強になります。同様の事は「溟界の滓―ヌル」でも可能ですが、あっちは縛りが厄介なのでこちらを採用。
素引きしても役に立たないので採用は1枚。
・「キングレムリン」
ナイアを持ってこれるランク4エクシーズ。このカードの存在がこのデッキを成り立たせている部分はかなり大きいです。
……いやまあ、とてつもなく重要な立ち位置ですが、このカード自体にはそんな解説することが無いですね。ランク4のサーチ役というだけです。
【溟界】部分は以上です。パーツが多いのと1枚初動故に3積みするのでアンデット族よりも枚数は多いですね……。
基本的にはナイアとカースを墓地に揃えカース蘇生、効果でナイア蘇生、黎溟界闢サーチ、カースをリリースしてトークン4体出すという流れで展開します。夜刀神の効果を使うタイミングで展開ルートが結構変わるので注意しましょう。
【スプライト】関連
上記の溟界展開で大量にレベル2トークンが出るので、キャリアを落とした後のスプリンドなどを素材に、展開の締めとしてスプライト展開を行います。
また、キャリア召喚→アルミラージに変換→キャリア蘇生→スプリンドでキャリア落とし→蘇生してスプリンド+キャリアでギガン、という流れでキャリア1枚から展開できたり、ナイアNS→黎溟界闢サーチ、ナイアリリースしてトークン2体→スプリンドという動きも可能です。手札消費がえげつないので積極的にやりたい動きでは無いですが。
スプライト展開は制圧の補強や初動の枚数を増やすという役割もありますが、特に重要になるのは後攻の場合です。
このデッキはリソースを循環させるギミックが殆ど無く、一度展開しきったら再展開が難しいです。なので速攻で勝負を決めにいく必要があります。
この際、後攻時のライフカットに大きく寄与するのが「ギガンティック・スプライト」「スプライト・ピクシーズ」「No.2蚊学忍者シャドー・モスキート」であり、その展開を実現するのがメインに入るブルー・ジェット・スターターです。
効果の解説はおそらく皆さんよくご存知だろうと思うので省略しまして、採用枚数と採用理由を述べていきます。
「スプライト・ブルー」「スプライト・ジェット」は必須ですが、レベル2が濃くないデッキなので採用枚数は絞ってそれぞれ1枚。
「スプライト・スターター」は最低でも1枚は必須ですが、それ以上積むかは好みが分かれるかも知れません。召喚権を使わない1枚初動では有るのですが、1枚からの制圧力が心許なく、レベル2が濃くないこのデッキでは制約も重いからです。しかし貫通札としても有能であり、G受けの改善が見込める為この構築では3枚採用しています。
基本的にはマスカレからリトルナイトを出すのですが、追加の妨害は「スプライト・ダブルクロス」を採用しています。レッド、キャロットやスマッシャーズは未採用。ダブルクロス以外は盤面にコストを要求する為、実質的な妨害枚数が伸びないことの方が多いからです。エルフを2枚積む枠が無いのでなおさら。ただ、スターター素引き時に妨害が増やせるのでレッド、キャロットは採用の余地は有ります。
単純にダブルクロスの効果がめちゃくちゃ強いというのもあります。蘇生効果で虹光を蘇生することで、万能無効の回数を増やしたり墓穴を回避できるのもこのデッキに合っています。
普通の構築だと「スプライト・ピクシーズ」よりガンマバーストの方が優先されることの方が多いようですが、私はピクシーズ派です。更地から8000ライフを削れるのはピクシーズでも同じですし、モスキートの効果の都合上、攻撃できる頭数を増やしたいからです。素引きしても各種素材として使いようが有ります。とはいえダブルクロスもピクシーズもそこまで素引きしたくはないので1枚ずつです。
エクストラは「スプライト・エルフ」「スプライト・スプリンド」「ギガンティック・スプライト」に加え、「I:Pマスカレーナ」「S:Pリトルナイト」「No.2蚊学忍者シャドー・モスキート」も関連カードと言えるでしょうか。
