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#16 前十字靭帯損傷の秘密教えます 11リハビリ編ー回復期

こんにちは!理学療法士のKE Iです!

はじめに

今回からはACL再建後のリハビリについてご紹介していきます。

それなりに歴史の長いACL再建術ですが、現在強い根拠のある標準的プロトコールは確立されていません。
一般的にはスポーツ復帰まで最短6ヶ月、標準9ヶ月としています。

移植腱の治癒過程に応じて4期に分けています。
回復期:術後6週まで
トレーニング前期:6週〜3ヶ月
トレーニング後期:3〜6ヶ月
復帰期:6ヶ月〜
※半月板損傷の有無や程度によっては遅らせることあり

今回は「回復期」について書いていきますので、最後までお付き合いください。

それではいってみましょう!


注意点

術直後は、移植腱ー骨孔結合部の力学的強度が低いので、特に愛護的なリハビリテーションの提供が必須になります。

また術後2週以降は、一度移植腱は壊死状態に陥りますので、関節可動域運動や筋力強化は安全な方法を選択する必要があります。


炎症の鎮静化・膝前面痛の予防と改善

術後はやはり炎症が強く生じます。
術後数日は持続冷却、その後は状態に応じてRICE処置へと移行していきます。必要に応じて物理療法なども用いながら、消炎鎮痛に努めます。
(最近アイシングの必要性などについて議論がされていますが、術後は迷わずアイシングを徹底すべきと考えています。)

膝前面痛(anterior knee pain;AKP)は、採取腱の種類に関わらず、頻繁に生じる合併症です。
AKPについてわからないことがまだまだ多く難しいところではありますが、要因とされている大腿四頭筋の筋力低下や膝伸展制限の予防・改善が重要になります。


筋萎縮の予防と改善

ACL再建後にはほぼ100%大腿四頭筋の萎縮・筋力低下が生じます。そのため再強化が必要です。
術直後からSLRを実施します。疼痛などの理由でおこなえない場合には、術後早期の筋力強化に有効とされている神経筋電気刺激を併用するのも良さそうです。

過剰な膝内外反や回旋、剪断力の生じる動きは注意がしないといけません。
「真っ直ぐにおこなうようにしてください。」この一言だけで修正できる人は少なくありません。

CKCにおいては大腿四頭筋とハムストリングスの共同収縮で剪断力を低減させます。


関節可動域・柔軟性の維持・回復

膝可動域制限は大腿四頭筋の弱化を起こし、cyclops病変や関節線維症の誘因となります。
理学療法士としては早期より可動域訓練をおこないたいところではありますが、移植腱ー骨孔の治癒過程を阻害させないよう2週程度は制限され、その後の拡大の段階的になります。
その間にやるべきことを考える必要があります。

術直後から膝蓋骨や周囲軟部組織のモビリゼーション、ストレッチ等をおこない関節拘縮を予防することが重要になります。


まとめ

今回はACL再建術後(〜6週)におこなうべきことを記事にしました。
かなり大枠になりますが、知っていることは非常に重要です。

★ポイント
術後炎症の遷延を予防するために、消炎鎮痛を徹底する
トレーニングは膝への剪断力に注意
術後早期からモビリゼーションをおこない、関節線維症を予防する

リハビリ全般に適応することですが、患者さん自身の状態理解を深めセルフケアができるようになってもらうことが重要です。

本日はここまで。
前回の記事で術前のリハビリについても触れていますので、興味があれば覗いてみてください。

本記事をご覧いただきありがとうございました。
ほかにもACL関連や変形性膝関節症などの記事もありますので、よろしければ読んでみてください。

次回もお楽しみに!

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