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油断?体力不足?室堂から五色ヶ原、スゴノ頭、薬師岳を縦走して折立に下るも、結構疲れた話

2023年9月16日(土)〜18日(月・祝)

 15日(金)、定時に仕事を終えてまっしぐらに帰宅。
 夕飯を食べちゃうとすぐには寝られないので、シャワーだけ浴びてベッドに横たわる。気を失ったような気がする程度で1時間ほどで起き上がり、21:00に自宅を出発。神戸西ICから乗り、淡河PAのコンビニに寄ってBASE BREADを購入。最近、意識してタンパク質をとるようにしている。

 高速道路代を節約するため、普段からできるだけ深夜割引時間帯を狙っていて、そんなときはSAよりコンビニのあるPAが重宝する。人も車も多すぎないから駐車もしやすい上に、眠気覚ましのコーヒーやおやつ、トイレなど、コンパクトに需要を満たしてくれるのだ。クルマのクルーズコントロールを100km/hにセットして、山陽道から中国道、舞鶴道、北陸道を順調に北上。南条SAで大休憩、小矢部SAで仮眠してから立山ICから一般道へ。

 ところで、今回は初めてクルマの回送サービスを利用した。ほぼいつもクルマで現地に向かうので、現地で交通機関を使うことがあっても、山行ルートは基本的にピストンか周回になる。この度はハナからこのコースを縦走したくて、富山駅から立山までと、折立から富山駅までバスを利用しようと思い、予約しようと思ったのが2週間前。時すでに遅く、すでに満席。むむ、別の山に行こうか、と色々悩みながら、ふと回送サービスを思い出し、検索すると立山駅から折立駅の回送ービスを発見。これだ!とすぐに予約メールをしたのが前々日14日の22:00ごろ。さすがに予約できたか不安だったので翌日に電話で確認したら、予約成立とのこと。よかった!さっそく、7:30の立山ケーブルカーも予約した。

 回送サービスの良いところは、現地の駐車場の満車を心配しなくていいこと、帰りの時間も交通機関の時間に拘束されないことだ。ちなみに利用料は有料道路代込みで18,000円。このサービスを使わなかった場合の駐車場代、バス代は相殺できる。これは今後も機会があれば検討の余地アリだ。

 予定どおりクルマを預けてケーブルカーに乗り、バスを乗り継いで室堂に到着。行き交う人々でごった返している。そう、長野県側からも多数の登山客、観光客が来るから当然だ。五色ヶ原方面は少ないだろうと思いつつも、そうでもなく、前のグループ、後ろのグループの話し声が聞こえてくる。まぁ、賑やかくていいじゃないか。

 最初に登るのは浄土山(2831m)。室堂から400mの登りだ。僕は室堂から五色ヶ原までは起伏が少ないと勝手に思い込んでいたから、あれ?いつまで登りが続くの?という感覚。というか、室堂から薬師岳にかけて500m登り、そこから折立に1000mくらい下るのかな、程度で考えていたから、予習不足というより勝手な妄想レベル。なので荷重に無配慮だったから結構重い。


 キリで見通しがなかったせいもあって、目標が定まらないまま、ひたすら目の前のトレイルを登る。浄土山頂を越えて下りになり、龍王岳が左手に見えるはずなんだけど、と思いつつ(全く見えない)、11:00ごろに鬼岳付近で昼食。

 最近、お昼は時短のためにカップラーメンが多かったものの、2泊3日の縦走ではゴミを減らしたいので、この度はガツンと辛ラーメン。あらかじめ袋から出してジップロックに入れておいた。ジップロックはゴミ袋にもなるしね。
 辛さでシャキッと喝を入れ、再び歩み始める。時折、左手の眼下に黒部ダムが見える。水量が少ないせいか、湖面の上に土の法面が見える。12:00過ぎに獅子岳(2714m)、13:00過ぎにザラ峠(2348m)を越え、13:30ごろには五色ヶ原の木道となる。テント場はもうすぐそこだ。

 さすがに3連休、人は多いものの、まだまだ空きスペースがあって、木道の横で平坦なスペースを選ぶ。テントはオールシーズン対応のエスパース・マキシムナノだ。冬山ではよく見るものの、なぜか夏山ではあまり見かけない。ところで最近、ニーモ(NEMO)のテントを多く見かけるのは気のせいだろうか。
 テント内でごそごそ巣作りしていると、パラ、パラと小雨の音が聞こえ始める。外に出ると肌にピリピリと感じる程度だ。テントの手続きをするため、カッパを片手に急ぎ五色ヶ原山荘に向かう。テント場からは木道を登って10分少々だ。今年は小雨で水が少なく、ペットボトルか雨水しかないそうだ。翌日が長丁場なので、念の為ペットボトルの水を購入。お酒は飲まないので、コーラで乾杯!