特に、シャドー・モスキートはこのデッキの後攻勝率の8割を担っているといっても過言では有りません。
・「No.2蚊学忍者シャドー・モスキート」
若干マイナーかも知れないので一応解説しておくと、自分や味方が攻撃した際に、相手のモンスター1体に幻覚カウンターを置き効果を無効化するか、幻覚カウンターが置かれているモンスターの攻撃力分バーンします。
このバーン効果が非常に強力で、相手の盤面を全て処理せずとも相手のライフを削りきれるようになります。
一見するとそこまで強く感じないかも知れませんが、使ってみると強さが分かります。マジで後攻の時の救世主です。
構築次第では戦闘破壊耐性や素材をかさ増しできる事を活かしてアーゼウスのパイロットを務めたりもしますが、このデッキでは枠がないのと、アーゼウスを出すより効果でキルを取った方がいいのでアーゼウスは未採用です。
スプライト部分は以上になります。特にエクストラはかなりの枠をスプライト関連に割いており、カツカツです。
【超重武者】関連
ランク4展開から溟界展開、溟界展開からシンクロアンデット展開、シンクロアンデット展開からスプライト展開に繋がる、というのは今までの解説で分かってもらえたことと思いますが、最後に問題になるのはどうやってランク4を出すかです。
これに関しても検討を重ね、【超重武者】以外にも【センチュリオン】や【幻奏】なども候補に上がったのですが、【超重武者】には他のテーマとは一線を画す様々な強みが有りました。
1:召喚権を使わずにランク4が作れる
2:1-8のスケールが揃う
3:ニビルを先に吐かせられる
4:誘発貫通力の高さ
5:1枚初動の多さと質の良さ
これらの利点は墓地に魔法罠が落ちることを許されないという弱点を補って余りある程で、自分の動きだけを考えるならば【超重武者】一択といっていいでしょう。特に、召喚権を使わずにランク4が安定して出せるとなると、【超重武者】以外には選択肢が無いです。
しかし【超重武者】を他のデッキに混ぜる場合、どうしても気になる点が出てきます。「超重武者の純構築の方が強くね?」という、よくあるアレです。
ですがご安心を。この混ぜものには超重武者側にとっても大きなメリットがあります。
1:指名者が積める
2:展開の終点がランク4になる事による実質的な貫通力の向上
3:ナイア、スネーク・レイン、スターターによる貫通力のさらなる向上
このデッキの着地点は超重武者側ではなく溟界側に有ります。なので、ナイアやスネークレインを素引きしているなら、超重武者側の展開にいくら妨害を受けてもほぼ支障は出ません。
また、例えばダイ8を召喚した時点でGを切られたとしても、指名者でそれを無効にしてからイワトオシサーチして装備、カカCを出しイワトオシからチュウサイサーチ、チュウサイでカカCリリースしてテンBNだしてイワトオシ蘇生してランク4エクシーズの流れで溟界展開にいけます。ワカU4・バイQに対する妨害に対しても同様に、指名者後のチュウサイ→テンBNからランク4を作る動きで対応できます。
このように指名者の採用が無理なく可能となる為、通常の超重武者よりもG受けがかなりマシになります。うららのみ40枚中3枚より指名者含む60枚中6枚の方が引ける確率は10%近く高いです。(約33%→約42%)
イワトオシの制限により貫通力が落ちた為、環境の最前線からは退いた超重武者ですが、この混合構築はそれを補える可能性を秘めています。多分。
例によって効果の説明は割愛して採用枚数ですが、「超重武者バイ-Q」「超重神童ワカ-U4」はフル投入確定。「超重僧兵ビッグベンーK」も必須ですが、素引きしてもワカU4通常召喚から動けるので1枚で大丈夫です。
