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ひとり日光社参!秋の関東平野を駆け抜けろ!!⑤【鬼平江戸処編】
タイトルにある日光社参そのものは、前回までの記事で終了してしまった。そのため改題しようかとも思ったが、一連の旅行の記録としては収まりが悪いため、このまま番号を付して続きを書くことに決めた。
そもそも、小さい頃から「帰るまでが遠足」だと言い聞かされて育った日本人だ。
「帰るまでが日光社参」と言っても、何ら差し支えないだろう。
三日目(10月9日)
日光いろは坂と中禅寺湖
栃木県は日光といえば、ヘアピンカーブが連続する有名なドライブコースである「日光いろは坂」を避けて通る訳にはいかない。
ドライブ好きとしては、日光東照宮に行くと決めた時から必ず日光いろは坂にも行くと決めていた。
日光いろは坂は上下線で分離しており、上りが二車線の第2いろは坂、下りが一車線の第1いろは坂となっている。
第2いろは坂は、全体的に第1いろは坂に比べたら傾斜とコーナーが緩やかで幅員も広いので、とても走りやすい。
もちろん第2通行帯から低速車を追越すことも可能で、私も途中からずっと右側を走り続けていた。
これは、第2いろは坂がバイパスのような位置づけとして、第1いろは坂よりも後に建設されたことによる。
一方、第1いろは坂は傾斜もコーナーもキツイ上に幅員が狭小であり、その幅員は場所によって1.5車線から2車線程度だ。
1車線にしては広い幅員とも言えるわけだが、第2通行帯がないために当然追い越しなどは基本的には出来ない。
そもそもアクセルを踏まずにエンジンブレーキだけでも車が加速していくほど傾斜が急な区間もあるため、このような場所での追越は極めて危険と言えよう。
だからと言ってインベタの更にインを攻め、空中にラインを描いたりすると最悪命に関わるので、イニDファンは要注意だ。
ともかく、その第2いろは坂を走り抜けると中禅寺湖に至る。
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中禅寺湖は栃木県最大の湖である。
観光遊覧船が就航していたり釣りに興じる人が居たりと、観光やレジャースポットとして人気のようだ。
中でも一番人気は華厳の滝で、中禅寺湖から流れ出す大谷川がこれを形成している。
土曜日ということもあり、華厳の滝の駐車場はかなり混雑していた。
時間に余裕があれば寄っていったのだが、アウェイではこの後の移動に要する時間を想定しづらいため、やむなく見送ることにした。
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鬼平江戸処(東北自動車道羽生PA上り線)
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鬼平犯科帳とは
中禅寺湖を出発し、本日の最後の目的地である羽生PAへと向かった。
昨今のSAやPAは、通過点としての休憩施設という利用に留まらず、施設そのものが目的地とされるような観光スポットとして整備されている場所がある。
東海地方で言えば、水族館が併設された東海北陸道の川島PA(川島ハイウェイオアシス)や、遊園地が併設された伊勢湾岸道の刈谷PA(刈谷ハイウェイオアシス)等が挙げられる。
今回訪れた羽生PA(ただし上り線のみ)もその一つであり、ここは何と有名な時代劇である鬼平犯科帳の雰囲気を再現したアミューズメント施設のようなPAなのだ。
鬼平犯科帳が大好きな私は、かねてから羽生PAに行きたいと思っていたのだが、これまでは関東北部へ行く用事が無かったため先延ばしになっていた。
今回ようやくその機会に恵まれたので、嬉々として立ち寄ってきたというわけである。
鬼平犯科帳をよく知らない人の為に簡単に説明すると、江戸幕府の火付盗賊改方を務めた実在の人物である長谷川平蔵(宣以)を主人公として描かれた池波正太郎の時代小説と、それを映像化した時代劇のことを指す。
実在の人物をモデルにしているものの、内容や人物設定の多くはフィクションだ。
中には史実で起きた事件であり、かつ平蔵が取り扱った事件をモデルにした話もある(葵小僧など)が、脚色が加えられているので史実通りというわけではない。
火付盗賊改方とは
火付盗賊改方というのは、その名の通り火付すなわち放火犯と盗賊を捕縛することを目的に設置された江戸時代の特別警察(武装警察)だ。
江戸時代の警察といえば町奉行所という印象が強いが、町奉行所とは別に設置された特別警察があった。
設置に至った最大の理由は、重武装した凶悪犯罪者に対して町奉行所の人員と武装及び権限では太刀打ちできなかったためである。
現代においても、相手がいかに凶悪な犯罪者といえども、生かした状態で逮捕することが原則だ。
警察官の武器使用については警察官職務執行法に基づき厳格な運用がなされ、余程のことがない限り犯罪者への射殺命令が下されることはない。
この点においては江戸時代の町奉行所の役人も同様で、彼らは犯罪者を斬り捨てることは原則として許されておらず、生け捕りにしなければならなかった。
また、立て籠もり事件が起きた際の武装は、十手の他は刺股などの捕具を用いており、刀といっても刃挽きした刀を携行していたそうだ。
このような事情もあり、町奉行所の役人が重武装した強盗団を相手にするには力不足だったわけである。
しかし、火付盗賊改方の役人は犯罪者が抵抗した際は斬り捨てることが認められており、これが大きな違いだったのだ。
そのため、時代劇の劇中においても十手などで生け捕りにされる場合もあれば、抵抗し手に負えない場合は容赦なく斬り捨てられている。
両者の違いはその立場にあり、町奉行所の役人は役方と呼ばれる文官で、火付盗賊改方の役人は番方と呼ばれる武官だったことにある。
ざっくり説明すると、文官とは現代で言うと警察官や行政職の公務員などにあたり、武官とは軍人(自衛官)の事を指す。
つまり、火付盗賊改方の同心や与力は軍人の身分で警察業務を遂行していたわけであり、現代風に言えば憲兵もしくは警察軍などという立場にあった。
余談だが、現代の日本には一般人に対して警察力を行使できる軍事組織は存在しない。
重武装した凶悪犯罪者に対しては、原則として機動隊や銃器対策部隊、そしてドラマ等でお馴染みの特殊部隊(SAT)が対処することになる。
ただし、自衛隊法による治安出動を命ぜられた場合は、一時的に自衛隊員も警察力を行使することが認められている。
鬼平江戸処
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羽生PAの商業施設は全て鬼平犯科帳の舞台である江戸の街並みを再現した外観で統一され、劇中に登場する店の名前も使われている。
そもそも鬼平犯科帳の舞台となるのは、当然だが基本的には江戸御府内である。
そうであるにもかかわらず、なぜ東京から離れた北の地に鬼平江戸処が作られたのかは疑問に思っていたのだが、その答えがPA内部の掲示物で示されていた。
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五鉄
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五鉄というのは劇中において平蔵が懇意にしている軍鶏鍋屋であり、密偵などと連絡を取り合う拠点だ。
昼頃に訪れていたなら、是非とも軍鶏鍋を頂きたかった…
これだけでも再訪する理由としては十分といえよう。
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(月次な感想で申し訳ない)
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ここは鬼平ファンにとって、紛れもなく聖地といっていい場所だった。
鬼平ファンなら一度は足を運んでみて損はないと思う。
聖地巡礼といえば、前日に原宿近辺でラブライブスーパースターの聖地巡礼をしていたが、よりによって鬼平犯科帳の聖地巡礼もセットにした旅行になるとは思ってもみなかった。
三日目の目的地はこれで最後で残す所は夕飯の記事だけなのだが、またしても文量が多くなってしまったため、四日目と含めて記事にしようと思う。