 幸い、雨はひどくならずにやんだので、夕飯はテントの外でのんびり。最近のこだわりとして、テン泊の夕飯ではご飯を炊く。そして今回は牛丼だ。ほどよくとけた牛肉をジェットボイルの鍋で炒める。まっこと、美味しい。
 ちなみに、ご飯はメスティンとエスビットで炊くのが僕の定番。なにしろ、固形燃料に火をつけるだけ。火加減は必要ない。コツは、最低1時間は水に浸す、火が消えたらひっくり返して10分待つ、これくらいだ。フタがふいてきたら石でも乗せておこう。アウトドア感が少し増した気分になる。
 こうして平和な五色ヶ原に夜が訪れ、19:00には就寝。

 2日目。2:30には目が覚める。よく寝れた。朝ごはんはフルグラ+牛乳(常温保温の200ml)で手早く済ませ、身支度。最後は夜露でびしょびしょのフライをザックにしまい、ヘッドライトをセットして3:30いざ出発!
 まずは鳶山(2616m)めざして登る。木道が続き、歩きやすい。富山の夜景が遠方に見える。越中沢乗越あたりで明るくなり、越中沢岳(2592m)手前で日の出。ゴタテ方面からの日の出が美しい。



 実は、越中沢岳(6:00)を下り始めると、間も無く眼下にスゴ乗越小屋が見えてくる。あー、意外と近いやん!と思ってしまったら、やがて後悔することになる。意外と、越中沢岳からスゴノ頭、スゴ乗越へのアップダウンが手強いのだ。なにしろ平和な登山道を想像していたから、覚悟ができていない。工夫なきザックの中身は重く、靴はミドルカットのスポルティバ・トランゴTRK。お気に入りの一足だけど、50Lのザックとこのトレイルでは、文字通り荷が重い。

スゴノ頭



 根気強く歩みを進め、スゴ乗越(8:00)で一息つく。もうこれ以上、下ることはないはず。あとはひたすら薬師岳を目指すのみだ。
スゴ乗越小屋につくや否や、ジェットボイルでラーメンづくり。

スゴ乗越小屋には水が豊富にあった

 隣のテーブルの方、何と白馬から入山してゴタテを縦走し、黒部を経由して剱岳、立山を歩いてきたそうだ。全行程10泊11の旅で、これから雲の平を通って槍穂を登り、最後は焼岳とのこと。むむぅ…スパルタンなお人だ。
 トイレ、水分補給を済ませ、改めて薬師岳へ挑む。

 軽くならない足取りで一歩一歩登る。快晴のもと、気持ちはとても軽い。振り返ると、少しずつ剱岳が遠ざかっているのがわかる。
 スゴ乗越小屋を出てから約1時間、間山(2585m)。スゴノ頭より高い。そして、今まで見つけられなかった槍ヶ岳をようやく発見!見間違うことのないあの姿だ。

 間山でひと休憩して再び薬師岳をめざす。とっくに樹林帯を超え、歩きやすい。

快晴

 北薬師岳がどんどん近づくにつれて、どんどん力が湧いてくる。もうすぐそこだ!まもなくピークだ!早くピークを踏みたいけど、このゴール直前の達成感をもう少し味わいたい!と矛盾する感情を抱えながら歩みが早まり、12:05ようやく北薬師岳に登頂。
 や、やったぜ!薬師岳はまだやけど、妙な達成感。2900mだ、けっこう高いじゃないか!しばし余韻に浸る。

北薬師岳はすぐそこだ

 前方には薬師岳が鎮座。美しい。が、あそこまでほんまに1時間で歩けるのか?結構遠くに見えるが、、疲れているから気のせいか?

 20分ほど休憩して、最後の目標、薬師岳をめざす。ガレ場が続き、バランスをとりながら岩の上をホイホイと歩く。まるで悪沢岳のような足元の悪さを感じる。30分ほど夢中で歩いて、ふと振り返ると、北薬師岳が遠くなり、ちょうど薬師岳との中間点くらい。確かに、北薬師から1時間程度で薬師岳に着くんだろう。ちょっと安心、納得して再び歩く。

 薬師岳が近づいてくると、山頂付近にたくさんの人が見え始める。そういえば、スゴ乗越小屋でこそ人とすれ違い、話をしたが、その前後はほとんど人に会わなかった。数時間ぶりとはいえ、人がたくさんいることに、なにやら嬉しさも込み上げる。

 そして13:08、薬師岳に登頂。真新しい薬師堂があり、薬師如来像が祀られている。手を合わせて、しばし登頂の喜びを静かに噛み締める。朝、4:30ごろに越中沢岳あたりで僕を抜いて行った女性がいた。薬師岳手前でバテてペースが落ちたそうだ。今日は薬師岳山荘に泊まって、明日は高天原の温泉をめざすらしい。タフな女性だ。安全登山を祈ります。