「超重武者装留イワトオシ」「超重武者装留チュウサイ」「超重武者テンBーN」「超重武者カカーC」もそれぞれ1枚ずつ。これで必須枠は終わりですが加えて私は「超重武者ダイー8」を3枚入れています。召喚権を使う初動も欲しい為です。
ただ、溟界と混ぜることで超重武者の縛りをある程度無視できるとはいえ、やはり超重武者、扱いは結構繊細です。特にスプライト展開を行うとほぼ確実にダブルクロスやスターターが墓地に落ちる為、2ターン目以降に使う超重武者はかなり弱くなります。気をつけましょう。
その他
デッキに入る主要なテーマカードについては以上です。
あとはシンクロ展開で用いるカード群についても説明しておきます。
・「ルイ・キューピット」「キャシー・イヴL2」
ルイキューはハリラドン展開で嫌と言うほど見た方も多いでしょう。コリドーを持ってきてたアイツです。
自身のシンクロ素材になったチューナーのレベル分自身のレベルを上下する効果と、自身がシンクロ素材になった場合にバーンしつつ守備力600のカードをサーチする星4シンクロチューナーです。主にキャリアと溟界トークンで出します。サーチ先はコリドーではなく、手札からSSできるレベル2である「キャシー・イヴL2」を持ってきて、スプリンド+キャシーでギガンを作ります。キャシーはSS時に場のモンスター1体のレベルを2下げるのですが、このレベル調整も地味によく活用します。特に4を2にする動きが大事と覚えておいてください。
そしてこのデッキの守備力600は他にも居ます。
なんと「ファラオの化身」も守備力600なのです。都合良すぎひん?
なので召喚権を残したままランク4を作れるなら、溟界展開からルイキューで化身をサーチして召喚し、化身を絡めたシンクロ展開に繋げられます。【超重武者】と混ぜる大きな理由です。
・「源竜星―ボウテンコウ」「闇竜星―ジョクト」「竜星の九支」「天威龍―アーダラ」
竜星関連のパッケージです。これらもハリラドン展開でお馴染みでしょうか。万能無効その1。
ボウテンコウから持ってくる九支はこのデッキの最終盤面を著しく堅くします。一滴や結界波による解決を拒否できるからです。また、ボウテンコウでアーダラを落としてレベルを1にすることで、化身とで虹光を出せるのも強力な点。
・「フルール・ド・バロネス」「アクセルシンクロ・スターダスト・ドラゴン」
シンクロデッキでよく見るやつら。万能無効その2。
主にルイキューを経由して出します。盤面次第ですがアクスタを経由せずにバロネスを出すこともよく有りますし、アクスタの蘇生先も、レベル2ではなくレベル1チューナーのアーダラを出す動きが有ります。覚えておきましょう。
・「虹光の宣告者」
バロネスよりマイナーですが、このカードも強い。万能無効その3。
虹光を出しやすいというのもこのデッキの売りの1つです。(1)の効果の影響はかなり大きく、芝刈りや烙印融合などのパワーカードを機能不全に出来る他、一滴の手札コストとして手札のモンスターが切れなくなるという挙動が発生します。つまり、虹光やバロネスで一滴を弾ける様になるのです。現環境の天盃は大体一滴を3積みしているので、この効果の恩恵は非常に大きいです。展開ルート次第でバロネスとどちらを出すか択になる場合もありますが、基本こちら優先です。
実は(2)の無効効果に同名ターン1が無いため、ダブルクロスで蘇生後にもう一回効果を使えるのも◯。
ただし(1)の効果の影響は自分にも及びます。下手に先出しして誘発をケアしようとすると自分の首を絞めることがよく有ります。気をつけましょう(n敗)。
・「転生炎獣アルミラージ」
通常召喚したキャリアを変換し、スプライト展開につなげるのが仕事です。
とはいえ、実のところこのカードは必須枠という訳では有りません。キャリアを初動に換算できなくても、このデッキには他に60枚中19枚の1枚初動があります。これでも初手5枚中1枚来る確率が約86%なので、十分と見ることも出来るでしょう。その場合、キャリアを削れる分メインデッキの自由枠が24枚になり、EXの枠が1つ空きます。ここ以外に削れる部分は無いので、構築に変化を出したい場合はこの枠に何を入れるかを考える事になります。
