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蓮ノ空(リンクラ)の聖地、金沢を行く【特別編】
金沢には芸宿と呼ばれる不思議な場所がある。
芸宿とは、一体どういうものなのか。
今回の記事は、半日でリンクラの聖地巡礼を終えた後、数カ月ぶりに会った友人と共に金沢で過ごした際の記録となる
表題が聖地巡礼のように見えるが、この記事には聖地巡礼の要素は無いので予め断っておく。
芸宿
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卯辰山公園で聖地巡礼を終えた私は、この日偶然金沢を訪れていた友人と数カ月ぶりに会うことにした。
友人と会ったのは、彼が以前居住していた住居兼ギャラリーである芸宿という場所だ。
芸宿というのは、金沢美術工芸大学の学生や卒業生などによって管理されているアパートである。
アパートとはいっても、住居としての利用以外に来訪者のための宿やギャラリーとしての利用も出来る独特な空間と言えよう。
一棟まるごと芸宿で借り上げているようであり、設備が古いこともあって家賃も格安なのだという。
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この日はちょうど芸宿の10周年記念のイベントをしており、展示や物販などが開かれていたのだった。
一階のリビングのようなスペースでは各々が自由に交流出来るようになっており、興味深い話を聞くことが出来た。
美大生や元美大生などといった美術や芸術というような分野に秀でた人たちというのは、凡庸な一般人とは物の見方や感性が違うのだ。
誤解を招くといけないのではっきりと書くが、嫌味などでは全くない。
むしろ違った感性を持つ人と交流することは楽しいし、とても新鮮で新しい発見になる。
私は以前も友人を尋ねてここを訪れたことがあるが、その時に感じたことだ。
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もう一つ彼らと交流していて感じたことは、大なり小なり何かしらの夢や目標を持っている人が多く、目標を達成するために妥協をしていない印象を受けた。
私のように人生において大した夢も目標もなく、ただ漫然と毎日を生きている人間からすると、目標のために努力し続ける姿勢を眩しく感じてしまうのだ。
ただし、当然ながら代償は少なくないようで、それなりの根性があって覚悟を決めているのだとも感じる。
何が言いたいかというと、要するに定職につくなどの安定した人生を送っている人は少ないということである。
ギター片手に上京するバンドマンや、バイトで食いつなぐ下積み時代のお笑い芸人のようなイメージと近いかも知れない。
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様々な展示があったが、最も印象に残ったのは藁人形ワークショップというものだ。
ワークショップというのは有償で体験をさせてもらえるもので、藁人形を製作する体験が出来るという。
一回300円だが、さらに200円払えば五寸釘を打つというオプションも体験させてもらえるというユニークなもので、実際に友人も藁人形を作って釘を打ち付けていた。
私は手先も器用ではないし、そもそもが人を呪うための行為というのは若干抵抗があってやらなかったが、友人からは髪の毛さえ入れなければ問題ないだろうという指摘を受けた。
確かにそうだったかもしれない。
なお、神社などに行けば稀に本当に釘を打ちつけた藁人形を見ることが出来たりするので、興味のある人は地元の神社を訪れてみるといいだろう。
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道の駅しらやまさん
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芸宿でのんびりとした時間を過ごした後は、久しぶりに友人と道の駅スタンプラリーに行く事にした。
彼とは昨年、3泊4日で新潟を回って同県の道の駅の半数を訪れたり、今年1月に2泊3日で和歌山を一周し、同県で未到達の道の駅10数カ所を全て訪れたりと、幾度となく道の駅スタンプラリーを共にした仲なのである。
厳密には私が連れ回したのだが、そんな勝手な旅に付き合ってくれる大切な友人だ。
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この道の駅しらやまさんは手取川沿いに位置しており、2階の展望室からは手取川を眺めることが出来る。
また、この展望室にはソファなどが置かれており、小ぶりながら道の駅の休憩室としては豪華な印象を受けた。
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道の駅めぐみ白山
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道の駅めぐみ白山は国道8号に面して立地しており、平成30年に設置されたばかりの新しい道の駅だ。
それだけであれば新しくて小綺麗な道の駅だという話で終わってしまうのだが、ここで着目すべきは道の駅の名称である。
「めぐみ白山」
そう、名称に「めぐみ」を冠しているのだ。
ラブライブ蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブが金沢を舞台としていることは先の記事で記したとおりであるが、その蓮ノ空のメンバーの一人である藤島慈ちゃん(以下めぐちゃんと呼ぶ)と同じ「めぐみ」なのだ。
その上、「めぐみ」の後に続く二文字が「白山」と来た。
多くは語らないが、この言葉はめぐちゃんを象徴する二文字と言っても過言ではないからである。
そういうわけで、ラブライブとは縁もゆかりも無い場所で勝手に盛り上がって写真を撮っていた。
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旅の最後の夕食は、金沢市内にある洋食店利用することにした。
この店はネットで検索等したのではなく、元金沢人である友人に教えてもらった場所だ。
地元の名店というのは地元の人間に聞くのが一番だが、聞いていたとおりの素晴らしい店だった。
注文したのは生姜焼き定食のご飯大盛りで、まず大盛りというのが本当に多い。
大きめの茶碗にかなりの量を盛り付けてくれるので、ボリュームは満点なのだ。
肝心の生姜焼きだが、豚肉に生姜の味がする甘辛のタレがしっかりとしみ込んでおり、柔らかくて大満足の一品だった。
加えて洋食屋で気にするのが、人参のソテーだ。
私は人参があまり好きな方ではないのだが、経験上料理の美味しいお店では人参も美味しく調理されて出してくれる。
ここも例外ではなく、人参の甘さがよく感じられる美味しいソテーだった。
メインの付け合わせとはいえ、これは意外と重視するポイントなのである。
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おわりに
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さて、これで濃厚な金沢日帰り聖地巡礼旅は終了だ。
今回の走行距離は往復490キロで、日帰りドライブにしてはまあまあ走った方だろう。
何度も訪れていた金沢だったが、聖地巡礼をきっかけに初めて訪れる場所や久しぶりに足を運ぶ場所があった。
意外ときっかけを作るというのは難しいもので、地元の名所であっても当の地元民が知らなかったりすることがあるのは、興味を持つきっかけがないからなのではないか。
そういう意味で、また一つ学びとなる旅であったように思う。
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最後に、卯辰山公園で目にしたあじさいを載せておこう。
こういう季節の花を目にすることで四季を感じる瞬間が、ちょっとした潤いになるものだ。