 薬師岳では多くの人が中小型ザックだったので、太郎兵衛平方面からピストンする人が多いんだろう。室堂以来の、北アルプスらしい賑わいだ。もちろん嫌いではない。ちょっと心配なのが、薬師峠のテント場。ちゃんと張れる場所があるだろうか。昔、五竜岳山荘のテント場では、ほぼ満室状態の中、無理やり、というか隙間を縫ってテントを張った記憶がある。しかも、一人なのにエアライズ3だったから、きっとひんしゅくもんだっただろう。重さより広さ・快適さを求めていたが、そのとき小型テントを買おうと決心したのだった。

 多くの人とすれ違いながら、見晴らしのいい稜線を山荘方面に下る。もう午後だと言うのに、結構な人々が登ってくる。見晴らしが良く、明日下る予定の太郎平や、折立方面への尾根が綺麗に見え、東には雲の平、北には美女平が水平な広がりを見せる。北アルプスにしては、雄大な眺めだ。今日のゴールの先にある太郎平小屋(手前の薬師峠キャンプ場は見えないけど)まで見えたことで随分と気持ちに余裕もできた。

中は宿泊の受付で人がごった返していた


 山荘では水不足なのか、水はペットボトル一本しか買えず、コーラで喉を潤す。山荘から薬師峠キャンプ場までは約1時間。太郎兵衛平まで、遠目に見たら緩やかな丘陵地に見えたけど、実際は400m下ることもあって、多少のガレ場も含めてガンガン下る。振り返ると薬師岳がすでに遠い存在となっていた。

一日中天気に恵まれた

 樹林帯になって沢をしばらく下ると、視界がパッとひらけて薬師峠キャンプ場に到着。15:20。いやー、長い1日だった。予定どおりにつけてよかった。しかし、案の定すでにテントでいっぱい。大賑わいだ。張れそうな場所がなかなか見つからない。迷っていたら、すでにビールで一杯やってる上機嫌のおっちゃんに、ここちょっと上がったところにスペースあるよ、と教えてもらい、見に行くとあったあった!ありがとう!ほんと感謝です。

 巣作りを終え、びしょ濡れだったフライもすぐに乾き、豊富な水も補給してあとは夕飯食べて寝るだけ。充実した1日だったなー。どこかが痛むというより、体全体が疲れた感じ。まぁ、心地よい範囲内だ。今宵もご飯を炊いてポークランチョンミートを焼く。うまい。

 3日目。3:30ごろ目が覚める。今日もよく寝た。空を見たら満点の星空だった。
 朝ごはんは尾西のアルファ米に沖縄ハムのコンビーフハッシュを混ぜて食べる。初めての試みだったけど、なかなかうまい。コンビーフハッシュは炒めてから混ぜたらより美味しくなるかもしれん、と思いつつ、手早く済ませるにはちょうどよかった。
 テントを撤収し、4:30に出発。すでにちらほら空き地があったので、すでに出発した人もそれなりにいたようだ。
 木道を登って太郎兵衛平に出て、のんびり歩く。

テント場から20分の距離

 まだ夜明け前だけど天気は良さそうだ。太郎兵衛平、ほんとに開放感があって気持ちいい。この季節、この時間にしてはちょっと生暖かいかなとも思ったけど、もちろん下界の猛暑とは比較にならない。爽やかだ。気分よく緩やかな尾根を歩く。

 1時間半ほど、緩やかな尾根をひたすら下り続け、三角点(1870m)からは少し高度を下げるペースを上げて1時間ほど下り、7:45、折立(1350m)に着く。歩きにくい箇所はほとんどなく、とっても快適なトレイルだ。地元の六甲山、いや摩耶山でいうなら上野道みたい。

 折立では、多くの人がバスを待っていた。僕は駐車場に向かい、事前の打ち合わせの場所あたりで愛車CX−5を発見。なんと便利な!!感動だ。費用はかかるものの、やはり回送サービスはアリだ。

 富山市内の温泉「満天の湯」で3日間の汗を流し、最高にサッパリした。10:00までなら朝風呂価格でお得。「元町珈琲」でモーニング、11:00オープンの回転寿司「すし食いねぇ!」を食べて胃袋も満足。ちょっと値段が高いが、うまい。富山ICから高速に乗り、休憩しながらひた走り、神戸の自宅に18:00ごろ到着。ババっと山道具の片付けを洗濯を完了。

 とっても充実した3日間だった。2日目は辛かったな〜。事前の縦走路の下調べが甘かったせいで、想定外にキツく感じた。なんだかんだ言っても、得られる達成感って、そこに至るがんばりや苦労、辛さと比例すると思う。久しぶりの2泊3日の縦走、ちょうどよいやった感で終わったのであった。

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