じゃあ何を入れるのかというと色々候補は有るので、そこは皆さんのお好きなように。Gケアのバグースカ、スプライト展開の択になるアポロウーサ、ニビルが流行っているならスタダ、ロマンを追求するならリターンゼロなんかが一例でしょうか。
自由枠(メタスペース)
このデッキの自由枠は、実質必須である指名者2種3枚を除けば19枚有ります。キャリアは1枚まで削れるので最大で21枚です。(うららも必須ですが、妨害として数えられるので枠潰しとは見ません。)
この60枚中19枚というのは一つの目安で、初手5枚で2枚引く確率が約51%になります。「有効な誘発を2枚引けば後攻でも勝利が見込める」と仮定するなら、試行回数でランクマを登っていけるギリギリの水準と言えるわけです。実際は相手の下振れやプレイミスもあるのでもう少し楽ですが。
とはいえこのデッキの自由枠の選択は難しいです。【超重武者】の制約を最も意識することになるのはここでしょう。
まず手札誘発として極めて丸いカードである無限泡影が使えません。一応超重武者に頼らず展開できる事もあるので、抹殺用にピン刺しくらいは無くはないですが、ガン積みは無理です。この時点で19枚の枠を埋めるのが結構難しくなります。
そもそも19~21枚誘発を積んだとしても、その全てが相手に刺さるかはだいぶ疑わしい所があります。ニビルやドロバは強力ですが効かない相手も多いですし、うさぎ・わらし・クロウ等の汎用誘発も効く効かないに結構差が出ます。実際、同様にメタスペースの広い【天盃】が、そこまで誘発に特化せず捲り札も入れて環境を広く見ている構築が多いことからもその事実は伺えます。
となると【超重武者】最大の弱点である、捲り札となる魔法が採用できないという点が重くのしかかってきます。一滴や結界波で盤面を崩したり、羽根箒やライストでバックを剥がすということができません。使ってて一番辛いと感じるのはここかも知れませんね。あとGとドロバとアトラク。
まあ結論としては、環境を読んで刺さる誘発を選んでくださいとしか言えないです。この構築において採用しているカードもあくまで参考程度。自分で使う際は自分で考えましょう。
一応採用理由を解説しておくと、比較的どのデッキにも効く「増殖するG」「灰流うらら」「エフェクト・ヴェーラー」「遡夜しぐれ」はフル投入。
ここからは好みが大きいですが、私は刺さった時に1枚で勝てるという点を評価して「原始生命態ニビル」をフル投入しています。天盃対策に展開型デッキを使う人も割と居るので、現環境ではそこそこ刺さります。天盃には効きませんが、そもそも天盃相手はメインギミックで貫通するのが前提なので考慮していません。
「ドロール・ロックバード」もニビルと似た性質が有りますが、相手のリソースは削れないので2枚。最後にそこそこ妨害として丸く、DDクロウやビーステッドに対する貫通札として機能しうる「屋敷わらし」を2枚。これで計19枚です。
他の候補としてはまず「PSYフレームギア・γ」が挙がるでしょうが、ドライバーの分枠が削れるのがちょっと嫌で私は採用が及び腰になりがち。とはいえ気分で入れたり入れなかったりします。「無限泡影」もピン刺し程度ならアリ。他の汎用誘発は環境を見ながら採用を考えましょう。
具体的な展開例
それぞれのカードの採用理由は説明しました。
次に、具体的にどの様に盤面を作っていくのかの解説に移ります。
・スプライト展開
溟界→シンクロアンデット展開の締めで使う他、キャリアやナイアからの妥協展開、スターターによる貫通時に用いる、このデッキの最低限の展開です。
1:スプリンドSS、効果キャリア落とし
2:キャリア蘇生、スプリンド+キャリア→ギガンSS
