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時は流れて花筏

花筏はないかだ
散った桜の花びらが水面に浮かぶ様子を
いかだに見立てた言葉。

ラジオをつけると、ユーミンの声が教えてくれた。

そういえば、noteを始めてかれこれ2ヶ月。なぜかバレンタインデーからのスタート。まだ寒い日が続いていた。あまり投稿できてはいないけど。
暖かくなってきたと思ったら桜が咲いて、満開になった。咲いた瞬間から、はらはらと花びらは舞い落ちる。まだ公開に進むボタンを押すときには、ドキドキする。

三日坊主のわりには、めずらしく続いている。日記はいつも書いていたことすら忘れてしまう始末。でもFacebookはノリで登録したことがある。もう今は使っていないけど。

以前、職業訓練の学校へ通っていたことがある。たしか、国際ビジネスを学ぶ?コース。主な勉強は英語や異文化を学び、TOEIC650点を目指そうという3ヶ月の短期訓練たっだ。英語を英語で学ぶという、英語が話せないのになぜか飛び込んでしまった。みんなワーホリ経験者や帰国子女やECCの講師など、英語ペラペラの人達ばかりだった。

これは無謀な挑戦なのか。毎日が必死だった。みんなが先生のジョークで笑っていても、私だけ理解できず、よくポカンとしていたのを覚えている。
英語よりも、そんな状況に耐えるメンタルが鍛えられたような気がする。

終わりが近づいてきた頃、最後の課題は英語でのプレゼン。そんなもんできるか!って気持ちはぐっとこらえる。それはさておき、Facebookについて調べてきた子がいて、みんなでやろうということになった。

でも、私にはひそかに別の目的があった。それはオーストラリア人の先生(アダム)とつながりたいという下心。いや目的である。私はその先生が大好きだった。
アダムと仲良くなったきっかけは、些細なことだった。でもその小さな一歩がこの学校生活を180度変えた。

そのクラスには20人くらいの生徒がいて、毎日自由に好きな席に座っていた。その日の気分だったり、マイポジを決めていつも同じ席に座ったり、人によって様々だった。

ある日、一番前の真ん中にいつも座っていた、唯一の男性(タクジさん)が、お休みした。みんなその席には抵抗があって、誰も座らず、いつの間にか彼の特等席になっていたのだ。だけど今日はその席がポツンとあいたままだった。気づいていたけど、私はいつものように一番うしろへ座った。

その日の1限目はアダムの授業。アダムは優しくて、みんなに大人気の先生だった。授業が始まる前に私が冗談で、「ちょっと前に言って、やる気だそうかな?」と言った途端、みんなが「行け!行け!」と盛り上がってしまい、「アダムだから大丈夫だよ。」と背中を押されて、勢いでその席に座ってしまったのだ。

アダムが入ってきた。ドキドキ。
「Oh!?」あれれ?という感じで2度見された。
「ハロー!アイム タクジ。」って答えたら
「OK. タクジ、、、私はうれしい。ごにょごにょ。」

え?何だって?英語わかりません。だって勉強中だもん。これは想像?妄想?かもしれないけど、「いつも後ろの席に座っていたのに、やる気を出して一番前の席、しかも真ん中に来てくれて嬉しい。」みたいなことを言っていたと思う。たぶん。とりあえず、受けた!もう満足。笑

タクジさんが出席の時に、またうしろの席に戻ったら、「あれ?あさみはどこへ行った?」「今日は、かくれんぼかい?」とよく言われた。すっかり仲良し。

大人になってからも何かきっかけがあれば、すぐに打ち解けられるんだなと思えたひとコマだった。クラスのみんなとも距離が縮まり、それからの授業は今までよりも楽しくなった。他の先生達にも、やる気になったと褒められた。席順がやる気のバロメーターなのか?確かに必然的にやらざるを得ない状況に追い込まれている。

同時に、もっとアダムと話せるようになりたいとも思った。だからと言って、英語がすぐに話せるようになるわけではなかったけど。大人になってからの勉強は、そんな不純な動機でできているのかもしれない。

たとえ言葉が通じなくても、どうにか意志の疎通はできるじゃん!ってことにも気づく。要はコミュニケーションを取ろうとする度胸があるかどうかだと。

そんなきっかけをくれたアダムと、つながっていたいと思うのは必然だった。もうすぐ卒業だし、会えなくなってしまう。でも連絡先を聞くのは違うかも(日本人の奥様がいるのは知ってる)。そういうのは学校で禁止されているかもしれないし。どうしたいんだ、私は。まぁ、どうしようもないのですが。

近況報告でもいいから知りたいなぁ。

そろそろ桜は散り始める頃だろうか。散らないで、まだ咲いていてほしいと願う。はらはらと舞い落ちる花びらに想いをのせて、私が恋に落ちる速度は秒速何センチメートルだろうか。「気になったら、それは恋だよ」って友達が言っていたのを思い出す。
はたして、この気持ちは?

ある日のこと、授業が終わって「あっ!昨日、ジュンク堂だっけ?いた?」って話しかけられた。近くの本屋だ。
「あ、多分いました。」
「やっぱりね。見かけたよ。声はかけなかったけど。」
「じゃあ、またジュンク堂で会いましょう。」
「See You !」

ニホンゴ、ペラ、ペーラ。。

水面に散った桜の花びらは、うつりかわる時の流れを表しているようだった。
流れ去っても、美しいと感じたことは忘れない。

こうして桜の季節は終わりを迎え、花筏はないかだは流れていきました。私の心をのせたまま。













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