3:ギガン効果、ブルーSS、ブルー効果ジェットサーチ、ジェットSSダブルクロスサーチ、セット
4:ブルー+ジェット→エルフSS、エルフ効果ジェット蘇生、ジェット+ギガン→マスカレーナ
【盤面:エルフ、マスカレーナ、ダブルクロス 墓地:ブルー、ジェット】
最大3妨害。無効効果こそ有りませんが、ダブルクロスがかなり応用の効く妨害な為見た目より意外と堅いです。キャリアが墓地に残るので後続のリソースも有ります。
マスカレからはエルフで蘇生した素材とリトルナイトを出します。(1)の出た時除外はかなり強力な妨害ですが、(2)は妨害としては頼りないです。なので実質2妨害+おまけといった感じの使用感です。
エルフの蘇生先は基本的にブルーで、効果でピクシーズを持ってきて戦闘破壊を牽制します。ついエルフのリンク先に出したくなりますが、それをするとリトルナイトを出すまでダブルクロスの効果が使えなくなるので注意しましょう。
まあぶっちゃけ、現代遊戯王ではそんなに強くない盤面です。相手の手札に貫通札が有る場合はほぼ捲くられると思っていいです。
しかし弱いという程でもなく、貫通札が無ければ止められることも多いですし、他に引いた誘発と合わせて何とか凌げるケースもそれなりにあります。
とはいえあくまでスプライトのみの盤面は妥協展開。これに加えてシンクロ展開で大量の万能無効を用意し盤面を補強することで、リトルナイトやダブルクロスの使用感が全く変わってきます。
・スプライト展開(後攻)
後攻で相手のライフを削り切る為の展開例です。
スプリンド→キャリア→ギガン→ブルー→ジェットまでは同じですが、そこからが違います。
1:(ジェットSSまで省略)ジェット効果、スターターサーチ
2:スターター効果ピクシーズSS
3:キャリア蘇生、キャリア+ブルーでモスキートSS
【盤面:ギガン(3200)、モスキート、ジェット、ピクシーズ】
相手の盤面が更地の場合は、モスキートではなくエルフを出してブルーを蘇生すれば総攻撃力が8400になりキルできます。
まずモスキートで相手の高打点モンスターにカウンターを置き、更に他のスプライトで殴ってカウンターを置いたモンスターの攻撃力分ライフを削っていきます。
この展開例だとモスキート以外で3回殴れるので、相手の場に攻撃力2700以上のモンスターが居ればキルが成立します。そのモンスターが攻撃表示なら、ギガンで殴った際にピクシーズ効果で3200ダメージが通せるので、キル条件が攻撃力2400に緩和されます(2400×2+3200=8000)。さらに相手の場に攻撃表示と守備表示が混在している場合、ピクシーズで守備表示のモンスターを殴った後に効果を使えるのでキル条件は攻撃力1600まで下がります(1600×3+3200=8000)。
相手の盤面に左右される部分は大きいですが、そこまでキルに至る条件が厳しい訳ではなく、現実的に狙える範囲内です。前段階で溟界展開が出来れば更にキル条件は下がりますし。
この動きによってこのデッキの後攻勝率は担保されています。絶対に使うので覚えておきましょう。
・溟界→シンクロアンデット展開
このデッキの肝となる展開パターンです。
まず下準備として溟界展開を行います。
条件:墓地にナイア+カース(ナイアの効果かスネーク・レインで揃える)
1:場のモンスターをリリースしてカース蘇生、効果でナイア蘇生
2:ナイア効果で黎溟界闢サーチ、カースリリースしてトークン4体
【盤面:レベル2溟界トークン4体、ナイア】
ここまでは良いとして、ここから先の展開パターンは様々です。
既に召喚権を使っているか、墓地にキャリアが落ちているか、誘発をどうケアするかで展開が変わってきます。
とはいえそのパターンを模索し考え尽くすのが展開デッキの醍醐味。堪能しましょう。
簡単な方から行ってみましょう。
まず「召喚権を既に使っている」「夜刀神の効果は未使用」のパターン。
1:トークン2体でスプリンド、効果でキャリア落とし
2:キャリア蘇生、トークン+キャリア→ルイキューSS(レベル下げ)
3:ナイア+ルイキュー→イモドラ、ルイキュー効果でキャシーサーチ、効果で馬頭鬼落とし
4:黎溟界闢の墓地効果、夜刀神落とし、効果で蘇生(5より先に行う)
5:イモドラ+トークン→虹光SS
6:馬頭鬼効果イモドラ蘇生、イモドラ+夜刀神→バロネス
7:キャシーSS、キャシー+スプリンド→ギガン、以後スプライト展開
【盤面:バロネス、虹光、エルフ、マスカレ、ダブルクロス】
スプライト展開に加えてバロネスと虹光が立ちます。
素引きしたナイアから動く場合と、超重武者展開で誘発を貫通してキングレムリンを立てた場合に使う展開パターンです。なんらかの理由で夜刀神を場に出せない場合、バロネスと虹光の二者択一になりますが基本的には虹光を優先します。ただしカースの効果で相手の場に手札誘発などが蘇生されてしまうことがあり、それをリンク素材にされるのを嫌うならバロネスで処理しましょう。
虹光を黎溟界闢の墓地効果の前に立てないように気をつけてください。夜刀神が出せなくなります。
バロネスと虹光で二回万能無効、更にダブルクロスで虹光お代わりの最大三回の万能無効ができます。虹光の(1)による妨害もなかなかえげつなく、虹光を殴って処理しようとしてもリトルナイトに止められます。手数による突破は相当難しく、相手を選ばず勝利を見込めます。
とはいえ現代遊戯王の環境トップ層は、上振れるとこの盤面すらも捲ってくることがあります。特に後攻特化デッキの完成形たる天盃相手だと盤石とは言えません。いや天盃ヤバ過ぎるでしょ……。
そこで、我がフェイバリットカードである化身の出番です。
召喚権を使わずに溟界展開が出来た際、ルイキューで化身をサーチし、通常召喚して展開します。具体的にはこんな感じ。
1:溟界展開→ナイア+ルイキュー→イモドラ→馬頭鬼落としまで省略
2:ルイキュー効果で化身サーチ、化身召喚
3:化身+イモドラ→ボウテンコウ、ボウテンコウ効果九支サーチ
4:黎溟界闢効果夜刀神落とし、夜刀神蘇生
5:馬頭鬼効果イモドラ蘇生、イモドラ+夜刀神→バロネス
6:ボウテンコウ効果アーダラ落とし、レベル1ボウテンコウ+化身→虹光
7:ボウテンコウ効果ジョクトSS、ジョクト+スプリンド→ギガン
8:以後スプライト展開、化身をリンク素材にしつつ最後にエルフ効果でジョクトSS
【盤面:バロネス、虹光、エルフ、マスカレ、ジョクト、ダブルクロス、九支】
さっきの展開に九支が追加されました。カウンター罠による万能無効です。
このデッキの理想展開であり、超重武者展開が通った際、あるいはワカU4初動の超重武者展開に誘発を打たせてナイアやレインを素引きしていた時にこの盤面を目指します。
九支による1妨害の伸びは非常に大きく、結界波やアルテミットスレイ等のモンスター効果をチェーンできない捲り札にも対処でき、一滴への耐性が更に高まります。また妨害数が6妨害に達することから、相手の後攻初手6枚が全て有効札だったとしても完全に封殺することが可能となり、手数で捲くるのは事実上不可能になります。
(捲くられる可能性が有るとすればラヴァゴか超融合絡みでしょうか。一回だけ後攻型御巫にラヴァゴを3連打されて捲くられたことがあります。)
ただし、それは自分のプレイングが完璧なことが前提です。妨害の切り方を間違えると突破される可能性も無くはないので、注意しましょう。基本的には強い万能無効こそ盤面を守るために出来るだけ残すことを意識すると良いです。大体の場合バロネス→虹光→九支の順に使いますが、虹光の(1)が刺さっているなら維持する、カードが墓地に行くと手数が伸びそうなら九支を使うといったプレイングもあります。
また、この展開の派生形として、スネーク・レインからの1枚初動パターンも有ります。この場合、SSした夜刀神をカースのリリース素材に用いるので、展開ルートが変わってきます。
1:化身+イモドラ→ボウテンコウ、ボウテンコウ効果九支サーチまで省略
2:ボウテンコウ効果アーダラ落とし、レベル1ボウテンコウ+化身→虹光、ボウテンコウ効果ジョクトSS
3:馬頭鬼効果イモドラ蘇生、イモドラ+トークン→アクスタ、アクスタ効果アーダラ蘇生
4:ジョクト+アクスタ→バロネス、化身+アーダラ→マスカレ
5:マスカレ+スプリンド→ギガン、以後スプライト展開、最後にエルフでジョクト蘇生
【盤面:バロネス、虹光、エルフ、ジョクト、ジェット、ダブルクロス、九支】
マスカレは相手ターンにエルフで釣ればいいので、違いはピクシーズを持ってこれないことだけで妨害数は変わりません。
・超重武者展開
ランク4を作りキングレでナイアを持ってきたり、先にバロネスを出してニビルケアするのが超重武者展開の役割です。(この構築だとスタダ未採用なので正確にはニビルを先に吐かせるということです)
基本的な展開方法は普通の超重武者展開と同じです。ただし召喚権およびP召喚権を温存したい都合上、ビッグベンKで持ってくるイワトオシはワカU4に装備します。バロネス後はサーチしたテンBNを通常召喚し、蘇生したイワトオシとでキングレムリンを作ります。
1:ワカU4(=バイQ)効果SS、ビッグベンKスケールにセット、効果イワトオシサーチ
2:イワトオシ装備、カカCSS、チュウサイサーチ(バイQ未使用ならバイQを経由)
3:カカC効果イワトオシSS、チュウサイをカカCに装備、効果でワカU4SS
4:ワカU4+イワトオシ→アクスタ、バイQ蘇生、テンBNサーチ、ワカU4スケールにセット、アクスタ+バイQ→バロネス
5:テンBN通常召喚、イワトオシ蘇生、テンBN+イワトオシ→キングレ
ここからイワトオシをリリースして溟界展開に繋げ、かつP召喚がまだ残っているので化身展開に繋がります。損失無しでEXのワカU4も出せますが、この構築だと素材として余るので出さなくていいです。
なお、先述の盤面を目指す場合、バロネスを先出ししているので馬頭鬼と夜刀神は展開に使いません。
つまり理想盤面に追加でもう一体レベル10シンクロモンスターを立てる事ができます。
有力候補は「A・O・Gリターンゼロ」で、イモドラが闇属性なので問題なく出せる上、水属性以外の5属性が墓地に揃います。理論上11妨害になります。
まあ正直過剰制圧も良いところですし、枠を開けるためにアルミラージを抜かないといけないので私は採用を見送りました。ガチ構築なら優先度は低いと思います。
基本的な展開ルートは以上です。これらを抑えておけば、後は応用でデッキは回せると思います。超重武者展開に誘発を受けた時の対応は腕前の差が出てくる部分かもしれません。
細かいところを言うとカース素引き時の対応とか、キャリア1枚採用で素引きしてしまった時に溟界展開でエルフを先出ししてスプリンドでブルーを落として吊るとか、イモドラで化身を落としてトークンとでボウテンコウを作るパターンなど色々有るのですが、きりがないので割愛します。
・誘発ケア
基本的には上述したように展開するのですが、現代遊戯王では先行展開は常に手札誘発の脅威に晒されます。止めなきゃ死ぬので相手も必死です。
しかし誘発の貫通はこのデッキの得意分野でもあります。頑張りましょう。2誘発くらいなら割と現実的に貫通可能です。3誘発だと流石にキツい。
誘発をケアする動きとして重要になるのが、エルフの先出しです。
エルフはリンク先に対象耐性を付与する為、先にエルフを出しておくことでカースやナイアに対するヴェーラーや泡影をケアする事ができます。特に超重武者展開では召喚権を温存できる為、手札に来たキャリアやスプライトを通常召喚またはP召喚してエルフを作り、本命である溟界展開への妨害を阻止することができます。最大出力は多くの場合減りますが溟界展開を潰されるより断然マシですし、バロネス+虹光まで行ければ十分に盤面は堅いです。
そしてヴェーラーや泡影が手札にあるかは、モンスターが場に出た時の相手のラグで推察できます。ラグ隠し等の相手の腕前に依る部分も大きいですが、相手の手札のヴェーラーや泡影が察せたならエルフ先出しを検討する様にしましょう。
それと、増Gへのケアについてですが、実はこの構築ではそこまで重視していません。
アルミラージをバグースカに代えると多少G受けは良くなりますが、多くの場合イワトオシをエクシーズ素材にせざるを得ず、そうすると後が続かなくなります。それよりは展開の途中で止まり、イワトオシを温存しつつ誘発で耐えた方が良さそうだと感じました。妨害として信頼度の高いレベル8シンクロが有ればまた話が変わるんですけどね……。
それに全体の勝率が問題となるMDのランクマッチでは、G負けをある程度受け入れても昇格はできます。大会と違って負けたら終わりでは有りませんからね。
構築を歪めずにできるGのケアとしては、Gチェーンスターターでジェットを出してダブルクロスをサーチし、通常召喚したモンスターとでマスカレを作れば1ドローで2妨害+αが立てられます。盤面としては弱いですが、無いよりマシですので覚えておきましょう。
このデッキへの対策
なんのことは有りません。増Gとドロバとアトラクと永続妨害をガン積みしましょう。
このデッキは単発妨害に対する貫通力こそ手数の多さから優れていますが、手数が意味をなさない永続妨害に非常に弱く、増Gはもちろんドロバやアトラクが通ったら基本的に貫通は不可能です。
そして致命的なのが、相手の永続魔法・永続罠に対抗する手段が超重武者の制約上先攻を取る以外にありません。メタビは滅びろ(私怨)
現状では天盃に構築上有利に立ち回れて居ますが、もし誘発特化の天盃が流行れば立ち位置は非常に厳しくなるでしょう。デモンスミスが来るとそうなりそうで辛いですね……。
結局のところメタるのがとても簡単なデッキなので、デッキパワーこそ高いもののメタゲームの中心になるようなデッキでは無いです。やはりTier2~3という評価が妥当なところでしょう。
おわりに
弱点も多くTier1には成り得ないデッキですが、環境トップに比肩するデッキパワーを持ち、メタの流行り次第では十分に勝ちを狙えます。
超展開するシンクロデッキとしては【竜剣士】等も有名ですが、1枚初動の多さによる安定性と、その組み合わせによる貫通力は並み居る展開デッキにも引けを取りません。超重武者とスプライトにURが多く少々お高いですが、組んで後悔はしないと思います。
本来私はデッキビルダー、コンボ開発志向で、そこまでガチに遊戯王の環境に向き合っている訳では有りませんでした。しかし思いついた構築を練り上げている内にどんどんデッキパワーが上がっていき、最終的にマスター1まで降格無しでストレートに登れる程のデッキが生まれました。オリジナルのコンボデッキでマスター1登頂という夢想が叶ったのは、デッキビルダー冥利に尽きると共に、遊戯王というカードゲームには未だ無尽蔵の可能性が秘められていることの証左でもあります。
「強いデッキなんて既に誰かが考え出している」「だから既存のデッキを使う方が賢い」……そういう考えも否定はしませんが、「まだ誰も思いついていない強いデッキ」は、確かに遊戯王カードというフロンティアに眠っているのです。
そして、我々決闘者は誰しも、その可能性を探求する権利を持っています。
いわば―――「一人に一つずつ貰える自由と情熱」を。
このデッキが多くの方に認知され、使って貰えたらそれはもちろん嬉しい。ですが、この記事を通じて私が伝えたいのは、このデッキを作るのは本当に楽しかったということと、このデッキで結果を出せたのが本当に嬉しかったということです。
皆さんもコンボ開発にデッキビルド、しててみませんか?